寝耳に水な話、ともいえますが、下記wap ONLINEのブログ記事によりますと、10月17日に発信された和歌山県庁メールマガジンで、県庁の総合交通政策課長名で、JR西日本より白浜〜新宮間の「くろしお」を現状の7往復から6往復に削減すること、またオーシャンアロー型の283系車両の老朽化に伴い、同系の運用を白浜以北に限定する、という計画があるとの報告があったことが発信されていたとのことです。

wap ONLINE:来春くろしお減便?283系も白浜以北に?

まず283系については、1994年の登場以降、基本的に京都・新大阪〜新宮を1日に1.5往復に加え、時期により新大阪〜和歌山間の間合い運用に入る、という運用形態が続いてきました。
運用に就く日は基本的に早朝から深夜までほぼ走りっぱなしであることと、6両×2本と3両×2本の計18両という少数の車両でやりくりしてきたことから考えると、他の車両に比べると老朽化の進み具合が早いということは否めないのかな、とも思われます。

また、白浜〜新宮間の減便についてですが、この区間では、6年前の2011年春のダイヤ改正で2往復削減されたわけですが、当時から更に利用者数が減少していることもあるようで、更に削減の計画が提案されている模様です。
参考:平成23年春ダイヤ改正について(JR西日本:阪和線以外) : 阪和線の沿線から


これらの計画に対し、上記wap ONLINEの記事によると、和歌山県では、「特急くろしおは和歌山県の観光振興に欠かせないものであるとともに、 県民の皆さんの出張や旅行等にも大変重要な列車で、 県としては減便には強く反対」とし、「利用者が少ないからといって、 単に減便するという発想ではなく、 公共交通機関の維持確保を図るために、 もっとプロモーションをして利用促進に取り組むべきで、 県としても地元自治体とともにJR西日本に協力していきたい」としていると記しています。

そのうえで、「県としても、 和歌山県の観光振興、 地域振興のためJR西日本に働きかけてまいりますので、 県民の皆さん、 和歌山を訪れる皆さんにも、 是非移動手段として特急くろしお号を含む公共交通をご利用いただきたい」と結んでいるとのことです。


この白浜〜新宮間に関しては、観光利用の観点では、白浜温泉から串本、熊野那智大社から新宮へ抜けるというルート上で、景色も良い区間があることから、観光立県を目指す上で欠かせないインフラという認識になるかと思われます。
一方で、代替手段となる高速道路も既にすさみ町と、那智勝浦町〜新宮市の間で開業していること、そして何よりも大事なことに沿線の人口そのものが減ってきて、特に「くろしお」利用に関して言えば沿線から大阪・京都方面への流動が細ってきている面などの、とかく様々な要因が重なって、「くろしお」の利用者が減少してきている、更に運営主体であるJR西日本としても、ある程度の採算性は考慮する必要がある、等のこともあり、今回の減便提案に繋がった、と見るのが妥当ともいえるでしょう。


この提案を受けて、県では減便に強く反対としており、プロモーションにより利用促進を取り組むべきで、県としても地元自治体とともにJR西日本と協力していくこと、そして、県民や来県者に対して特急くろしおを含む公共交通の利用を呼びかけることを、メールマガジンでは記載しています。

勿論、プロモーションによる利用促進は大事ですし、より協力に進めることである程度の効果は出るのでしょうが、やはり構造的な問題、すなわち沿線住民の減少と高速道路の延伸等による相対的な利便性の向上による鉄道離れ、といった要因に、県や市町村が対応していかないと、その場限りの対応策で、やがてじり貧になることが目に見えている、ともいえるでしょうか。
とはいえ、そういった構造的な要因を解決する手段も難しい(仮に解決していればそもそもこんな問題が出てこない)ことから、JR西日本と県・市町村、そして沿線住民で、どのような維持・利用促進を目指していくのかを、真剣に考えて、行動する必要がある時期に来ているのだけは確かなようです。


鉄道ファン的な目線で見ると、老朽化の進む283系が白浜以北の運用となることから、パノラマグリーン車による白浜以南の展望を、近いうちに体験できなくなる可能性もでてくることや、日置川や古座川等の白浜以南の撮影地における283系の撮影も難しくなる、といった点が考えられます。
毎年のダイヤ改正の公式発表は12月中旬となっており、その頃にはこの減便・運用区間短縮についての答えが出てくることとなりますが、今回は県庁のメールマガジンという異例な形で明らかになっただけに、今後の動向を当ブログでもしっかりご紹介していかなければならないな、と感じた話題でした。




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