鉄道ファンにとって必要不可欠な情報雑誌である「時刻表」。
今やネットのサービスで乗り継ぎの検索は簡単にできる時代となってしまいましたが、前後の列車も含めて一覧で見ることのできる「時刻表」は、今でも貴重な情報源として、より高度な情報検索を求める鉄道ファンを中心に、今でも月間数万部が発行されています。

いくつか種類のある時刻表の中でも、多くの方に知られているのが、いわゆる「大判時刻表」といわれる「JTB時刻表」「JR時刻表」の二種類かと思います。

「JTB時刻表」は、旅行業大手のJTBの、「JTBパブリッシング」が発行するもの、そして「JR時刻表」は、JRグループ各社のグループ企業である「交通新聞社」が発行するものであります。

B5版で全国のJR線・主な民鉄やバスを網羅する、いわゆる「大判時刻表」は、このどちらかを選択することになりますが、これまで私は「旅行会社が発行しているから、JR線以外の民鉄等も充実しているだろう」という理由で、JTB時刻表を買い続けてきました。
しかし齢40を半ばにして、そろそろ「老眼」らしきものに悩まされるようになり、時刻表の文字も見えづらくなってきたのも、事実であります。

そんな中、この連休に時刻表10月号が書店に並び始めたのを目にしました。
この10月号では、来る10月2日(土)に実施されるJR西日本のダイヤ改正内容が掲載されています。
下記記事でご紹介したように、今回の改正ではJR西日本管内で減便等の見直しが広範囲に実施されることから、通常は秋の時期には大判の時刻表を購入することはないのですが、上述の理由から今回購入してみようと思いました。
(参考)



その際、いつものとおり「JTB時刻表」ではなく、この機会なのでもう一つの大判時刻表、「JR時刻表」を購入してみようと思い、今回購入して、比較することにしてみました。

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▲JR時刻表2021年10月号(左)とJTB時刻表2021年3月号。
これまで「JTB時刻表」を買い続けてきた私ですが、記憶の限り初めて「JR時刻表」を購入してみました。

以下、長年「JTB時刻表」を使用してきた管理人が、「JR時刻表」を手にした際に感じた違いを、簡単にまとめてみました。




【フォント】
まず、大きな違いに感じたのは、「フォント」です。
しかも、普通列車等の、JTB時刻表では「細字」、JR時刻表では「黒字」で示されている列車です。
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▲JTB時刻表2021年3月号 阪和線・紀勢本線上り(P299)より引用
普通列車のフォントが細いものとなっています。


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▲JR時刻表2021年10月号 阪和線・紀勢本線上り(P308)より引用
普通列車のフォントが、JTB時刻表より若干太いものとなっています。


この「些細な違い」とも思えるフォントの違い。
画面上では分かりづらいかも知れませんが、この微妙な違いこそが「老眼初期」とも思える私にとって、見やすさの違いとして感じることができました。
・・・「JR時刻表」のフォントの方が、見やすい。

勿論、この見えやすさの違いには、個人差があります
他の方にとっては、太めのフォントである「JR時刻表」の方が逆に見づらい、という可能性もあるでしょう。

しかし、ここで言いたいのは、「時刻表の見やすさは、路線の並び順やレイアウトよりももっと大事なもの、つまり『フォント』に左右されるのではないか」ということです。
そうです、「文字が読めない」と、時刻表として使えませんから・・・


JTB時刻表の普通列車等に用いられているフォントが、細くて読みづらいのですが、JR時刻表だとそれが濃く見えることから、掲載時刻もより判別しやすい、と感じました。(あくまで個人の感想です。)

長年購入してきた「JTB時刻表」から少し浮気をして「JR時刻表」を購入してみましたが、まさかこういう「違い」を突きつけられ、時刻表の「乗り換え」を本気で考えないといけない、とは思いもしませんでした。

とあるサイトでは、索引地図や台割(普通列車を乗り継いでいくことを想定)等を比較して、JTB時刻表が優れているような意見を見つけたりしましたが、それ以前にどちらの時刻表が「ちゃんと読める」のか、で比較しないと意味が無さそうです。
そして、この「ちゃんと読める」ことに関しては個人差があるわけですから、一概にどちらの時刻表が優れている、とは決して言えないな、と感じた次第です。

やはり月並みではありますが、「手に取って、実際に確認してから選ぶ」のが良いのではないか、と思いました。



●その他の比較
折角なので、JR時刻表を、JTB時刻表を比べてみることにします。
上述のとおり、台割(要はページ順序)に違いがあり、「JTB時刻表」は、かつて在来線長距離列車が運行されていた時代のページ割りを踏襲、「JR時刻表」はJR各社ごとのエリアをなるべく前後のページにまとめた台割となっています。

鉄道ファンが皆が皆、延々と在来線を乗り継ぐというケースも近年は少なくなってきたのではないのでしょうか。
むしろ、新幹線、航空、高速バス等を乗り継いで、目当ての路線にたどり着くルートを検索することが多いのではないかと思います。
そういう意味では、台割の違いが優劣を決める、ともあまり思えない、とも感じたりしますが、どんなものでしょうか。


それ以上に、いくつか気づいた興味深い違いをご紹介しておきます。

【発着時刻掲載駅の違い】
時刻表では、基本的に発車時刻を横1行で表示していますが、主要駅等では、到着時刻・発車時刻を上下に2行並べている駅もあります。
多くは、始発・終着列車や長時間停車の列車が多い拠点駅がそのような2行表示になっていますが、これとて、どの駅で発着両方の時刻を掲載するかは、編集サイドの判断となるでしょう。

例えばJTB時刻表の鹿児島本線(門司港〜八代)の時刻表示は、このようになっています。


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▲JTB時刻表2021年3月号 鹿児島本線下り(P394)より引用(赤枠は管理人により追記)

発着両方の時刻が掲載されている駅は、以下のとおりです。
門司・小倉・折尾・赤間・香椎・博多・二日市・鳥栖・久留米・大牟田・熊本


対し、JR時刻表の同線区では以下のようになっています。
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▲JR時刻表2021年10月号 鹿児島本線下り(P390)より引用(赤枠は管理人により追記)


発着両方の時刻が掲載されている駅は以下のとおりです。
門司・小倉・西小倉・折尾・香椎・吉塚・博多・鳥栖・久留米・荒尾・熊本



両方を比較すると、JR時刻表では「西小倉」「吉塚」「荒尾」といった運転上の拠点駅で発着両方が掲載されている一方、「赤間」「大牟田」といった折り返し列車がさほど多くない駅では発車時刻のみ表示となっています。

西小倉は日豊本線(行橋方面)、吉塚は篠栗線(桂川方面)からの乗り継ぎを考慮し、発着両方を掲載したものと思われます。
また荒尾は、この近辺の3駅(銀水・大牟田・荒尾)の3駅でいずれも折り返しの列車がある中、博多方面からの折り返しが多いという点で発着両方の時刻掲載としたのではないか、とも思えます。



【索引地図の違い】
「JR時刻表」と「JTB時刻表」の違いは、索引地図にも見られます。
JTB時刻表については、2017年11月号で大幅にリニューアルされ、実際の地形よりもより路線の実態に即した地図となっています。
(参考)



そのため、路線網の疎密により、実際の地形より歪んで表示されていることもあります。

一例として、四国東部(香川県・徳島県)をご紹介します。

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▲JTB時刻表2021年3月号索引地図(P7)より引用


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▲JR時刻表2021年10月号索引地図(P5)より引用


ご覧のように、「JR時刻表」では室戸岬に至るまでの高知県の地形が実際の地形に即した形となっているのに対し、JTB時刻表では阿佐海岸鉄道・甲浦以南に鉄道路線がないことを踏まえて、室戸岬までの長さがかなり短く描かれています。

JTB時刻表の索引地図も、見慣れるとあまり違和感を抱くことは減ってきましたが、こうして見比べると、やはり違いは歴然、といったところでしょうか。



【会社線、特に民鉄特急について・・・これはJTB時刻表が優位か?】
ここまで「JR時刻表」「JTB時刻表」どちらが優位、というわけではなく「違いがある」という観点で書いてきました。
ただ、どうしても優劣が出てしまう内容も中にはあります。
一例として、民鉄の有料特急列車を挙げてみたいと思います。

私の地元である南海電鉄では、南海線・空港線に「ラピート」「サザン」、高野線・泉北高速鉄道線に「こうや」「りんかん」「泉北ライナー」を運行しています。
これらの有料特急列車は、利用者の違いを反映して、平日と土休日とでダイヤ等も違ったものとなっています。
例えば「泉北ライナー」午前の難波行きは、平日3本に対し土休日4本、また運行時間帯も平日は8時台までに対し土休日は9時台までの運行となっています。

JTB時刻表で、南海・泉北の有料特急の時刻表はこのように掲載されています。
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▲JTB時刻表2021年3月号 私鉄有料特急 南海電鉄・泉北高速鉄道(P734〜P735)から引用

このように平日・土休日別に掲載されています。

一方、JR時刻表ではこのようになっています。
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▲JR時刻表2021年10月号 P850より引用(赤枠は管理人による)

掲載されているのは「平日のみ」となっています。
「土休日は運休や時刻変更する列車があります」と記載されていますが、これだけでは別物のダイヤ、と認識はしづらいのではないか、とも思えます。

しかも「ラピート」は、「空港への交通機関」という位置づけからか、下記のように「関西空港」へのリムジンバスと同じ箇所に掲載されています。
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▲JR時刻表2021年10月号 P894より引用


これだけでは、難波〜泉佐野間で、「サザン」と併せて同等の有料着席サービスを提供している、とは想像しにくいページ割りになっているといえます。

考えてみれば、JTBの店舗では、JR線のみならず、主な観光地に向かう民鉄有料特急列車の特急券等の手配も必要です。
そういう必要性から、「JTB時刻表」では、民鉄有料特急列車の網羅は必要不可欠な要素が故に、このように丁寧に掲載されている、とも考えることができるかも知れません。



【まとめ】

以上のように、「時刻表本文の字が見づらい」という点から乗り換えを考えてみた「JR時刻表」。
結論からすれば、「JR線のページ」については、「文字が読みやすい」点から問題なく乗り換えられそうです。

問題は、先述のとおり「JR時刻表」では「民鉄」欄が弱いことでしょうか。
確かに民鉄の情報も大判時刻表で検索することが多いので、JR時刻表でここが充実していれば、さっさと乗り換えできたのかも知れません。

しかしJTB時刻表に比べてまだ優劣が際立っている状況では、しばらくは両方の時刻表をケースに応じて使い分けていくことしか選択肢になさそうです。

使い分けの方法としては例えば、3月のダイヤ改正時には「JR時刻表」と「JTB大きな時刻表」を購入、そして各シーズンの旅行前には「JTB小さな時刻表」を購入する、という使い方が考えられそうです。
(※)
「JTB大きな時刻表」「JTB小さな時刻表」は、「JTB時刻表」のページ割りをそのまま拡大・縮小したものです。


いずれにしても、時刻表の選び方、色々な観点で、これまで語り尽くされてきた間はありますが、大事な点は「本文が見やすいか否か」でしょうか。
これを基準に選んでも、決して損は無いな、と感じた次第であり、今後の「時刻表選び」には、JTBパブリッシング、交通新聞社の両社から発行されている時刻表を、時と場合に応じて選んでいきたいな、と感じた次第でありました。




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