全日本吹奏楽連盟では、同連盟の事務局職員2名が、約10年に渡り給与・賞与を不正受給していた不祥事があったことを発表しました。
本連盟事務局職員不祥事のご報告とお詫び|全日本吹奏楽連盟

上記発表資料によりますと、連盟理事会の調査委員会(外部識者の弁護士を含む)の報告を受け、当該不正を行った事務局職員2名を懲戒解雇するとともに、民事・刑事両面にわたり厳正な対処する旨を各会員連盟(各都道府県等単位で組織)の理事長・各支部(全国11支部)の支部理事長に説明・報告を行った、としています。

また、今回の事態を踏まえて、諸規定の改正や、ガバナンス体制及び内部監査の強化等を含む再発防止策を早急に実施することとしています。


一方報道によると、上乗せして不正受給していた金額は約1億5200万円にのぼり、またその手口は、伝票を偽造し、理事会などに報告する決算書類において、上乗せ分をコンクール会場費や課題曲の楽譜制作費として計上していた、としています。

1億5200万円を不正受給か 全日本吹奏楽連盟が事務局長ら懲戒解雇 - 産経ニュース



このブログでも時折吹奏楽について触れることがあるのですが、私自身、中学・高校と吹奏楽部に所属しており、様々な演奏活動に参加したことを、今でもつい最近のことのように思い出します。
その中でも、「吹奏楽コンクール」は年間行事の中でも特に大きな行事であり、それが故に練習時間も多くを割いていました。

音楽という芸術活動に、評価・順位付けというのは馴染まないのではないか、という意見は私が吹奏楽に携わっていた頃からありはしましたが、その一方で、コンクールという具体的な目標に向けて練習することで、演奏技術の向上に貢献していることもこれまた確かなことでもありました。
また、全国津々浦々で共通の課題曲、そして共通の時間制限(課題曲+自由曲で12分)等の、同一の規定に基づき実施される吹奏楽コンクールは、全国的な吹奏楽の水準向上に、一定の貢献を果たしているのかな、と今になって思っているところです。


その「吹奏楽コンクール」などの運営を全国的に担っている「全日本吹奏楽連盟」で、この度給与・賞与等の不正受給という、不祥事が発覚したとのことで、かつて吹奏楽に携わっていた者の一人として、嘆かわしく、悲しく感じたともに、こういう事件だからこそ、取り上げなければならないな、と感じ、本日の記事でご紹介した次第です。

手口としては、給与等を不正に上乗せし、その費用を(報道によれば)コンクール会場費や課題曲制作費に決算上は計上していたとのことで、ある意味単純な不正経理の事例とも思えます。

しかし、「単純な不正経理」であったとしても、本来吹奏楽の更なる振興に費やされるべき費用が、不正受給という形で悪だくみした一部の職員の私服を肥やすことに費やされたことには、憤りを感じずにはおれません。

勿論、不正受給を画策した元事務局職員は断罪されてしかるべきであります。しかし、その「単純」:ともいえる不正経理が、これまで約10年に渡り発見されていなかったのは、同連盟の監査体制が杜撰であったことをも、これまた示すものでありましょう。

全日本吹奏楽連盟の業務として、経理上のみならず、例えばコンクールの課題曲や審査員の選定等、高い厳正さが求められる業務が多数あるのではないかと思われますが、このような甘いガバナンスの元で、果たしてこれら吹奏楽の演奏そのものに関わる事柄についても、果たして公平・公正な判断が行われていたのか、と疑わざるを得ない、と考える方もおられるかも知れません。

そういう意味では、単なる不正経理に留まらず、吹奏楽に関わる、あるいは関わってきた多くの人々の信頼を一瞬にして奪ってしまった罪は非常に大きいと言わざるを得ません。

上記報道内容等によると、今後はガバナンス体制の強化等を図っていくこととしていますが、今後そのガバナンスの強化により、より厳密な内部監査の元、透明性のある情報開示を行っていくことにより、一日も早い信頼回復を願わずにはおれません。

少子化の昨今であっても、吹奏楽を目指す新入生も多く、また、吹奏楽コンクールも現在でも多くの吹奏楽部員が目指す目標として、今でもなお君臨しています。
その、ある意味「権威」的な存在は、その組織運営の「公正」さがあってからこそ成り立つものでないかと思うだけに、吹奏楽に関わる全ての人が、その運営に対する信頼感を持てるようになるために、連盟の運営体制の正常化は必須であります。

吹奏楽を楽しむ全ての人が、こんな不祥事で振り回されることなく、演奏活動等、本来の「吹奏楽」に集中できるように、連盟には根本的な運営体制の見直しを願いたいものでありますし、それを見届け、そしてより多くの人に広めていくことが、かつて吹奏楽を楽しみ、そして今は吹奏楽と関係ない話題でありますが、それなりにアクセス数のあるブログの書き手としてできることなのかな、と感じたニュースでありました。