JR西日本では、昨今の少子高齢化による人材確保難などの経営環境の変化を踏まえた、今後の駅の運営体制を発表しました。

2019年2月 定例社長会見:最近の営業・輸送概況、環境変化を踏まえた今後の駅の運営体制:JR西日本
該当項目は、「2 環境変化を踏まえた今後の駅の運営体制」です。

概要は、以下の通りです。


●駅の運営体制で目指す姿:
労働力人口が減少していく中で、JR西日本社員の年齢構成は下記のグラフのようになっており、今後、人材確保がますます難しくなっていくことから、現在駅係員が担っている業務について、少人数でもより高い安全・CSが持続的に提供できる体制を構築していく。
jrw_employee_age_disribution
▲JR西日本社員年齢構成
(上記発表資料(http://www.westjr.co.jp/press/article/2019/02/page_13836.html)より引用)


●今後めざす「駅係員が行う業務」:
・現在、駅係員の業務の中心である、みどりの窓口における切符の発売業務(いわゆる「出札」)と切符の確認や時刻のご案内などの改札業務ついては、利用者自身で列車運行情報を調べ、IC乗車・ネット予約で切符を購入し列車を利用するなどの「セルフ化」を進める。
・「遠隔システムコールセンター」や電話応対などを集約している「お客様センター」などの運営を委託しているグループ会社との連携も含めて、業務の「集約化」を図る。
・これにより、安全・安定輸送を基本とした上で、さらなる生産性向上を図り、駅係員が利用者と向き合う「フロント業務」に注力し、きめ細やかなサービスを持続的に提供できる体制を構築する。

●出札・改札業務の集約化:
・ネット予約やチケットレスサービスの導入により、「みどりの窓口」については新幹線駅や拠点駅に集約し、それ以外の駅については「みどりの券売機プラス」を導入することで、みどりの窓口と同等のサービスを提供する。
・クレジットカードの使用や定期券の購入が可能な新型券売機(HT50‐況拭砲砲弔い討盻膽‘各拡大していくことで、さらなる効率的な販売体制の構築を目指す。
・改札業務についても、今後もICエリアの拡大にあわせて、コールセンターへの集約を継続していく。

これら機械化や集約化を進めていくことで、将来的には京阪神地区におけるみどりの窓口は、下記の程度の数字に集約する計画とする。

京阪神エリア(計約340駅)における導入拡大イメージ:
□みどりの窓口:
現状(2018年度初)180駅を、将来(2030年度頃)には拠点駅・新幹線駅を中心に30駅程度に配置

□みどりの券売機プラス:
現状(2018年度初)50駅を、将来(2030年頃)には、上記「みどりの窓口」配置駅以外の駅を中心に100駅程度に拡大

□高機能型券売機
現状(2018年度初)70駅を、将来(2030年頃)には、ほぼ全ての有人駅に配置


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



「みどりの窓口」配置駅の大幅削減というセンセーショナルな内容が注目を集めた、今回のJR西日本の発表で、その内容に賛否両論、といった意見が聞こえてきます。

私なりに今回の発表を見てみると、JR西日本の歪(いびつ)な社員の年齢構成、そして今後の更なる少子高齢化による労働力人口の減少を見据えると、これくらいの思い切った整理は避けて通れないのかな、と感じています。

まず「歪な年齢構成」ですが、上記で紹介したJR西日本の年齢構成のグラフをもう一度ご覧下さい。
jrw_employee_age_disribution

特徴的なのは、「40歳〜54歳が他の年齢よりも極端に少ない」ことが挙げられます。

これらの年齢の社員が高卒でJR西日本、あるいは国鉄に入ったと仮定すれば、1982年頃から1996年頃となりますが、丁度この頃は、国鉄末期からJR初期にかけての時代で、新規採用が大幅に抑えられていた頃であると推察されます。

この年齢層の社員が極端に少ないことから、これまた逆に極端に多い年齢層の55〜66歳(再雇用含む)の社員が完全に退職する約10年後には、現在のJR西日本社員の約1/3が退職を迎えることとなり、少人数で持続的な駅係員業務体制の構築は、喫緊の課題であるといえます。


それなら「新規採用を増やせばよいではないか」という声もあるでしょうが、それが容易にできないのが少子高齢化であります。
2015年の人口ピラミッドをご覧下さい。
2015_population_disribution
▲出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ (http://www.ipss.go.jp/site-ad/TopPageData/PopPyramid2017_J.html)

2015年国勢調査に基づく人口ピラミッドですが、これによると、今後退職する世代(2015年現在52歳〜63歳)に対し、今後就労が見込まれる人口(2015年現在5歳〜15歳程度)を比べると、各年齢とも、ほぼ半減しており、同等の人員を確保することが非常に困難なことが見て取れます。


これらの社会的な状況を踏まえると、これまでどおりの人員体制を維持することが困難であるばかりか、将来にわたる鉄道サービスの持続的な提供においても障害になり得ることも考えられます。
そんな中、今回駅の運営体制の生産性を向上し、より少人数でもサービスが提供できるようにするための方策が発表された、といえるでしょう。


その内容を見ると、やはり「みどりの窓口」の大幅削減が注目ですが、そのうち100駅程度は「みどりの券売機プラス」に置き換えることとして、現在みどりの窓口が設置されている駅の多くでは、今後も何らかの形で指定券等を引き続き購入できるようにしています。
また、今後インターネットを介したチケットレス系の商品を増やし、そもそもきっぷが必要とする場面そのものも減らしていくことも考慮した、将来的な設置駅数、と言えるかも知れません。

あと、「みどりの窓口の廃止」イコール「無人化」と捉えられそうな向きもありますが、JR西日本の発表では、駅係員はあくまで「フロント業務」に注力するすることとしていることから、今回の発表が即「無人化」を進めるわけではない、ということは、少し気に留めておきたいとは思います。

とはいえ、「セルフ化」「集約化」によって、駅係員が行う業務が集約化されれば、駅係員が必要となる場面も減ってくることでしょうから、それを見越した無人化、というのもあり得なくもないので、これは今後の駅体制の変化を追いかけていく必要があるのかな、とも感じました。



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▲和泉鳥取駅のみどりの窓口

今回の発表ですが、賛否様々な意見がありますが、個人的には、上記で縷々記した通り、JR西日本が鉄道事業を将来的に渡って運営していくためには、必要な施策だと思っています。


もっとも、今後みどりの窓口が削減されるということは、我が最寄り駅・和泉鳥取駅のみどりの窓口は、駅の規模から考えると、そう遠くない将来に見納めになるものと思われます。

今まで色々なきっぷをお願いして、確実に発券していただくことで、私の鉄道旅行をスムーズに実現していただいたことに、今更ながらでありますが、感謝する次第であります。
そう遠くない将来、みどりの窓口が閉鎖になるまでに、できる限り和泉鳥取駅のみどりの窓口で指定券等の発券を行って、将来、かつてこの駅にみどりの窓口があったことを後世に伝えることができればいいな、とも思っています。




●関連ニュースサイト:
JR西日本、みどりの窓口を大幅削減 遠隔操作システムに移行へ | RailLab ニュース



●関連ブログ:
JR西日本、「みどりの窓口」大幅廃止へ: たべちゃんの旅行記「旅のメモ」



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