当ブログでは、鉄道やバスのみならず、フェリーの情報も色々とご紹介しています。

他の乗り物に比べるとスピードという面では劣るものの、それと引き換えに広い空間が得られることや、特に長距離航路となれば、それこそ様々な等級が用意されていたり、レストラン・食堂・風呂が完備されていて、まさしく「動くホテル」そのものの乗り物として、「旅情」あふれる旅行が楽しめる手段ではないか、と思っています。

また、フェリーと言えば「雑魚寝」のイメージがどうしてもつきまとうのですが、このブログでもご紹介しているように、近年の新造船では、いわゆる「雑魚寝」のスペースを減らし、その分を個室やパーティションで区切られた船室にあてがうことで、プライバシーの確保も進んでいるのが、昨今の状況であります。


そんな、フェリーの情報をまとめた書籍についても、これまで幾度かご紹介してきたと思いますが、今回は、近年の新造船をターゲットにしたムック本をご紹介したいと思います。

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にっぽん全国たのしい船旅(2020-2021) フェリー・旅客船の津々浦々紀行 阪九フェリー「せっつ」「やまと」 (イカロスMOOK)
にっぽん全国たのしい船旅(2020-2021) フェリー・旅客船の津々浦々紀行 阪九フェリー「せっつ」「やまと」 (イカロスMOOK)


「にっぽん全国たのしい船旅2020-2021」、イカロス出版の本です。

内容は、表紙にある阪九フェリー「やまと」を筆頭に、「北から南の新造船現地レポート」とあるように、昨年から今年にかけて就航した新造船を、それこそ北海道から沖縄まで駆けめぐり、可能な限り乗船し、その様子をレポートしたものとなっています。

勿論、当ブログでご紹介した南海フェリー「フェリーあい」、阪九フェリー「せっつ」「やまと」も漏れなく紹介されており、これら両船が取り上げられている、という理由で購入してみましたが、その情報量の多さに驚いた次第でありました。
【参考】
南海フェリー新造船「フェリーあい」に乗船する(2019.12.20) : 阪和線の沿線から
【阪九フェリー】新造船「せっつ」の就航日は3月10日(火)(予定)に。併せて第2船の名称を「やまと」と命名 : 阪和線の沿線から
【阪九フェリー】新造船「せっつ」の就航日は3月10日(火)(予定)に。併せて第2船の名称を「やまと」と命名 : 阪和線の沿線から


しかも、出版しているのが、航空雑誌のトップランナー「月刊エアライン」を刊行しているイカロス出版でありますので、「月刊エアライン」のような技術的な点や接客設備、そして実際の運航の様子が、フェリーの世界においてもリアルに記されており、これだけでも記録のみならず、今後の乗船に非常に役に立つ情報が満載の書誌だと感じました。


加えて、この本では、「堺泉北〜宮崎〜日向細島」という、聞き慣れない航路の紹介がありました。
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▲「堺泉北〜宮崎〜日向細島」HAKKOひなたの紹介
(本書P98より引用)


かつて貝塚〜宮崎へのフェリーが運航していたことはありましたが、現在は既に無く(現在は宮崎カーフェリーが神戸〜宮崎で運航)、これは一体何の航路なのか、気になって読んでみたところ、どうやら無人車航送のRORO船(※)に条件を満たせば一般客も乗船できる航路のようであります。
(※)RORO船:
貨物を積んだトラックやトレーラーをそのまま積み込む船。
トラック等が実走して乗船(ロールオン)・降船(ロールオフ)できる船であることから、この名称が付けられています。
(参考)
RORO船 | ロジスティクス用語集 | 日本通運



詳しくは本書を手に取って、その様子をご一読いただければと思いますが、あくまで「貨物船」であることから、接客設備とは無縁の船内であり、「優雅な船旅」とは全く違うものでありますが、それはそれで、日本の物流を支えるRORO船の様子を垣間見ることができる、という意味では、これまた「貴重な船旅」であるといえます。

しかもこのような、RORO船に乗船できる航路が、我が地元の堺泉北港(阪九フェリー泉大津港とほぼ同じ場所)から発着しているとは、私自身も本書を通じて初めて知ることができたという意味で、有益な書籍でありました。
様々な条件があり、簡単にはいかないことは承知の上ですが、機会があればこういった船旅もできればいいな、と思いました。


ともあれ、昨年から今年にかけて就航したピカピカの船舶を紹介したデータブック。
新型コロナウイルス感染症の影響で、様々な感染症対策が行われていると思われますし、しかも夜行フェリーについては「Go To トラベル」の対象にもなっていますので、本書を眺めながら、おトクに快適な船旅を探してみるのはいかがでしょうか。




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