長崎県の島原半島で、鉄道やバス、フェリー等を運営する島原鉄道(島鉄)。
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島原鉄道赤パンツ塗装車(キハ2505A号車、島原外港)


現在、鉄道路線は諫早〜島原外港間、バスは島原半島を中心に路線を展開しているほか福岡への高速バスも運行、フェリーは口之津港〜鬼池港で運行しており、島原半島の住民の地域の足のみならず、島原・雲仙方面への観光客の足として欠かせない役割を担っています。

この島原鉄道ですが、1990年からの雲仙・普賢岳噴火災害や沿線人口の減少により、事業環境は厳しい状況が続き、2008年には鉄道事業では南目線と称される区間の島原外港〜加津佐間を廃止し、バス事業でも路線の見直しなどを行ってきました。
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廃止直前の島原鉄道 加津佐駅に停車するキハ20(2007.12.9)


しかし経営状況が厳しいことには変わりなかったようですが、本日の長崎新聞では、この島原鉄道にたして、官民ファンドの「地域経済活性化支援機構(REVIC)」と長崎自動車(長崎バス)が経営再生支援に乗り出すことが報じられていましたので、ご紹介します。

長崎新聞ホームページ:【県内トピックス】島鉄、長崎自動車傘下へ (11月11日)

※記事執筆現在、島原鉄道、長崎バス等からの正式な発表はありません。

上記報道記事によれば、複数の関係者への取材、とした上で、島鉄は長崎バスの傘下に入り、人的・資金的な支援を受け、十八銀行(長崎市)・親和銀行(佐世保市)などは金融支援する見通しで、経営基盤を強化し、島原半島の交流人口拡大や利便性の高いダイヤ編成を図るものとみられる、としています。

島鉄の経営状況は、2017年3月期の売上高は18億2,200万円に対し経常損失が2億5,700万円で、国や県、沿線4市などの補助を受けても1,300万円の純損失を出し、累積赤字は7億5千万円に上っているとのことです。

一方で、九州新幹線長崎ルートの開業等で観光客の増加が見込まれることから、諫早と島原半島を結ぶ島鉄の役割は重要で、REVICは「継続すべき有用な経営資源があり、地域経済に資する再生ができる」と判断し支援を決定したとのことで、長崎バスも路線バス運行のノウハウを活かすものとみられる、とのことです。


島原鉄道といえば、私の両親の帰省先ということもあり、幼少の頃から幾度となく訪問・乗車しているのですが、南目線区間の廃止直前に乗車したり廃止後の北有馬駅を帰省の旅に訪問したりと、他の地方鉄道とは違う思い入れをこのブログでもご紹介してきました。

その島鉄ですが、経営が苦しいこと、そして、沿線自治体などからの補助金も投入されているのも知ってはいたのですが、まさか官民ファンドによる経営支援、そしてその担い手の一つとして同じ県内のバス事業者である長崎バスが乗り出すとは、青天の霹靂ともいうべきニュース、と感じました。

こちらのエントリーでも触れていますが、かつて島原半島のバス路線では、島鉄と長崎県交通局(県営)の両方が運行されていて、路線によっては両社局のバスが運行されるということもままありましたが、現在は県営が撤退し、島原半島のバス路線は島鉄での運行となっています。

その島鉄の経営再建に乗り出す会社の一つが、県内のバス会社である長崎バス。
長崎バスは、長崎市内や西彼杵半島を中心に路線を展開しているのですが、そういうこともあって、諫早や島原を中心に県内で移動していた私個人的には、少々縁遠い存在でした。
その長崎バスの傘下に島鉄が入るというのも、時代の変化というのを痛感したニュースといえるでしょうか。


長崎バス等の傘下に入る島鉄では、長崎バスのノウハウも活かしながら経営再建を図ることが報じられています。
長崎市内・西彼杵半島に路線を展開する長崎バスと、島原半島を中心に路線を展開する島鉄では、路線的には補完関係にあるほか、長崎市内〜島原半島のルートにおいても、より観光客のニーズに合致した路線・ダイヤ展開が期待されます。

また、車両の投入に関しても、長崎バスと共同で調達することにより、スケールメリットによるコスト削減や、需給に応じた両社間での車両の融通といった面も展開される可能性もあるのかな、とも素人考えで思うところはあります。


ともあれ、上記長崎新聞の報道記事では、13日の記者会見で詳細が発表される予定となっているので、そのニュースがアップされれば、改めてご紹介したいと思います。



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