阪和線の沿線から

阪和線沿線在住の筆者が記している日記です。
鉄道を中心に、バス・航空・フェリーといった交通全般に関する話題や、
管理人の乗車記録や旅行記、撮影記録などを気の向くままにお送りしています。
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「男性専用車両」の設置を西武ホールディングス株主が提案

先日こちらのエントリーでご紹介した映画「それでもボクはやってない」のテーマである痴漢冤罪。
女性と男性が物理的に隔離されるならば、この痴漢冤罪の発生率もかなり低い確率になるかと思いますが、現実には乗車位置の問題や、何よりスムーズな列車発着や乗降の阻害要因となる可能性もあり、やはり難しいのかも知れません。
でも、「女性専用車が1両あるんやから、男性『優先』(専用ではない)車両が1両あっても別に悪くはないのかな・・・」(特に女性専用車の隣等、男性が比較的集まりやすい箇所に)とは思っていますが、この種のエントリーを投稿した直後の丁度良いタイミングに、今月下旬に開催される西武鉄道持ち株会社である西武ホールディングスの株主総会に、男性専用車両の設置を求める株主提案が提出されるというニュースを見つけました。

「痴漢冤罪防止へ男性車両を」西武HD株主が提案(産経Web)

ちなみに、当該提案が記載されている株主総会関連資料はこちらから閲覧することが出来ます。
第4回定時株主総会招集ご通知(西武ホールディングス)

実は男性専用車両設置の株主提案は今回が3回目で、前回(昨年)の株主総会の時は賛成票を投じたのは株主の約48%ということです。
今回の株主総会時に、どこまで賛成票の割合が増えるかというのも、ちょっと気になるところです。
ただ、実際株主総会で定款変更の議決を行うためには3分の2の賛成が必要で、西武ホールディングスの株式は、約32%を米投資ファンドのサーベラスが保有していることから、実際の実現はなかなか難しいものがあるとはいえ、賛成の数によっては西武ホールディングス側も何もしないまま、という訳にもいかなくなるのかも知れません。

もっとも、当の西武ホールディングス側はこの提案に反対しています。反対の理由は、「女性専用車両を既に設置している」「防犯対策を実施している」「利用者からの要望が少ない」とのことですが、株主提案が「痴漢冤罪防止」であるのに、女性専用車の設置という答えだけでは片手落ちと感じるところが、これまでの賛成票の多さに繋がっている面も無きにしもあらず、でしょうか。
また「利用者からの要望が少ない」とありますが、「無い」訳ではないことだけは確かなようです。
あとは、防犯対策、といっても「痴漢」の防犯対策は行っていたとしても、「痴漢冤罪」の防犯対策は無きに等しいところも、これまでの賛成票の多さの理由と言えるのかも知れません。
まあ、鉄道事業者の本音としては、過密と混雑の中で現在以上に円滑な運行に支障を来す要因を増やしたくない、出来れば女性専用車まででとどめておきたいところなのかも知れません。

個人的には、「女性専用車があります」という案内だけでなく、「女性の方は積極的に女性専用車をご利用下さい」というニュアンスの案内をするだけでも、もう少し効果は上がるのかな、と思います。
こちら関西地方では、混雑率が関東ほど酷くないという事情はありますが、大阪環状線の女性専用車に関しては、その他の車両と比べて混雑率が高いわけでも、低いわけでもなさそうです。(あくまで主観ですが)
女性専用車両に女性が集中していけば、女性専用車両の設定車両数も増えて、自然と女性と男性との棲み分けが出来てくるのかな、と言う感じでしょうか。もっともこれが、望ましい状態とではないことは言うまでもありませんが、痴漢犯罪と痴漢冤罪の双方を解決しようと思えば、現在の捜査・裁判の流れが変わらない限り、結論的にそうならざるを得ないのかも知れません。

ちなみに西武ホールディングスの株主総会は6月24日となっていますが、そのころにはこの提案の賛否が明らかになるでしょうから、また取り上げてもいいニュースかも知れません。

<6月24日追記>
この株主提案はやはり今回も否決されたようです。
「男性専用車両」の設置は否決 西武HD(産経新聞Webページ)続きを読む

今日の乗車記録(通学)

(往路)
和泉砂川(0815)〜天王寺 紀州路→関空快速 クハ222-102→クモハ223-5 日根野から着席
天王寺(0907)〜京橋 普通 モハ201-198 天王寺から着席
京橋(0926)〜出町柳 特急 8810(車端部) 京橋から着席(補助いす利用不可)

(復路)
出町柳(1540)〜京橋 特急 8804(1F席) 出町柳から着席(補助いす利用不可)
京橋〜天王寺 普通 サハ223-2505 京橋から着席
天王寺(1913)〜和泉砂川 関空→紀州路快速 クモハ223-3→クモハ223-2515 鳳から日根野まで着席 約4分遅れ

今日は日根野から関空快速の車両に着席しようと考えました。
車端部のボックスシートには、巨大なスーツケースが窓側にあり、当然その向かい側の席は普通には座れません。
そこで、少し縮こまって、スーツケース向かい側の席に正座して着席してみることにしました。(勿論靴は脱いでいますし、周りの方には了解を得た上での着席です)

結果としては、少々足が痺れますが、それでも天王寺まで立ちっぱなしのことを考えると、よっぽど楽なことは確かでした。

それにしても、スーツケースが置かれた場合のことも考えないといけないのも、関空アクセスを担う阪和線ならではのテーマであります…

帰りは天王寺から関空快速の車両に乗り、日根野で移ることにします。
今日は鳳で着席できましたが、それでもやはり、和泉府中まで行かないとこの時間の関空快速でも着席は難しそうです。
帰りは先行「はるか」の遅れの影響で、4分ほど遅れましたが、まあ誤差の範囲でしょうか…

京阪電鉄3000系、鉄道友の会「ローレル賞」受賞

4月から毎日の通学に利用している京阪電車。京橋〜出町柳間を利用しているため、主に乗車するのは特急ですが、昼間時ダイヤで1時間に2本程度、快速急行の設定があります。
この快速急行に充当されている車両は3000系と言い、昨年10月の中之島線開業にあわせて投入された車両であることは、1年ほど前のエントリーでも述べています。

紺色をベースにした3000系の塗色も、京阪線に馴染んできたなと感じている今日この頃ですが、さてこの3000系が、鉄道友の会のローレル賞を受賞した旨、発表がありました。

2009年 ブルーリボン・ローレル賞選定車両(鉄道友の会Webページ)

受賞における高い評価を得た点としては、「明確なコンセプトに基づく車内外の新しいデザイン、客室設備の高機能化」 となっています。また、鉄道友の会Webページによると、
標準工法や標準機器類の採用によってコスト削減を狙った車両が全国的に増加する傾向の中で、京阪電気鉄道3000系は、ブランド作りを意図する鉄道会社のイメージリーダーとしての役割を担い、明確な設計コンセプトを貫き、新しいデザインを築き上げ、車内設備が充実した魅力のある車両を実現しました。

と記されており、コスト削減の動きの中で同じような車両が増えてくる(これはこれで悪いことではないのですが)中、内外ともに魅力のある車両に仕上がった点が、高く評価されていますが、乗車してる自分の感想からしても、その通りだと思います。

京阪3000系の車内にローレル賞受賞の記念プレートが取り付けられれば、またこのブログでもご紹介したいと思います。

・・・京阪3000系の実車の写真もないエントリーになって申し訳ありませんが、写真はまたまとめて撮りに行きたいものです。

今日の乗車記録(通学)

(往路)
和泉砂川(0830)〜天王寺 快速 クハ111-7037 和泉砂川から着席 約8分遅れ
天王寺(0923)〜京橋 普通 モハ103-774 天王寺から着席
京橋(0940)〜出町柳 快速急行 3506 京橋から着席

(復路)
出町柳(1800)〜京橋 特急 8808(1F席) 出町柳から着席(補助いす利用不可)約4分遅れ
京橋〜天王寺 普通 クモハ223-2513 天王寺まで立席
天王寺(1913)〜和泉砂川 紀州路快速 サハ223-17 和泉砂川まで立席

今日の往路は、阪和線にて先行列車の急病人発生、また、東岸和田でのホームからの転落者の救助の影響で、遅れが発生しました。
こんな時に動じず・慌てずが阪和線ユーザーとしての心構え、といえますが、遅れが収縮どころか、どんどん波及するのはやはり仕方がないと言うべきでしょうか…

帰りの京阪も、集中豪雨の影響で淀〜八幡市の間で停止・徐行運転を繰り返したため、珍しく遅れが発生していました。
阪和線・京阪ともに同じ日に遅れに遭遇するのはなかなか珍しいものがあります。

その上、帰りは京橋から和泉砂川まで立ちっぱなしでした。
これは正直疲れます…和泉府中でのチャンスはありましたが、敢えなく座席争奪戦に敗北…ついていない日は、トコトンついていないようです。

下り関空・紀州路快速の場合、関空行きに乗って、途中区間だけでもまず座れる(その代わり日根野では立席となる紀州路の車両に移動する必要があります)方が良いか、和歌山行きに乗って、着席しやすい場所から動かずに、鳳や和泉府中で比較的座っている人が多く降りる駅で座れる可能性に賭けるか(座れれば和泉砂川まで着席が保証されます)、どちらがトータルで楽になれるのか、まだ事例を積み重ねる必要があるようです。

「堺eco観光」の取り組みがスタート

いつもは堺市LRT計画が中心となってエントリーしている堺市関連の情報ですが、今回の情報は、「直接」には堺市LRT計画には関連していません。(間接的には影響しているのかも知れませんが・・・)
JR西日本・南海電鉄・阪堺電軌・堺市の4者が協同で、堺市を環境に優しく観光するための「堺eco観光」の取り組みをスタートさせることとなりました。

「堺eco観光」スタート(JR西日本Webページ)
堺eco観光(南海電鉄Webページ)

私は、何度かこのブログでも書いているとおり、大学卒業まで堺市内に在住していましたが、あまりこの街が観光を売り物としようとする雰囲気は、官民ともに薄かったと思っています。
実は百舌鳥古墳群をはじめとする古代や、中世の自由都市としての堺を今に伝える歴史的遺産、そして近代工業の一翼を担った自転車工業等、見るべきものは結構あるのですが、やはり大阪の衛星都市としての性格が長らく続いてきたのか、あまり一般的な注目はされてきませんでした。

ところが近年、「環境モデル都市」として堺市自身を打ち出す中、そこに観光の要素を絡めていき、同じく環境に優しい交通手段としての鉄道と連携して、鉄道+徒歩・自転車の観光ルートを推進していこう、というのがこの「堺eco観光」の取り組みの概要のようです。

個人的には、意外と観光資源が眠っている堺市をこういう形でPRしていくのは、よい試みだと思います。
ただ、まだこれから改善していくべき点も見受けられ、例えば、レンタサイクルの貸し出し・返却拠点はもっと増やした方がいいのかな、という気もしますし、また環境に優しい、という観点では鉄道や自転車に劣るものの、自家用車に比べるとずっと良いバスの利用が考慮されていない点、気にならないこともないのですが、それはこれからの取り組み、と言ったところでしょうか。

「堺eco観光」のJR西日本のプレスリリースの中で、「複数の鉄道路線が南北に平行して「縦走」するという堺市の交通特性を活かし、市内の異なる路線間を「横断」する観光を、鉄道事業者間の連携により推進します。」という一節がありました。
仮に堺市のLRT計画が実現すれば、「縦走」だけでなく「横断」「斜め横断(例えば堺東〜浜寺駅前)」といったルートもでき、観光の幅もずっと広がるのになあ、と思った次第です。
・・・やはり最後は堺市LRT計画に触れてしまいましたが、やはりこういう視点でもLRT計画の効果は決して小さくないと思ったニュースでした。

今日の乗車記録(通学)

(往路)
和泉砂川(0806)〜日根野 普通 クモハ103-2504 日根野まで立席
日根野(0824)〜天王寺 関空快速 クモハ223-2509 日根野から着席
天王寺(0907)〜京橋 普通 モハ103-491 鶴橋から着席
京橋(0926)〜出町柳 特急 8105 枚方市から着席(補助いす利用不可)

(復路)
出町柳(1500)〜京橋 特急 8804(1F席) 出町柳より着席(補助いす利用可)
京橋〜天王寺 普通 モハ201-145 京橋から着席
天王寺(1609)〜和泉砂川 紀州路快速 クモハ223-2501 鳳から着席

旧三木鉄道の車両、3両目はひたちなか海浜鉄道へ譲渡に

以前こちらの記事で、旧三木鉄道の車両が同じ兵庫県内の第三セクター鉄道の北条鉄道に譲渡された旨、ご紹介しました。
3両在籍してた三木鉄道の車両のうち、もう1両は樽見鉄道へ譲渡されました。
残る1両は、モニュメント的に旧三木駅に保存するような話があったような気がするのですが(当ブログの過去ログでは残念ながら記していませんでしたが・・・)、残る1両が茨城県のひたちなか海浜鉄道に譲渡される旨、発表がありました。

三木鉄道からの車両購入及び搬入について(お知らせ)(ひたちなか海浜鉄道Webページ)

ひたちなか海浜鉄道は、以前は茨城交通が運行していた路線を引き継いで昨年4月より運行を開始した第三セクター鉄道です。
既に車両はひたちなか海浜鉄道に搬入され、現在は運行に必要な改修を行っているところのようです。

北条鉄道・樽見鉄道・ひたちなか海浜鉄道。いずれも経営は厳しいながら、地元の代え難い交通手段としての維持が求められています。そんな中、まだ新しい部類の車両が導入されることで、各路線の近代化・乗客サービス向上が進み、乗客の減少を食い止め、増加へ転じるきっかけになればいいなあ、と思っています。

ちなみに、三社とも、当分の間三木鉄道からの譲渡車両は、旧三木鉄道カラーにて運行するとのことですので、写真等、記録される方もお早めに、といったところでしょうか。

「Suicaが世界を変える JR東日本が起こす生活革命」を読む

このブログでもその動向を逐次フォローしている交通系ICカードですが、その代表格は何と言ってもJR東日本が中心となって普及させている「Suica」と断言して良いかと思います。
現在の発行枚数は約2,800万枚、交通系の利用可能エリアはJR東日本の首都圏・仙台・新潟地区だけでなく、他陣営との相互利用でICOCA・TOICA・PASMO・Kitacaエリアでの利用が可能ですし、電子マネー機能でもJR東日本の駅キオスク・コンビニ・駅ナカ店舗に始まり、各種コンビニやスーパーでも利用可能な上に、PASMO・ICOCA電子マネー取り扱い店舗での利用も相互利用による利用が可能となっていて、まさに東日本地区での生活に密着した交通系ICカードとなりつつある、そんな印象を持っています。

今回ご紹介する書籍は、そのSuicaのプロジェクトスタート時からサービスイン、そして相互利用と言ったSuicaの質・量の拡大展開に、まさに携わってきたJR東日本の社員(執筆当時の役職名はIT・Suica事業本部 副本部長)によって書き下ろされたものです。

Amazon.co.jp: Suicaが世界を変える JR東日本が起こす生活革命: 椎橋 章夫: 本

内容は、Suicaの開発プロセスやその拡大が中心となりますが、その中でSuicaがどのような位置づけで、またどのような将来像を持ってプロジェクトを進めていったのかが分かるところ、交通系ICカードに関心のある私にとっては、非常に興味がありました。
この本を読んで改めてSuicaが単なる乗車券の置き換えだけでなく、その背後にはJR東日本の抱える問題をどのように解決するか、またその解決策としてのICカード乗車券を会社としてのプロジェクトとしてどのように進めてきたのか、という生々しい内容が紹介されている点も、単にICカード乗車券の話としてではなく、企業・組織の一員として仕事をどのように進めていくのか、ということのケーススタディという観点としても読んでみても面白いかと思います。

詳細な内容はお読みただくとして、この本で関西の交通系ICカードの「ICOCA」「PiTaPa」に紹介されている節がありました。
ICOCAは交通系・電子マネー系いずれもSuicaが域外の交通系ICカードとの相互利用を初めて行った相手先です。そこでは、国鉄の分割民営化でバラバラになったJR各社が、ICカードで再び手を組むとは、歴史の繰り返しというか、感慨深いものだと記していましたが、そういう感慨深さを感じ取ることが出来るのも、筆者の国鉄時代の苦労があってからこそだと感じることができます。
また、PiTaPaに関しては、「画期的なカード」としながらも、「少し進みすぎている」としています。
これは勿論「ポストペイ」についてでありまして、定期券の買い換えが無くなるのは画期的だが、利用者が理解して、実際利用するためには地道なステップアップが必要としています。またポストペイを採用したのは、関西民鉄の投資環境、そして意地という表現で分析されていますが、それは関西在住の筆者からしても納得できる部分はあります。

ともあれ、発展を続ける交通系ICカード、書物になった時点で古い情報となることが多いなかで、その代表格のSuicaのこれまでの軌跡を理解する上で、参考になった書籍でした。

データ
書籍名:Suicaが世界を変える JR東日本が起こす生活革命
著者名:椎橋 章夫
出版社:東京新聞出版局
定価:1,200円

今日の乗車記録

和泉鳥取(1006)〜日根野 普通 モハ102-668 和泉鳥取から着席
日根野(1026)〜新今宮 関空快速 モハ223-2510 日根野から着席
新今宮(1526)〜和泉府中 関空快速 クハ222-2506 新今宮から着席
和泉府中〜和泉鳥取 普通 クハ204-1002 和泉府中から着席

今日はふと思い立ち、天王寺動物園に行ってきました。
(動物園自体の入場は新今宮からでも案外近いです)
梅雨の合間の週末ということもあり、園内は結構混んでいました。

大阪市交通局、「赤バス」を来年度末にも廃止を検討

昨日のフィールドワークでも乗車した大阪市営交通局の「赤バス」

赤バス
大阪市交通局 赤バス 此花ループ(西九条西公園)

写真から見ても分かるとおり、車体の色から「赤バス」というネーミングとなっています。
昨日は、「此花ループ」系統に乗車し、此花区内の細い路地を縫って走っていましたが、夕方の時間帯と言うこともあり、まあまあの利用のような感じでした。
もっとも車両自体が小型のため、乗客の絶対数で考えると微々たる数字となることは避けられません。
それでも、主たるターゲットの高齢者だけでなく、乳幼児連れの親子が乗車(しかも数組)していたので、こういう層の利用もあり、単なる高齢者福祉だけでなく、乳幼児福祉の観点も備えた事業という感想も一方で抱きました。

この「赤バス」ですが、来年度末、つまり平成22年度末に廃止を検討していることが明らかとなりました。

赤バス廃止案、「高齢者の足」反発も(読売新聞Webページ)

その元ネタとなる改革プランは、こちらから閲覧することが出来ます。
市営バス事業の改革プラン「アクションプラン」(案)を
策定しました。(大阪市交通局Webページ)


赤バスは、街中の細い路地にも入っていけるという機動性を生かした路線設定となっている反面、主に病院・区役所等の公共施設を経由するという経路の迂回性から、利用率は低迷し、上記資料では1便あたり4名程度の利用となっています。
1乗車100円という運賃の安さは、事業の採算性に影響を及ぼし、赤バス事業自体での事業収支は補助金頼り(運賃収入5億円に対し13億円の補助金繰り入れ)となっています。この補助金とて、利用率の低さから補助事業としての公共性に課題があると指摘されています。
上記読売新聞の記事では、単年度では赤バスの赤字額は約20億円に達すると記されています。

私自身の意見を述べると、赤バスのようなコミュニティバスでは、単に事業の採算性だけで廃止を検討するべき性格のものではないと考えています。
既存の公共交通機関では移動がしにくい老人や乳幼児を抱えた親にとっては、家の近所まで来てくれて、主な公共施設に立ち寄ってくれる「赤バス」は、非常に頼りがいのある交通機関だと思います。その「思い」は、決して数字に表れる性格でも無いのですが、とはいえ決して無視することが出来ない観点です。

一方で、現在の利用率が4人/便という状況は、当初の事業運営基準の6人/便を下回る状況となっており、その点では利用率が低いサービス=市民に実は支持されていなかったサービスだ、と判断されても仕方がない実績といえます。
ここからの存廃アプローチはなかなか難しいものがあり、単に利用率が低いから支持されていない、という短絡的なものでもなく、ルートの見直し等を行えばある程度の利用は増えてくるのでは、と思えるところもあります。
現在赤バスは28系統もありますが、これはさすがに多すぎる感じはあります。
既存バス路線との兼ね合いも検討した上で、本当に残すべき路線を検討しても良いのかも知れません。

大阪市交通局の改革プランでも、「コミュニティ系路線」の扱いについて、地域住民・企業等の関与が必要であり、そのための方法として費用負担・寄付等が挙げられています。
安易に地元負担に頼るのも問題はあるとは思いますが、実際に必要なコミュニティ系路線を存続させていくためには、地元の本気度も試されてくるのかも知れません。
私自身の感想としては、採算改善もさることながら、コミュニティ系の路線のコンセプトとしての「低料金」「小型車両」は外せない気がしますので、後はどれだけ利用してもらえるか、また地元から見てみればどれだけ利用するかにかかってくるのかな、と思います。

確かに「赤バス」の廃止は関西ローカルテレビ局のニュースでも結構取り上げられていて、論調はやはり残すべき、といった感じが多かったように記憶しています。
ただ、現在の利用状況は、逆に言うと事業効果として問題があるのも確かですので、事業効果が高いものになるような結論になればいいな、と思っていますが、そういうアプローチが無くて、単に市交通局の他の部分のリストラ(これもこれで勿論大事ですが)論に終始していた点、テレビの報道に消化不良を感じたのは事実でした。

このプランに対しての市民の声を聞くパブリックコメントも来月実施の予定です。
賛成・反対はともかく、身近なバス路線という観点で大阪市政に意見を述べてみるのもいい機会だと思っています。

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