このニュースは、二週間ほど前に発表されていたものですが、丁度広島方面に出かけていたことと、その後に色々ご紹介する記事があったので、すっかりご紹介が遅くなり、今更なところはあるにはあるのですが、改めてご紹介できればと思います。

JR西日本では、列車の乗車回数や一部のICOCA加盟店でのICOCA電子マネーの利用に応じてポイントが貯まり、貯まったポイントをICOCAにチャージすることで、列車や買い物に利用できるサービス、「ICOCAポイント」の開始を発表しました。

列車乗車回数に応じてポイントが貯まる!「ICOCAポイント」(2018年10月1日よりサービス開始!):JR西日本

上記発表資料によれば、「ICOCAポイント」の概要は以下の通りです。

●サービス開始日:
2018年10月1日(月)営業開始より

●ICOCAポイント対象エリア:
下記「ICOCAエリアポイントサービス対象エリア」のエリア
icoca_pointservice_area
▲ICOCAポイントサービス対象エリア
(上記発表資料(http://www.westjr.co.jp/press/article/2018/08/page_12843.html)より引用)

なお、JR四国、あいの風とやま鉄道、IRいしかわ鉄道の各駅相互間及びこれら各社のICOCAエリアの駅とJR西日本のICOCAエリアの駅相互間の利用はポイント計算の対象外

●ICOCAの利用登録:
サービス開始に先立ち、ICOCAエリアの駅の一部の自動券売機では8月20日(月曜日)以降順次、WEB(パソコン・スマートフォン)では8月下旬(予定)から可能。

●ICOCAポイントサービスの利用条件:
上記にて利用登録したICOCAで、JR西日本のICOCAエリア内の列車を利用した場合および一部のICOCA加盟店でのICOCA電子マネーを利用した場合に、1ヵ月間(1日から末日まで)ご利用実績に応じてICOCAポイントを付与。
貯まったICOCAポイントは「1ポイント=1円」で換算し、利用月の翌月6日以降にチャージすることで、列車や買い物に利用可能。

●ICOCAポイントの種類:
ポイントの種類は3種類
・時間指定ポイント:
京阪神地区の特定の区間で、平日の10時から17時まで、または土休日・年末年始の終日(始発列車から最終列車まで)区間ごとの利用回数が1ヵ月間に4回以上の場合4回目以降の利用1回ごとに、その区間の運賃の30%または50%のポイントが付与

・利用回数ポイント:
JR西日本のICOCAエリアにおける、同一運賃区間の利用回数が1ヵ月間に11回以上の場合11回目以降の利用1回ごとに、その区間の運賃の10%のポイントを付与

・電子マネーポイント:
一部のICOCA加盟店でのICOCA電子マネーの利用に応じてポイントを付与。



その他詳細は、上記発表資料をご覧下さい。


ICOCAによるポイントサービスについては、既に昨年(2017年)9月にJR西日本により発表があり、当ブログでもその内容をご紹介しました。
【JR西日本】ICOCAによるポイントサービスを開始。昼間特割きっぷは2018年9月末の発売で廃止 : 阪和線の沿線から

その際、同時に「昼間特割きっぷ」についても2018年9月末の発売をもって廃止されることが発表されていたことから、今後導入されるICOCAポイントサービスでは、この「昼間特割きっぷ」の代替の役割も一定程度担うことも考えられていたことから、その内容に注目が集まっていました。

今回発表された「ICOCAポイント」では、従来からある「回数券」と、今般廃止となる「昼間特割きっぷ」での割引要素も交えた制度になっているように感じられるかと思われます。

その特徴的なものとして挙げられるのが、「時間帯指定ポイント」といえるでしょう。
ポイントとしては、以下の通りとなっています。
●対象区間・箇所:
JR京都線、JR神戸線、JR宝塚線の一部区間
●利用条件:
・平日の10時〜17時の間に入場または出場した場合と、土休日・年末年始の終日の利用が対象。
・時間帯指定ポイント適用区間の区間(グループ)毎の利用回数が4回以上の場合、4回目以降の利用1回ごとに、その区間の運賃の30%または50%のポイントを付与。


昼間特割きっぷの設定区間としては、京阪神地区の一部区間となっていますが、今回の「時間帯指定ポイント」の設定区間も、この「昼間特割きっぷ」の区間にほぼならったものとなっています。
一方、ポイント付与率は、30%あるいは50%となっていますが、これも昼間特割きっぷの割引率を参考に設定されているものといえるでしょうか。
例えば京都〜大阪の場合、所定運賃は560円、昼間特割きっぷは6枚で2,100円のため、1枚では350円となっています。
これらの条件を元に、「ICOCAポイント」の「時間帯指定ポイント」と、「昼得きっぷ」とを比較してみたのが、以下の画像です。
icocapoint_comparation

今回、京都〜大阪間で比較したところ、一ヶ月あたり12回(6往復)を境にICOCAポイントの方が有利なる計算となりました。
これは、現在の「昼間特割きっぷ」の2冊分の回数に相当しますが、これ以下の回数では実質的な負担が増えることとなります。
もっとも、元来「昼間特割きっぷ」とは、ある一定以上の回数を、比較的空いている時間帯に利用する顧客を対象に、大幅に割り引く趣旨であったことを考えると、今回導き出された「1ヶ月12回程度」というラインは、現在の状況における平日昼間・土休日における割引水準、という意図も見えなくもありません。
(かつての「昼間特割きっぷ」の発売単位が12枚だったことも、理由の一つかも知れません。)

しかし、回数券というバラ使いができる商品の特徴上、金券ショップでバラ売りされることで、少ない利用回数であっても割安な運賃で利用できてしまうことに加え、本来の運賃でJR西日本が得られるはずだった運賃収入の一部が金券ショップが得ることとなっている点について、もはや看過できない状況であるともいえるでしょう。
今般ポイントサービスという形で、こういった収入の流出を阻止しようという、企業としての強い意志がこの度ようやく実現に至ったのかな、と思うと、感慨深いものを感じた、というのはいささか大げさかも知れませんが、個人的には、ここまで徹底した金券ショップ対策というのは、すがすがしささえも感じたりしました。


個人的には、「ICOCAポイント」の恩恵にあずかることができるのは「電子マネーポイント」なのかな、とも思いますので、現在発表されている加盟店では「駅ナカ自販機curico」のみが発表されている状況ですので、今後の加盟店拡大を期待したいな、と思います。

「ICOCAポイント」10月開始 乗車4回目以降でポイント50%付与も JR西日本 | 乗りものニュース
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JR西日本で10月1日から「ICOCAポイント」のサービスを開始|鉄道ニュース|2018年08月18日掲載|鉄道ファン・railf.jp
JR西日本、列車乗車回数に応じてポイントが貯まる!「ICOCAポイント」を2018年10月1日よりサービス開始 - kqtrain.net(京浜急行)
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