このブログでもご紹介してきた、きっぷ系同人誌サークルの「交通法規研究会」。
これまで「熱転写方式マルス端末券総集」のVo.1追録からVo.3までご紹介してきました。






この度、その続刊となるVo.4と、それに加えて「障害者割引きっぷの手引きVol.1」が発刊されましたので、早速入手してみました。

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●熱転写方式マルス端末券総集Vo.4
風の噂によりますと、熱転写マルス端末は、遂に全国から姿を消した模様です。
国鉄時代末期から長らく続いてきたこの方式が遂に終焉を迎えたわけで、そういう意味では今後このシリーズのタイトルが変わるのかどうなのか、気になるところではあります。

前置きはさておき、今回の「総集」では、
・マルス端末の赤印字
・普通回数券
が取り上げられています。

「マルス端末の赤印字」のきっぷは私自身目にしたことがありませんが、それもそのはずで、本書P2によれば、「本来の目的は出札係員に対して、払い戻しや乗車券類変更のとき、原乗車券類が正しく控除され、その効力を失ったことを明確に示すものであると考えられ」(本書より引用)るからで、私自身購入の際には少々のこだわりを持ってきっぷの発券をお願いすることはあるのですが、払い戻し、区間変更は滅多に行うことがないから、目にしたことがないのも当然です。

今号では、その「赤印字」のマルス券を、ただ並べるだけでなく、その「赤印字」がなされた根拠について説明しており、それらも参考にしながら、「赤印字」の根拠を勉強し、自分ならどのような「赤印字」のきっぷを手にすることができるのか、考えながら読むのも面白いのではないのでしょうか。

加えて、「赤印字」という点から、新幹線定期券・在来線特急定期券等も、赤印字が行われる乗車券類であり、これらも紹介されています。
個人的には、例えばJR西日本の「パスカル」なんかは、勤務地次第で使えそうな気もしますので、仮にそんな機会に恵まれたとすれば、著者の方にご報告したいな、とも思いました。
参考:特急用定期券パスカルのおねだん:JRおでかけネット


●障害者割引きっぷの手引きVol.1:
そしてもう一冊の本は、「障害者割引」のきっぷについてまとめ上げた本です。
私自身は、障害者手帳を有しておらず、また介護者としても鉄道を利用する機会が現在のところないことから、障害者割引、そして障害者割引きっぷについて、目にしたことは、全くありませんし、手元のコレクションにもありません。

ただ、割引制度自体が存在することは知ってはいたのですが、その程度の知識で留まっている状況だっただけに、まさに本書表紙にある「あなたの知らないきっぷの世界」を読み進めるに従って知ることとなった、そんな一冊でありました。

本書も、「マルス端末券総集」と同様、制度の法規的な面を、実券とともに解説していくというスタイルなのですが、その「解説」が、やはり一般的には馴染みの薄い「障害者割引」となることから、その説明には相当のボリュームを割いているのが、まずもって圧巻と感じました。

その解説も、「障害者割引」の根底となる、国の障害者施策の経緯、そして日本の法制度における障害の定義、というような、一見「きっぷ収集」とは関係のなさそうに見える制度の解説について、懇切丁寧に記されています。
そういえば、ここまで「障害者」の定義について端的に記した文献はあまり見たことがなく、そういう意味では、こと「きっぷ収集」の目的でなくとも、本書の記述は非常に参考になる、資料性の高いものと感じました。


そして、主題の「きっぷ」の解説も、本人単独使用、本人+介護者1人の際の本人と介護者の、計3パターンを主にした普通乗車券、定期券、回数券、そして知的障害者割引や連絡乗車券等々、およそここでご紹介するより是非本書を手にしていただきたいと思います。




以上、交通法規研究会さんの本を二冊ご紹介しました。
特に「障害者割引きっぷの手引き」ではそうなのですが、今回は少々のことでは目にすることができないきっぷの解説本、ということで、貴重な資料であると感じました。
特に「障害者割引」については、当事者にならないとその内容に触れる機会も希少なだけに、当事者でない方々でも、障害者割引制度、ひいては障害者施策の勉強、という観点からも、是非ともお手元に置いておきたい本であります。

いずれの本も、冒頭のAmazonの他、これまで同様に関西地区では旭屋書店なんばCITY店でも入手することができますので、是非ともお求めいただければと思います。



先にも述べましたが、「熱転写方式マルス端末券」というタイトル本をこれまでご紹介してきましたが、肝心の「熱転写方式マルス」がなくなって以降、本シリーズのタイトルに今後変化があるのかが気になるところではありますが、今後も、関連法規の解説と実券をセットで解説するこのスタイルでの書籍の製作を、是非とも続けていただければな、と、感謝と応援の意味を込めてのご紹介でありました。




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