昨日のフィールドワークでも乗車した大阪市営交通局の「赤バス」

大阪市交通局 赤バス 此花ループ(西九条西公園)
写真から見ても分かるとおり、車体の色から「赤バス」というネーミングとなっています。
昨日は、「此花ループ」系統に乗車し、此花区内の細い路地を縫って走っていましたが、夕方の時間帯と言うこともあり、まあまあの利用のような感じでした。
もっとも車両自体が小型のため、乗客の絶対数で考えると微々たる数字となることは避けられません。
それでも、主たるターゲットの高齢者だけでなく、乳幼児連れの親子が乗車(しかも数組)していたので、こういう層の利用もあり、単なる高齢者福祉だけでなく、乳幼児福祉の観点も備えた事業という感想も一方で抱きました。
この「赤バス」ですが、来年度末、つまり平成22年度末に廃止を検討していることが明らかとなりました。
赤バス廃止案、「高齢者の足」反発も(読売新聞Webページ)
その元ネタとなる改革プランは、こちらから閲覧することが出来ます。
市営バス事業の改革プラン「アクションプラン」(案)を
策定しました。(大阪市交通局Webページ)
赤バスは、街中の細い路地にも入っていけるという機動性を生かした路線設定となっている反面、主に病院・区役所等の公共施設を経由するという経路の迂回性から、利用率は低迷し、上記資料では1便あたり4名程度の利用となっています。
1乗車100円という運賃の安さは、事業の採算性に影響を及ぼし、赤バス事業自体での事業収支は補助金頼り(運賃収入5億円に対し13億円の補助金繰り入れ)となっています。この補助金とて、利用率の低さから補助事業としての公共性に課題があると指摘されています。
上記読売新聞の記事では、単年度では赤バスの赤字額は約20億円に達すると記されています。
私自身の意見を述べると、赤バスのようなコミュニティバスでは、単に事業の採算性だけで廃止を検討するべき性格のものではないと考えています。
既存の公共交通機関では移動がしにくい老人や乳幼児を抱えた親にとっては、家の近所まで来てくれて、主な公共施設に立ち寄ってくれる「赤バス」は、非常に頼りがいのある交通機関だと思います。その「思い」は、決して数字に表れる性格でも無いのですが、とはいえ決して無視することが出来ない観点です。
一方で、現在の利用率が4人/便という状況は、当初の事業運営基準の6人/便を下回る状況となっており、その点では利用率が低いサービス=市民に実は支持されていなかったサービスだ、と判断されても仕方がない実績といえます。
ここからの存廃アプローチはなかなか難しいものがあり、単に利用率が低いから支持されていない、という短絡的なものでもなく、ルートの見直し等を行えばある程度の利用は増えてくるのでは、と思えるところもあります。
現在赤バスは28系統もありますが、これはさすがに多すぎる感じはあります。
既存バス路線との兼ね合いも検討した上で、本当に残すべき路線を検討しても良いのかも知れません。
大阪市交通局の改革プランでも、「コミュニティ系路線」の扱いについて、地域住民・企業等の関与が必要であり、そのための方法として費用負担・寄付等が挙げられています。
安易に地元負担に頼るのも問題はあるとは思いますが、実際に必要なコミュニティ系路線を存続させていくためには、地元の本気度も試されてくるのかも知れません。
私自身の感想としては、採算改善もさることながら、コミュニティ系の路線のコンセプトとしての「低料金」「小型車両」は外せない気がしますので、後はどれだけ利用してもらえるか、また地元から見てみればどれだけ利用するかにかかってくるのかな、と思います。
確かに「赤バス」の廃止は関西ローカルテレビ局のニュースでも結構取り上げられていて、論調はやはり残すべき、といった感じが多かったように記憶しています。
ただ、現在の利用状況は、逆に言うと事業効果として問題があるのも確かですので、事業効果が高いものになるような結論になればいいな、と思っていますが、そういうアプローチが無くて、単に市交通局の他の部分のリストラ(これもこれで勿論大事ですが)論に終始していた点、テレビの報道に消化不良を感じたのは事実でした。
このプランに対しての市民の声を聞くパブリックコメントも来月実施の予定です。
賛成・反対はともかく、身近なバス路線という観点で大阪市政に意見を述べてみるのもいい機会だと思っています。

大阪市交通局 赤バス 此花ループ(西九条西公園)
写真から見ても分かるとおり、車体の色から「赤バス」というネーミングとなっています。
昨日は、「此花ループ」系統に乗車し、此花区内の細い路地を縫って走っていましたが、夕方の時間帯と言うこともあり、まあまあの利用のような感じでした。
もっとも車両自体が小型のため、乗客の絶対数で考えると微々たる数字となることは避けられません。
それでも、主たるターゲットの高齢者だけでなく、乳幼児連れの親子が乗車(しかも数組)していたので、こういう層の利用もあり、単なる高齢者福祉だけでなく、乳幼児福祉の観点も備えた事業という感想も一方で抱きました。
この「赤バス」ですが、来年度末、つまり平成22年度末に廃止を検討していることが明らかとなりました。
赤バス廃止案、「高齢者の足」反発も(読売新聞Webページ)
その元ネタとなる改革プランは、こちらから閲覧することが出来ます。
市営バス事業の改革プラン「アクションプラン」(案)を
策定しました。(大阪市交通局Webページ)
赤バスは、街中の細い路地にも入っていけるという機動性を生かした路線設定となっている反面、主に病院・区役所等の公共施設を経由するという経路の迂回性から、利用率は低迷し、上記資料では1便あたり4名程度の利用となっています。
1乗車100円という運賃の安さは、事業の採算性に影響を及ぼし、赤バス事業自体での事業収支は補助金頼り(運賃収入5億円に対し13億円の補助金繰り入れ)となっています。この補助金とて、利用率の低さから補助事業としての公共性に課題があると指摘されています。
上記読売新聞の記事では、単年度では赤バスの赤字額は約20億円に達すると記されています。
私自身の意見を述べると、赤バスのようなコミュニティバスでは、単に事業の採算性だけで廃止を検討するべき性格のものではないと考えています。
既存の公共交通機関では移動がしにくい老人や乳幼児を抱えた親にとっては、家の近所まで来てくれて、主な公共施設に立ち寄ってくれる「赤バス」は、非常に頼りがいのある交通機関だと思います。その「思い」は、決して数字に表れる性格でも無いのですが、とはいえ決して無視することが出来ない観点です。
一方で、現在の利用率が4人/便という状況は、当初の事業運営基準の6人/便を下回る状況となっており、その点では利用率が低いサービス=市民に実は支持されていなかったサービスだ、と判断されても仕方がない実績といえます。
ここからの存廃アプローチはなかなか難しいものがあり、単に利用率が低いから支持されていない、という短絡的なものでもなく、ルートの見直し等を行えばある程度の利用は増えてくるのでは、と思えるところもあります。
現在赤バスは28系統もありますが、これはさすがに多すぎる感じはあります。
既存バス路線との兼ね合いも検討した上で、本当に残すべき路線を検討しても良いのかも知れません。
大阪市交通局の改革プランでも、「コミュニティ系路線」の扱いについて、地域住民・企業等の関与が必要であり、そのための方法として費用負担・寄付等が挙げられています。
安易に地元負担に頼るのも問題はあるとは思いますが、実際に必要なコミュニティ系路線を存続させていくためには、地元の本気度も試されてくるのかも知れません。
私自身の感想としては、採算改善もさることながら、コミュニティ系の路線のコンセプトとしての「低料金」「小型車両」は外せない気がしますので、後はどれだけ利用してもらえるか、また地元から見てみればどれだけ利用するかにかかってくるのかな、と思います。
確かに「赤バス」の廃止は関西ローカルテレビ局のニュースでも結構取り上げられていて、論調はやはり残すべき、といった感じが多かったように記憶しています。
ただ、現在の利用状況は、逆に言うと事業効果として問題があるのも確かですので、事業効果が高いものになるような結論になればいいな、と思っていますが、そういうアプローチが無くて、単に市交通局の他の部分のリストラ(これもこれで勿論大事ですが)論に終始していた点、テレビの報道に消化不良を感じたのは事実でした。
このプランに対しての市民の声を聞くパブリックコメントも来月実施の予定です。
賛成・反対はともかく、身近なバス路線という観点で大阪市政に意見を述べてみるのもいい機会だと思っています。
赤バス廃止案、「高齢者の足」反発も(読売新聞Webページ)
赤字続きのバス事業の改革に取り組む大阪市交通局は10日、全155路線のうち、採算性が低い45路線の廃止案を発表した。2002年から運行する小型コミュニティーバス「赤バス」は全28路線が廃止に含まれる。赤バスは、小型バスの特性を生かし、公共施設や病院などを巡る細かいルート設定で「高齢者の足」ともなっているだけに、全面撤退には市民や議会の反発も予想される。
赤バスはノンステップ型の25人乗りで、運賃は一律100円と割安。市民の要望に基づいてルート設定しているが、既存のバス路線との重複も多く、1便あたりの平均乗客数(今年度見込み)は4人と低迷する。
市のバス事業では今年度、73億円の赤字が生じ、累積赤字は606億円に膨らむ見通し。経営改善を迫られる交通局は「赤バスでしか移動できない乗客は、全体の15%程度で、廃止の影響は限定的」と判断した。
今回の改革案で76億円の改善効果を見込んでおり、市民アンケートなどを実施した上で議会や有識者の意見を踏まえ、今年度中に最終方針を決定、早ければ10年度末に実施するという。
ただ、利用者は強く存続を求める。この日、大阪市天王寺区のJR天王寺駅前で停留所に並んでいた女性(80)は廃止案を聞くと、「そんなアホな。無駄な事業はほかにたくさんあるはず」と口調を強める。入院中の妻を見舞うために利用する無職杉本祐司さん(80)も「財政難はわかるが、赤バスは高齢者にとって命綱だ」と訴えた。
一方で、100円の収益を上げるのに812円かかる路線もあり、今年度の赤バス事業の赤字見込み額は19億5000万円に上ることから、「必要性を考え直す時」との意見も。山内弘隆・一橋大教授(交通経済学)は「コミュニティーバスも淘汰の時代に入った。便利だが、赤字が続けば整理対象となるのは仕方ない。乗客の要望に応じて走るデマンド交通の導入などを検討してはどうか」と提言する。
国土交通省によると、コミュニティーバスは全国1087市町村(07年度末)が運行しているが、利用者減などで横浜市や大阪府八尾市が中止するなど、撤退の動きも出ている。
平成21年6月11日 読売新聞
http://osaka.yomiuri.co.jp/tokusyu/osaka_h/20090611kf01.htm?from=tokusyu
振興策を考えなければならないのは、地方都市のコミュニテイバスだと思えます。
車のない層にとっては必要であるし、普通のバスでは大きすぎる路線は、小型バスに切り替えることで、コスト削減を図るべきでしょう。