こちらのエントリーでご紹介したように、東日本大震災の津波災害により被災したJR山田線(宮古〜釜石)について、三陸鉄道への移管による復旧で合意に達したところですが、この度JR東日本・三陸鉄道・岩手県と沿線市町で基本合意書及び覚書を締結したことが発表されました。

山田線(宮古・釜石間)の鉄道復旧に関する基本合意書及び覚書の締結と着工式について(JR東日本|プレスリリース)

基本合意書及び覚書の内容については、上記プレスリリースのとおりですが、主なものをピックアップしてみます。

・JRは山田線を鉄道で復旧し、三陸鉄道は山田線と南北リアス線との一体運営を行う
・現状復旧費用はJR負担、復興まちづくり事業等に伴い増加する復旧費用については、関係自治体等が負担
・鉄道施設及び鉄道事業の用に供する土地はJRより関係自治体に無償譲渡
・JRは30億円を移管協力金として関係自治体に提供
・JRは運行に必要な新造車両8両または相当額の金銭を関係自治体に無償譲渡
・三陸鉄道は鉄道復旧に併せて運営の効率化に努め、JRはこれへの協力として検修設備等を整備
・JRはレール、マクラギ等の鉄道施設の一部について、三陸鉄道と同程度の水準まで強化

その他利用促進や人的支援、国への支援要請に関する事項が盛り込まれています。
詳細は上記プレスリリースをご確認下さい。

山田線の不通区間のこれまでの動きは逐次ご紹介してきたとおりで、BRTによる仮復旧についても、あくまで鉄道による復旧を求めてきた地元が受け入れず、復旧そのものが宙に浮いた状態が続いていましたが、昨年あたりから急展開し、三陸鉄道への移管による復旧という形で実現することになりました。

今回の基本合意書及び覚書では、復旧や移管に関する費用の負担について明確に記されているが特徴といえるでしょう。
これによるとJR東日本は現状復旧した上で移管協力金として30億円、そしてこれに加えて車両8両と検修設備等の整備の費用を負担するとともに、鉄道施設・用地を無償譲渡する、という負担内容が記されていますが、これらはJR東日本にとっても決して少なくない負担と思われます。
逆に言えば、将来にわたって地元が山田線の不通区間を引き受ける意思を表明したからこそ、JR東日本がこれだけの一時的な負担を引き受けよう、という条件を引き出せたのかもしれないな、と感じました。

復旧工事は2015年3月7日(土)に宮古駅周辺で着工式を開催することで、スタートすることとなります。
場合によってはこのまま廃線という可能性も大いにあった山田線の宮古〜釜石間が、時期はまだ未定とはいえいずれ全区間復旧することとなるのは、非常に嬉しいことと感じます。
昨年4月の南北リアス線全線復旧を「第二の開業」とするならば、山田線が全区間復旧し、盛から久慈までの岩手県沿岸の鉄道が三陸鉄道として結ばれた時に「第三の開業」と言えなくもないのかな、とも思いました。
その「第三の開業」に向けての工事の進捗、そして復旧が完了して営業運転が再開されるまで、このニュースは引き続き見届けていきないな、と思いますし、その情報は逐次このブログでご紹介できればいいなと思っています。

震災不通の山田線宮古〜釜石間、三鉄移管に向け合意書締結 | レスポンス
JR東日本、山田線宮古〜釜石間の鉄道復旧に関する基本合意書および覚書を締結 - kqtrain.net(京浜急行)

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