このブログでも近年、鉄道事業者とアニメ作品とのコラボ企画を数多くご紹介してきました。

人口減少の趨勢の中、少しでも多くの利用者を確保するためには、様々な手段で定期外の利用者を確保すること、また運輸収入が頭打ちとなっている状況の中で、少しでも鉄道事業の経営を安定化するためには、関連収入を確保することが、持続的な鉄道路線の維持にとって求められている経営戦略の一つである、と思っています。

定期外利用者と運輸外収入の確保の観点では、観光列車や外国人旅行者の対応、といった施策が思い浮かびますが、そんな中、「アニメ作品とのコラボ」という切り口は、これまであまりターゲットとされてこなかった「アニメファン」という利用者層を取り込むことができること、関連グッズへの購買意欲が高く関連収入が見込める、そして続編の展開が続くことによるリピーターが確保できる、といった点からも、有望な施策であるといるでしょう。

一方のアニメ事業者から見ても、これまでアニメと無縁だった鉄道ファンを取り込むことができることができ、メリットが大きいともいえます。
ただ、鉄道ファンにとってみれば、アニメ作品中における鉄道関連の描写にも一定のこだわりを持っている人も多く、実際の車両を見慣れている鉄道ファンにとってみれば、実車との違和感をアニメ作品中で感じてしまうと、それだけで離れてしまう、という割とシビアなところもあるようなので、やはり作品の質というのもが左右するところは大きいようです。

そんな中、これまで多くの作品で鉄道事業者とのコラボ企画が実施されたアニメ作品を作成している会社として、「京都アニメーション」という会社があります。
その名の通り、京都府の南部、宇治市に本社を有するアニメ製作会社でありますが、これまでも、京阪電鉄や叡山電鉄、北近畿タンゴ鉄道や近畿日本鉄道等の鉄道事業者が実施したコラボ企画の元となるアニメ作品を作成している会社であります。
その京都アニメーションの作中に出てくる鉄道車両については、どれも実車を忠実に再現してきたものであることは、下記の本ブログエントリーでもご紹介してきたとおりであります。
参考:
映画「中二病でも恋がしたい!-Take On Me-」を見にいく。キービジュアルに描かれていた「あの列車」を中心とした感想です【部分的ネタバレ注意】 : 阪和線の沿線から
劇場版「響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜」を鑑賞しました(2019.4.19、ネタバレあり) #anime_eupho : 阪和線の沿線から
「劇場版 響け!ユーフォニアム」感想【ネタバレあり】 #anime_eupho : 阪和線の沿線から
【京阪電鉄】アニメ「響け!ユーフォニアム」とのコラボ企画を実施。企画きっぷの発売や大津線ラッピング電車の運転、パネル展示等を実施 : 阪和線の沿線から


特に、地元・宇治を走る京阪宇治線の描写は、他に比類するものがないほど忠実で、同社作品の完成度の高さは「京アニクオリティ」と称されるほどでありますが、こと鉄道描写に関しても同様で、これが同社の作品が、アニメファンはもとより、多くの鉄道ファンに支持されるようになった、一つの理由でもないのか、と個人的には思うところであります。




その「京都アニメーション」で、本日午前爆発火災があり、現在(7月18日22時現在)で33名の死者を含む69名(下記消防庁発表資料による)の死傷者が発生するという、事件が発生しました。
京都府京都市伏見区で発生した爆発火災(第5報)|消防庁災害対策室


出火原因は調査中とのことですが、現場付近の路上にガソリンが検出され、20リットル携行缶が2缶あり、ガソリンをまいて火を付けたとの情報があるとのことであり、また各種報道等によると、ガソリンのような液体をまいて火を付けた男性が、同社の建物に放火をした容疑で身柄を確保したとのことであります。

事件の概要は今後の警察の捜査を待つしかないわけですが、それにして(現時点で)33人ものの方がお亡くなりになっている、しかもその多くが同じアニメ製作会社であったということからして、非常に衝撃的で、筆舌に尽くしがたい事件であったとしか、言い様がありません。
そもそも33名もお亡くなりになる放火事件自体、それを起こして、一瞬のうちに生命を奪った犯人には怒りが収まらないわけですが、それが、冒頭で述べたとおり、日本、否世界でも有数の質を誇るアニメ作品を世に送り出してきた企業の人々であったことを考えると、あまりにものショックを感じた方は、私だけでは決してないはずです。

お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。



さて、こういうことを今敢えて考えるのか、というお叱りを承知で書くわけですが、この京都アニメーション自体、社員数は200名程度とのことらしいのですが、その2割弱の社員を一度に失ったとすれば、今後の事業継続に相当な影響が生じることは否めません。

実際に主要な事業所の一つを放火で失ったわけですし、しかもその高い品質の作品を送り出してきたスタッフが多く失ったとなれば、これまで通りに作品を世に送り出すことは、しばらくは難しくなるかも知れません。

ただ、「しばらく」と書いたのは、勿論社内外の人々が団結して京アニの復活に協力していけば、完全とは無理であっても、いつかはきっと、元の姿に戻せるかも知れません。
そんな日がいつ来るのか分かりませんが、当座必要なものは「資金」かも知れません。
何せメインの生産拠点を一つ失ったわけで、もはや事業継続の瀬戸際に立たされることとなったわけで、そこで支えていくためには、ファンによる資金的な支援が必要であるかも知れません。

例えば動画配信サービスで有料配信されている京アニ作成の作品を課金して視聴するとか、京アニショップでダウンロードして閲覧できる媒体を購入するとか、出来ることは探せばあるかも知れませんので、私も少しでも貢献して、これまでのような、再現度の高い鉄道描写の作品を再び見ることができることを願いたいと思います。



最後になりましたが、当ブログでもご紹介してきた、京アニ関連の作品のラッピング車両をご紹介します。

●響け!ユーフォニアム:
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▲2018.4.14 京阪電鉄大津線 錦織車庫

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▲2015.9.21 京阪電鉄大津線 三井寺〜浜大津(現・びわ湖浜大津)

●中二病でも恋がしたい!:
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▲2015.4.7 京阪電鉄大津線 三井寺〜浜大津(現:びわ湖浜大津)

●けいおん:
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▲2014.12.24京阪電鉄大津線 三井寺〜浜大津(現:びわ湖浜大津)


こういった作品が、今後も京アニから生み出すことができるようになることを、願いたいですし、そのために出来ることなら、少しずつでも実行したいと思います。
繰り返しですが、今回の事件でお亡くなりになった方々のご冥福お祈りするとともに、被害に遭われた方々のお見舞いを申し上げます。
アニメ製作会社であれなんであれ、こんな卑劣な事件はもう二度と起こって欲しくない、それが管理人の偽りざる気持ちであります。