観光庁では、12月14日(月)に開催された第49回新型コロナウイルス感染症対策本部における菅総理大臣の指示を踏まえ、札幌市、大阪市、名古屋市、東京都(以下「4都市」)の旅行の取扱い及び年末年始における全国的な旅行の取扱いについて発表しました。

Go To トラベル事業の取扱いについて|Go To トラベル公式サイト

【4都市(札幌市、大阪市、名古屋市、東京都)を目的地とする旅行】
●新規予約:
・札幌市、大阪市、名古屋市を目的地とする旅行について、12月14日(月)20時〜12月27日(日)24時までに出発する旅行の新規予約について、適用を一時停止。

・東京都を目的地とする旅行について、12月18日(金)0時〜12月27日(日)24時までに出発する旅行の新規予約について、適用を一時停止

●既存予約:
既に予約済の4都市を目的地とする旅行のうち、12月22日(火)0時〜12月27日(日)24時までの出発分について、適用を一時停止。

●キャンセル:
既に予約済の旅行のうち以下の目的地および出発分について、12月14日(月)20時から12月24日(木)24時までの間、無料でキャンセル可能とする。

札幌市、大阪市、名古屋市が目的地・・・12月14日(月)20時〜12月27日(日)24時
東京都が目的地・・・12月18日(金)0時〜12月27日(日)24時
(※)いずれも12月14日(月)24時時点で予約されていた旅行に限る


【年末年始における全国的な旅行】
・新規予約、既存予約を問わず12月28日(月)0時〜2021年1月11日(月)24時までに出発する旅行について、地域にかかわらず適用を一時停止

・キャンセルは、12月14日(月)20時〜12月24日(木)24時までの間、無料でキャンセル可能


詳細は、上記Webサイトをご確認下さい。



新型コロナウイルス感染症については、この11月から新規感染者、重症者が増加する、いわゆる「第三波」が到来しており、地域によっては独自の行動自粛等の対策が取られているところです。

一方、「Go To トラベル」事業に関しては、下記でご紹介したように、「Go To トラベル」事業が感染拡大の主要な要因であるエビデンスは、現在に至るまで存在している、とは言われていない状況が続いています。
【参考】


確かにそれはその通りで、冒頭で記した「第49回新型コロナウイルス感染症対策本部会議」の資料でも、感染リスクが高まる「5つの場面」として、
・飲食を伴う懇親会等
・大人数や長時間におよぶ飲食
・マスクなしでの会話
・狭い空間での共同生活
・居場所の切り替わり

が挙げられています。
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▲新型コロナウイルス感染症対策本部会議(第49回)資料(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/sidai_r021214.pdf)より引用

こういった場面が「Go To トラベル」適用の個人旅行で生じることはそこまで多くなく、むしろ、移動を伴う・伴わないにかかわらず、「マスクなし」「飲食」「閉鎖空間」といった条件が、感染リスクを高めていることが分かるかと思われます。

実際、上記対策本部会議では、この年末年始にこういった感染リスクを高める「忘年会」「新年会」「成人式」「帰省」について、感染防止のための「お願い」について、感染症対策分科会からの提言が行われています。
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▲新型コロナウイルス感染症対策本部会議(第49回)資料(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/sidai_r021214.pdf)より引用


「第三波」ともいうべき感染拡大状況の中、感染を広げないためには、感染の主要因であるエビデンスが相変わらず無い「Go To トラベル」を中止するのではなく、忘年会や帰省といった、より感染リスクの高い行為を自粛するよう求めることが、より効果が出てくることは明白ともいえるでしょう。

ただ、「わかりやすいメッセージ」という点では、「忘年会等を自粛させながら、旅行は継続する」という姿勢は、「同時期に他の提言との整合性が取れた施策を行う」という点では相反するとも考えられますし、そういった意味で今回「Go To トラベル」を中止するのは、個人的には納得しづらい点はあるものの、理解せざるを得ないのかな、と感じています。


ただ怖いのは、逆に「「Go To トラベル」さえ止めれば感染が防げる」という風潮が蔓延しはしないか、という点です。
上記で縷々述べたとおり、感染リスクが高い行為は旅行と関係なしに存在するわけですが、もっぱら最近の状況が「感染が拡大している→Go To トラベルを止めないからだ」という風潮にも感じられる中、「Go To トラベル」の一時中止が発表されたいま、「じゃあ遠出しなければ何をしても大丈夫だ」と受け取られかねないか、心配です。

この年末年始、感染リスクが高いのは「Go To トラベル」の旅行というよりむしろ、「忘年会」「新年会」「帰省」でありますから、これを一人ひとりがみな、きっちり理解する必要があるのではないのでしょうか。



ともあれ、「GoToトラベル」だけが狙い撃ちされてスケープゴートにされている現状を嘆いても仕方がないので、今回発表された「GoToトラベル」の一時停止について、目的地・居住地・期間により対象可否及びキャンセル料の有無について、若干ややこしいので、自分自身の整理のために表にまとめてみました。
(※)管理人が発表資料を基に独自にまとめたものです。
間違い等があった場合であっても、閲覧者が受けた損害に対して管理人は一切の責を負いません。
閲覧者の自己責任の元に、閲覧・利用ください。

goto_cancel

表の見方としては、「○」の目的地・日程は適用対象、「×」は適用対象外です。
そして、色つきで囲っている期間の出発分について、キャンセルが無料または有料になる期間を示しています。

既に「GoToトラベル」で予約されている方で、いつまでにキャンセルすれば手数料負担が不要か、何となく分かるように整理してみましたが、少しでもお役に立てればいいな、と考えています。

4都市を目的地とする場合、新規予約と予約済の場合で、GoToトラベルの適用有無が分かれていますし、また、キャンセル料が無料となる対象の出発日も異なりますので、ご注意下さい。



ひとまず、「GoToトラベル」については、年末年始の適用一時停止ということになりますが、誤解を恐れず言えば、旅行業のみならず、宿泊業、運輸業、物販業、アミューズメント業等々、多岐に渡る観光関連産業に対して更なる犠牲を強いることで、何とか感染拡大を食い止めるメッセージを国民に伝えよう、ということにもなるかと思います。

我々としては、その犠牲が無駄にならないよう、今後の感染を抑えるために、感染リスクの高い行動は何かを今一度確認し(それが何であるかは既に述べています)、そのような行動を厳に慎む必要があると考えています。
そして感染者及び重症者が落ち着くことで、来年の年明け早々に「GoToトラベル」が再開し、上述の観光関連産業が、感染の状況を見極めながらも、再び息を吹き返すことに、少しでも協力していくべきではないか、と感じている次第です。



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