JR東日本では、在来線の砕石輸送や砕石散布、車両の入換作業や回送列車けん引用の新型車両を投入することを発表しました。

新型砕石輸送気動車および事業用電車の投入について

概要は以下の通りです。

【車両形式】
●GV-E197系(電気式気動車)
砕石輸送や砕石散布作業用に6両編成を1編成を投入。
併せて、非電化区間の車両入れ替えや回送列車のけん引に使用。

jre-gve197
▲GV-E197系
(上記発表資料(https://www.jreast.co.jp/press/2020/20210119_ho01.pdf)より引用)

●E493系(交直流電車)
車両の入換作業や回送列車のけん引用に、2両編成を1編成投入。
jre-e493
▲E493系
(上記発表資料(https://www.jreast.co.jp/press/2020/20210119_ho01.pdf)より引用)


【運用開始時期】
2021年春以降に投入し、性能試験を実施後に運用開始予定。


【運用エリア】
・GV-E197系:
高崎エリアで先行投入

・E493系:
首都圏エリアで先行投入


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



鉄道路線を維持するためには、砕石作業等といった線路のメンテナンスが必要ですし、また自力で動くことのできない車両を入れ換えるために、入換作業に使用しやすい車両を別途用意しておく必要があります。

旧国鉄時代では、こういった車両を主に機関車と貨車により実施され、国鉄分割民営化後も引き続きその形態が長年続いてきました。

旧国鉄時代は、貨物と旅客が同じ事業体であったため、例えば機関車についても、貨物列車と旅客列車、そして砕石輸送用と共通で使用することが可能でしたが、民営化後は、旅客・貨物が別々の会社となったことから、機関車についてもそれぞれの会社に引き継がれることとなりました。

それから30年以上が経過し、旅客鉄道会社が引き継いだ機関車も老朽化が進んできたわけですが、片や輸送の効率化の観点から、客車列車の多くは電車や気動車に置き換えられ、機関車を使用する営業列車はめっきり減少した結果、今では機関車が使用されるケースの多くが、砕石輸送や回送・入換作業に限られるようになってしまいました。

一方、機関車については、電車や気動車とは異なる特有の運転操縦が求められることから、機関車を操縦できる運転士を養成する等のコストも発生しており、これまで機関車を使用して行われてきた作業について、その見直しが必要な時期に来ていたものと考えられます。


今回発表のあった「砕石輸送気動車」「事業用電車」は、これまで機関車と貨車により行われてきた作業を、気動車あるいは電車に置き換えることで、機関車特有のメンテナンス・運転操縦の廃止が可能となり、効率的なメンテナンスが可能になるものと見込まれます。


ファンの注目を集める、砕石輸送や回送列車の機関車がゆくゆくは見られなくなるのは、写真主体のファンにとっては残念な話かも知れませんが、より効率的に線路維持や運用調整の作業が進むのなら、利用者にとっては嬉しい話でありますし、是非本格投入が進むように期待したいところです。


また、今回のGV-E197系やE493系は、一目で事業用車両と分かる黄色の前面が特徴となっていますので、これはこれで実際に走り出すと、何やかんやでファンの注目を集めたりするのかな、とも感じたニュースでありました。




●関連ニュースサイト:
EF64 DD51…国鉄機関車の引退加速か 砕石輸送車GV-E197系 けん引車E493系 投入 JR東 | 乗りものニュース
JR東日本,砕石輸送気動車GV-E197系・事業用電車E493系を導入|鉄道ニュース|2021年1月19日掲載|鉄道ファン・railf.jp
JR東、機関車置き換え用の事業用車両2形式を導入 - 鉄道コム



●関連ブログ:
【JR東日本】新型砕石輸送気動車および事業用電車の投入を公表 - kqtrain.net(京浜急行)



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