去る8月20日に運行を開始した京阪特急プレミアムカー。
私自身もこちらのエントリーでその様子をご紹介したところですが、その「プレミアムカー」運行開始で注目を集める京阪電車を、歴代の車両の歴史を切り口に振り返る書籍がこの度発売されました。
DSC_7971


京阪電車 (CAN)
清水 祥史
ジェイティビィパブリッシング
2017-08-26






著者の清水祥史さんは、東京都在住ですが大学卒業までの大半の期間を京阪沿線で過ごし、その後も趣味のテーマとしても京阪電鉄に関わってこられたとのことですが、そんなファンの立場から、開業以来の京阪電鉄のあゆみを、車両の歴史という切り口を軸に振り返った書籍となっています。

その範囲は、タイトルにもあるように、明治43年(1910年)の京阪電鉄開業を担った「1型(1号型)」から始まり、昭和前半の流線型電車や、京阪特急の初期の車両、そして輸送力増強が急務とされた時代に相次いで投入された車両、そして現在増備が続く13000系に至るまでの、京阪電鉄の歴代の各車両が漏れなく取り上げられています。
勿論、サブタイトルに「プレミアムカーまで」と記されているように、8000系プレミアムカーの公開の様子まで網羅されており、文字通り京阪電鉄の開業からいま現在までの姿を車両という面で通して見るには、最適の書籍といってもいいでしょう。


個人的にこの書籍を通読した新たな発見は、京阪電鉄でこれまで多く行われてきた足回り・車体等の流用による車両増備についてです。

私自身のしょうもない話で恐縮ですが、実は車両面のこういった面には素人であることから、いまいちその関連性がよく分からないまま過ごしてきたこの流用関係。
「そんなものも知らないで京阪電車にまつわる記事をこのブログを書いていたのかこの管理人は!」と叱られることを承知の上ですが、そういった流用による増備の経緯についても、流用元・流用先双方で漏れなく説明が付されていて、素人の私であっても理解することができました。

一例で言えば、このように先日何気なく撮影した現行の1000系。
DSC01080-2_R
京阪電鉄1000系(守口市〜西三荘)

この1000系の歴史を本書で紐解くと、車体は700系(昭和42年〜46年製造)を流用したものである上に、その700系は製造時、車体は新造したものの足回りは昭和12年〜21年に製造された1000型や1500型等から流用したものとなっているというのを、実は始めてきっちり知ることができました。

こういった流用の経緯についても、本文を読んでいけば、網羅的に理解できる上に、さらに興味が湧いてくるものとなりました。


また、最近の京阪電鉄の車両の動きでは、プレミアムカーの運転開始もさることながら、4両編成で登場した10000系への、7200系・9000系からの編入についても触れられています。
DSC01128-2_R
京阪電鉄9000系9004編成(門真市〜西三荘)
7連かされた9000系ですが、9000系のデビュー時からの経緯も本書では勿論触れられています。


そういった最近の車両の動きまで網羅したこの書籍。
筆者が長年京阪電車を研究してきた成果を余すところなく記されているのではないかと思いますので、京阪電鉄のコアなファンは勿論のこと、京阪電鉄にあまり縁が無いファンにとっても、手にしてみるとその深い興味に導かれることに相違ない一冊と言えるでしょうか。

かくいう私も、「はじめに」で記されていた「京阪電車の新たな魅力がみつかるはず」という点では、前述の車体等の流用経緯という新たな発見を見いだしただけに、多くの皆さんにお勧めしたいな、と感じた一冊でした。

<書籍データ>
書籍名:京阪電車 1号型・「びわこ号」から「テレビカー」・「プレミアムカー」まで
著者:清水祥史
発行所:JTBパブリッシング
価格:本体2,000円(税別)

参考までに、著者の清水さんがアップした本書関係のブログ記事もご紹介します。
「記憶」を「記録」に昇華させる 〜謝意を込めて〜 ( 鉄道、列車 ) - 倶楽部2600のブログ - Yahoo!ブログ



↓↓鉄道系ブログ・ニュースポータルサイト「鉄道コム」はこちらをクリック↓↓
鉄道コム