小田急電鉄(小田急)では、同社のロマンスカー50000形「VSE」について、2022年3月11日(金)をもって通常ダイヤでの定期運行を終了するとともに、その後は臨時ダイヤによるイベント列車などでの運行を継続した後、2023年秋頃に引退することを発表しました。


2022年3月11日(金)、特急ロマンスカー・VSEの定期運行を終了|小田急電鉄


概要は以下の通りです。

【VSE定期運行終了】
・終了日:
2022年3月11日(金)
(定期運行終了後、イベント列車として運行予定)

・対象列車:
50001×10、50002×10の全2編成

・終了理由:
車両の経年劣化や主要機器の更新が困難となる見込みであるため

【感謝企画】
・記念装飾掲出
2022年1月29日(土)からラストランまで

・記念乗車券発売
2022年1月29日(土)〜3月11日(金)
10,000セットの発売数、1名あたり5セットまでの販売
価格は1セット2,000円



詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



先週末の12月17日(金)は、毎年恒例のJRグループダイヤ改正発表日でしたが、それらの内容を差し置いて、大きな話題となったのが、この小田急VSEの引退発表であります。

「Vault Super Express」(Vault:ドーム型の天井、天空の意味)と名付けられたこのロマンスカーVSEは、2005年3月に登場しました。

当時低迷していた箱根方面への観光利用を復活させるとともに、ロマンスカーのイメージを復権させることも目指して導入されたこのVSEは、当初の目的どおり、新たな箱根観光、そしてロマンスカーの新たなイメージを提供し、同社のフラッグシップトレインとしての地位を確立させたのは、いうまでもありません。

歴代ロマンスカーが導入してきた「前面展望」「連接台車」の導入は勿論のこと、ドーム型の天井、そして4名ボックス席のサルーン席やカフェ(現在は営業終了)といった箱根観光へ向かうドキドキ感を楽しむことができる接客設備も、鉄道ファンは勿論のこと、一般旅客からも高い支持を得ていたことと思われます。


同社のフラッグシップとして今後も活躍が続くようなイメージも持たれていた、このVSEがこのタイミングで引退することについての理由は、同社の発表では「車両の経年劣化」「主要機器の更新困難」が挙げられています。

とはいえ、経年劣化はリニューアル工事を行うことで対応可能ですし(過去のロマンスカーでもリニューアル工事の実績あり)、主要機器の更新についても、例えば制御方式は現在の車両でも一般的に採用されているIGBT-VVVFインバータ制御を採用しているなど、こと「VSEを今後もそのまま使用する」に当たっては、特段の問題が無いようにも素人目には思えるかも知れません。


これについて、小田急の話題を中心としたブログメディア「Odapedia」さんでは、下記の通り分析されています。


上記記事によりますと、
・車両の老朽化
・ホームドア対応困難
・連接車による保守性の悪さ

が引退の理由とのこととされています。


私自身は、小田急ユーザーでも決してなく、小田急に乗車したことはほんの数度しかないことから、現在の小田急の状況について、全く詳しくありません。
ただそんな私でも、上記の最後2つの理由については納得できるところはあります。


このVSEでは、歴代ロマンスカーが採用してきた連接車を採用しましたが、その後登場したロマンスカー「MSE」「GSE」ではこの連接構造を採用していません。
一方で、連接構造を採用したロマンスカー「HiSE」「LSE」は既に引退した結果、連接構造の車両は現在、このVSE2編成を残すのみとなっています。

加えて、更に大きな問題としてはホームドア設置が考えられます。
小田急電鉄でのホームドア設置については、こちらもOdapediaさんのブログにも分かりやすい説明がありましたので、こちらもご覧になっていただければと思います。


支障があるとみられる車両のうちにVSEが含まれています。
これは上記の連接構造にも繋がる話と考えられますが、VSEは他の現行ロマンスカーよりも車両長が若干異なり、ホームドア対応が困難であることとされています。

勿論、VSEにも対応したホームドア設置もできなくは無い、といったところでしょうが、そのためには相当の手間がかかることは、想像に難くありません。
また、この手間は、単にロマンスカー停車駅のみに整備すればよい、という問題ではなく、ロマンスカー通過駅であっても、事故や事件の際の避難誘導の観点から、同様に整備しておく必要も、求められるのではないかとも考えられます。
(先日京王線で発生した傷害事件のことも記憶にある方も多いと思われます。)


運用開始後18年間での引退は、かなり早いタイミングであることは否めません。
歴代ロマンスカーでも、近年の例では、比較的引退が早いとされていた車両でもHiSEは25年(その後一部が長野電鉄に移籍)、RSEは21年(その後は一部が富士急行へ移籍)と、いずれも20年以上の運用が行われてきました。

これらと比較すると、やはりVSEの引退は早すぎる、と素直な感想を抱くのでありますが、同時に上述の背景を考えると、このタイミングでの引退も仕方がないのかな、とも思えます。



上に記したように、私自身は小田急に乗車したこと自体、ほんの数度しかありませんが、その中でもVSEには、2012年11月に一度だけ乗車したことがありました。


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▲上記記事で、小田原から新宿まで乗車した「VSE」。

当時は「シートサービス」「カフェカウンター」ともに営業されていた時代で、VSE導入当初のサービスを満喫することができました。

上記記事では「初めて乗る」という件名でしたが、どうやら「初めて」が「最後」になりそうな、そんなことも同時に感じた次第です。




VSE引退後、前面展望車付きのロマンスカーという意味では、GSEがフラッグシップの位置づけになるかと思われます。

一方で、現在のVSEが有していた箱根観光特化の位置づけとなるロマンスカーが期待されるところもあるかも知れませんが、そもそもこのダイヤ改正でロマンスカー「はこね」が減便されるという状況のなか、その後継の登場は難しいのかも知れません。
(「はこね」は一日あたり51本から39本に減便)
2022年3月12日(土) 小田急線のダイヤを変更します|小田急電鉄


逆に、このVSE、登場後18年という経年は、地方民鉄にとってはまだ新しい部類に入るとも考えられ、他社への譲渡ということも考えられるかも知れません。
上述のとおり、HiSEは長野電鉄へ、RSEは富士急行へ譲渡され、現在も活躍しているという実績があります。
VSEについても地方民鉄の優等列車として、第二の活躍の舞台が考えられるかも知れません。

ただ、一方で、VSEの有する独特の機能、特に車体傾斜制御を導入している点が、地方民鉄で特に保守サイドで受け入れることができるものなのか、というのが同時に気がかりなだけに、譲渡先の無いまま引退・廃車、という可能性もありそうです。


ともあれ、来年3月での定期運行終了、再来年秋の完全引退というスケジュールが示された小田急VSE。
乗車できるうちに乗車しておき、このVSEの雰囲気を可能な限り楽しんでいただくことができれば、と思ったニュースでありました。




【関連ブログ】
小田急のVSEが約17年で定期運行を終了する3つの理由とは : Odapedia 〜小田急を中心とした鉄道に関するブログメディア〜

【悲報】小田急ロマンスカー「VSE」、2023年秋に引退へ - 鉄道プレス

小田急VSE引退の衝撃がわかりやすいよう、同世代の車両と並べてみました - 鉄道プレス

【小田急】特急ロマンスカー・VSEの定期運行を2022年3月11日(金)で終了、2023年秋頃に引退へ - kqtrain.net(京浜急行)

【小田急】「小田急ロマンスカー・VSE(50000形)定期運行終了記念乗車券」発売 - kqtrain.net(京浜急行)

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Msykの業務(鉄道)日誌:2022年春のダイヤ改正〜小田急VSEが引退と




【関連ニュースサイト】
小田急 50000形VSE 定期運転終了(2022年3月11日) - 鉄道コム

小田急、ロマンスカー「VSE」を2022年で定期運転終了へ - 鉄道コム

小田急 特急ロマンスカー「VSE」 2022年3月定期運行終了 2023年秋ごろ引退へ | 乗りものニュース

白いVSEが定期ラストラン…小田急ロマンスカー初の車体傾斜 2022年3月11日 | レスポンス(Response.jp)

小田急50000形「VSE」,3月11日で定期運転を終了|鉄道ニュース|2021年12月17日掲載|鉄道ファン・railf.jp

ロマンスカー「VSE」、来年3月で定期運行終了 ラストランは2023年秋頃 - TRAICY(トライシー)

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