JR西日本では、関西空港へのアクセスを担う特急「はるか」について、増結用の新型車両を投入することを発表しました。

特急「はるか」へ新型車両を投入!:JR西日本
6月 定例社長会見:最近の営業・輸送概況、特急「はるか」への新型車両の投入、在来線におけるさらなる防犯対策:JR西日本
(「2.特急「はるか」への新型車両の投入」)参照



概要は以下の通りです。

●形式:
271系 特急形直流電車
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▲新型車両「271系」外観
(上記発表資料(https://www.westjr.co.jp/press/article/2019/06/page_14402.html)より引用)

●投入車両数:
18両(3両編成×6本)
既存の6両と併結して運転するための車両として投入

●運行区間:
米原・京都〜関西空港間

●車内の追加設備:
・全座席へのモバイル用コンセント設置
・車内ディスプレイによる停車駅・運行情報などの多言語案内(4カ国語対応)
・客室内への大型荷物スペースの設置(大型スーツケースなどにも対応)
・防犯カメラ(客室内・デッキ部)の設置による車内セキュリティ向上
(訪日外国人向けフリーWi-Fiサービスは現在の281系と同様に提供)

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▲車内の追加設備一覧
(上記発表資料(https://www.westjr.co.jp/press/article/2019/06/page_14404.html)より引用)

●車両デザイン:
現在の281系「はるか」ブランドを継承したデザイン

●営業開始時期:
2020年春頃予定



概要は、上記発表資料をご覧下さい。


1994年9月の関西空港開港と同時に運行を開始した特急「はるか」281系。
以来、一貫して関空アクセス特急の役割を担ってきた訳ですが、これまでの道のりは決して平坦なわけではありませんでした。

運行開始当初は、関空開港ブームによる利用率の高さもあり、5両編成から6両編成に増結されたものの、その後開港ブームが落ち着くとともに、利用者の減少する時期が続きました。
2001年の米国同時多発テロ発生後、特に国際線需要の急激な落ち込みが、「はるか」にも影響し、この頃から列車の空席も目立つようになりました。
更に追い打ちをかけたのは2008年のリーマンショックで、2009年には「はるか」の利用者は過去最低を記録しました。
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▲JR西日本主要線区の特急・急行乗車人員
(出典:データで見るJR西日本(https://www.westjr.co.jp/company/info/issue/data/pdf/data2018_10.pdf))


その影響は遂に、2011年3月ダイヤ改正での日中「はるか」削減という形で現れてきました。
参考:臨時「はるか」、来春で廃止。代替えに快速増発の報道 : 阪和線の沿線から


風向きが変わってきたのは、2010年代中頃から増えてきた訪日外国人旅行者でありましょうか。
もとよりアジア圏への就航割合が高い関西空港でありましたが、中国を筆頭とする訪日客の増加により、「はるか」の需要は瞬く間に盛り返してきて、2016年のダイヤ改正では、この削減された日中の「はるか」の運行が復活することとなりました。
参考:【JR西日本】平成28年春ダイヤ改正を発表。「サンダーバード」「はるか」増発、広島地区227系増備など : 阪和線の沿線から

上記「データで見るJR西日本」資料によると、2017年度の下り片道1日平均乗車人員は3,811人と、運行開始時の4,764人にはまだ及ばないものの、一時期の低迷期には2,000人程度だったことを考えるとほぼ倍増で、まさにここまで需要が復活するとは、当時のことを考えると、近年の「はるか」の増加ぶりには、阪和線沿線利用者としても、嬉しいことこの上ないわけであります。


今後も増加が見込まれるインバウンド利用に対応するべく、座席数の供給強化が求められるなか、今回発表されたのが、この「271系」。
外観は、これまでの281系のデザインを踏襲しつつ、同じく阪和線を走る特急「くろしお」に使用されている「287系」にも近いデザインとなっており、運行開始時から四半世紀を迎え、すっかりイメージが定着した「はるか」のデザインを継承する、個人的には好感の持てるデザインであります。

一方車内に目をやると、これまた281系の車内デザインを踏襲しつつも、モバイルコンセントの全座席設置や車内ディスプレイの設置等、現在の国際空港アクセス特急として求められる設備を搭載し、現在の空港アクセスへのニーズを満たした車両となっています。


まさかのインバウンド需要拡大により新形式が誕生することとなった、この271系。
運行開始は来春で、3両編成が6本投入されることから、今後「はるか」利用の際には、割と多く見かけることも可能になるのかな、とも思います。

気になるのは、下記エントリーでご紹介した281系の置き換え計画。
参考:【JR西日本】資材調達計画で281系・283系置き換えの計画が判明(2024〜2027年) : 阪和線の沿線から
このエントリーでは、281系等の置き換えが2024年から2027年にかけて計画されていることをご紹介しましたが、この置き換えが、今回投入された271系の増備によるのか、はたまた271系とは違う新形式が投入されるのか。

こちらの動きも見逃せないところですが、当座はこの271系の運行開始を楽しみにしたいな、と感じたニュースでありました。




●関連ニュースサイト:
関空特急「はるか」に新型271系電車投入 3両増結して9両編成に | 乗りものニュース
関空特急はるかに新型車両、1列車あたりの座席数を1.5倍に - 鉄道コム
JR西日本,特急“はるか”に271系を導入|鉄道ニュース|2019年6月21日掲載|鉄道ファン・railf.jp



●関連ブログ:
JR西日本、特急「はるか」用新型車両「271系」投入 - kqtrain.net(京浜急行)
【JR西日本】新型はるか「271系」投入!2020年春頃からデビュー | いまどきの鉄道サイトの作り方
「はるか」に新型車両271系: たべちゃんの旅行記「旅のメモ」
Msykの業務(鉄道)日誌:271系「はるか」登場へ



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