北海道新幹線・新函館〜札幌間の開業に伴い並行在来線となる函館本線(函館〜小樽間)のについては、その存廃をを含めた地域交通の確保に向けた検討行うため、沿線自治体と北海道で「北海道新幹線並行在来線対策協議会」を組織し、検討を進めています。
函館線(函館・小樽間)について(北海道新幹線並行在来線対策協議会) - 総合政策部交通政策局交通企画課
今回、この協議会で、長万部(おしゃまんべ)〜小樽間について検討する後志(しりべし)ブロック会議が去る2022年2月3日に開催され、同区間のうち長万部〜余市間については、沿線の自治体がバス転換の方針で一致し、廃止の方針が確定したことが報じられています。
北海道新幹線並行在来線、函館〜長万部間も危うく。函館線「山線」は大半が廃止へ | タビリス
余市-小樽間の存廃を引き続き協議…事実上決まった函館本線と根室本線の一部廃止 | レスポンス(Response.jp)
同協議会で示された資料等は、冒頭の協議会Webサイトに掲載されていますので、興味ある方はご確認くださればと思います。
いくつか基本的な資料を見てみたいと思います。
まず収支予測ですが、長万部〜小樽間を全線第三セクター鉄道で維持した場合は、年間22億8千万円の赤字、全線バス運行として場合で7千万円の赤字、余市〜小樽間を第三セクター鉄道で維持した倍は4億9千万円の赤字となることが、示されています。
(いずれも2030年度の単年度収支)
一方、輸送密度(1kmあたり1日に平均輸送人員)でみると、長万部〜倶知安(くっちゃん)は182、倶知安〜余市は761、余市〜小樽2144となっていますが、2030年度にはこれらがそれぞれ144、464、1493になります。
収支と輸送密度から考えても、長万部〜余市間は、バス転換止むなし、と言わざるを得ないでしょう。
一方の余市〜小樽間は、余市町民の小樽方面への通勤・通学もあることから、余市町は鉄道存続の立場を取っています。
そのため、今回の協議会でも余市〜小樽間の存続については継続協議となった模様です。
ともあれ、今回の協議会で、いわゆる「山線」区間のうち、長万部〜余市間の廃止が確定となりました。
廃止の時期は、北海道新幹線全線開業までとなる一方、倶知安町は駅前広場整備の際に支障となる函館線施設の移転に相当の費用がかかることもあり、2030年度よりも早い段階での廃止を求めていますので、時期についても、これからの議論を注目していく必要があるかと思われます。
この函館線の「山線」区間は、私自身は二度乗車したことがあります。
最初は1995年、そして二度目は2019年でありました。
二度目の訪問となった2019年の訪問記録は、下記のブログ記事でご紹介したところです。
▲函館線・然別駅に停車中の倶知安行き、キハ150形
▲同、倶知安方面を眺める
▲倶知安駅に停車中の長万部行き
▲蘭越駅に停車中の長万部行き
いずれも2019年1月に撮影。
特に倶知安〜ニセコでは羊蹄山やニセコアンヌプリなどの山々を眺めながらの車窓を楽しめることのできる路線であります。
この区間は、国鉄時代、特急「北海」や急行「ニセコ」といった優等列車も設定されてはいましたが、国鉄末期以降、現在に至るまでは定期の列車はローカル輸送の普通列車のみとなっています。
一方で、近年は観光輸送に特化した臨時特急「ニセコ」も設定され、今年度は初めて「ノースレインボーエクスプレス」が充当されるなど、風光明媚な車窓を、楽しい車両で楽しめる機会も提供されています。
並行して新幹線が開業することを考えると、この区間については、もう鉄道としての使命を十分果たした、そして新幹線へアップグレードされる、と個人的には前向きに考えたいな、と思います。
そして、新幹線に「アップブレード」されるまでに、この区間にもう一度乗る機会が得られれば、嬉しい限りかな、と考えています。
一方、先にも触れたように余市〜小樽間は鉄道維持かバス転換かについて、引き続き協議されることとなっていますし、加えて函館〜長万部間については、多くの貨物列車も運行されていることもあり、その方向性が全く示せていない状況です。
北海道新幹線開業を期に並行在来線がどのような姿になるのか。
地域輸送が僅少であるが故に、これまでの並行在来線とは異なる結論が出てくる可能性も踏まえて、今後の議論の行く末を見守るしかないのかな、と思っています。
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函館線(函館・小樽間)について(北海道新幹線並行在来線対策協議会) - 総合政策部交通政策局交通企画課
今回、この協議会で、長万部(おしゃまんべ)〜小樽間について検討する後志(しりべし)ブロック会議が去る2022年2月3日に開催され、同区間のうち長万部〜余市間については、沿線の自治体がバス転換の方針で一致し、廃止の方針が確定したことが報じられています。
北海道新幹線並行在来線、函館〜長万部間も危うく。函館線「山線」は大半が廃止へ | タビリス
北海道新幹線は、新函館北斗〜札幌間の延伸工事が進められています。開業時には、並行在来線である函館線・函館〜小樽間287.8kmがJR北海道から経営分離される予定で、この区間を鉄道として残すか、バス転換をするかが議論されています。
この問題を話し合うのが、沿線15市町などで構成する「北海道新幹線並行在来線対策協議会」です。協議会は函館〜長万部間147.6kmを話し合う「渡島ブロック」と、長万部〜小樽間140.2kmを話し合う「後志ブロック」に分けられ、後志ブロックの会議が2021年2月3日に開かれました。
会議では、これまで判断を保留していた4自治体のうち黒松内町、蘭越町、ニセコ町の3自治体が、それぞれバス転換への支持を表明。すでに長万部町、倶知安町、共和町、仁木町の自治体がバス転換を支持していることから、仁木町以南の7町がバス転換で一致し、函館線長万部〜余市間の廃止が確定しました。
−上記Webサイト記事より引用
余市-小樽間の存廃を引き続き協議…事実上決まった函館本線と根室本線の一部廃止 | レスポンス(Response.jp)
北海道新幹線の並行在来線のうち函館本線長万部〜小樽間については、2021年12月27日に開かれた「第11回後志ブロック会議」で長万部町、倶知安(くっちゃん)町、共和町、仁木(にき)町がバス転換を容認したが、2月3日に開かれた会議では、保留していた黒松内町、蘭越町、ニセコ町も容認し、長万部〜余市間のバス転換が事実上決定した。整備新幹線の並行在来線が廃止される例は、北陸新幹線が長野まで開業した1997年10月に廃止された信越本線横川〜軽井沢間以来となる。
−上記Webサイト記事より引用
同協議会で示された資料等は、冒頭の協議会Webサイトに掲載されていますので、興味ある方はご確認くださればと思います。
いくつか基本的な資料を見てみたいと思います。
まず収支予測ですが、長万部〜小樽間を全線第三セクター鉄道で維持した場合は、年間22億8千万円の赤字、全線バス運行として場合で7千万円の赤字、余市〜小樽間を第三セクター鉄道で維持した倍は4億9千万円の赤字となることが、示されています。
(いずれも2030年度の単年度収支)
▲交通モード別の収支予測の見通し
(第10回後志ブロック会議・資料1-1(https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/5/1/9/1/9/6/2/_/資料1-1_交通モード別の収支予測について.pdf)より引用)
一方、輸送密度(1kmあたり1日に平均輸送人員)でみると、長万部〜倶知安(くっちゃん)は182、倶知安〜余市は761、余市〜小樽2144となっていますが、2030年度にはこれらがそれぞれ144、464、1493になります。
▲輸送密度の将来予測
(第10回後志ブロック会議・参考資料(1)(https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/5/1/9/1/9/6/2/_/資料1-1_交通モード別の収支予測について.pdf)より引用)
収支と輸送密度から考えても、長万部〜余市間は、バス転換止むなし、と言わざるを得ないでしょう。
一方の余市〜小樽間は、余市町民の小樽方面への通勤・通学もあることから、余市町は鉄道存続の立場を取っています。
そのため、今回の協議会でも余市〜小樽間の存続については継続協議となった模様です。
ともあれ、今回の協議会で、いわゆる「山線」区間のうち、長万部〜余市間の廃止が確定となりました。
廃止の時期は、北海道新幹線全線開業までとなる一方、倶知安町は駅前広場整備の際に支障となる函館線施設の移転に相当の費用がかかることもあり、2030年度よりも早い段階での廃止を求めていますので、時期についても、これからの議論を注目していく必要があるかと思われます。
この函館線の「山線」区間は、私自身は二度乗車したことがあります。
最初は1995年、そして二度目は2019年でありました。
二度目の訪問となった2019年の訪問記録は、下記のブログ記事でご紹介したところです。
▲函館線・然別駅に停車中の倶知安行き、キハ150形
▲同、倶知安方面を眺める
▲倶知安駅に停車中の長万部行き
▲蘭越駅に停車中の長万部行き
いずれも2019年1月に撮影。
特に倶知安〜ニセコでは羊蹄山やニセコアンヌプリなどの山々を眺めながらの車窓を楽しめることのできる路線であります。
この区間は、国鉄時代、特急「北海」や急行「ニセコ」といった優等列車も設定されてはいましたが、国鉄末期以降、現在に至るまでは定期の列車はローカル輸送の普通列車のみとなっています。
一方で、近年は観光輸送に特化した臨時特急「ニセコ」も設定され、今年度は初めて「ノースレインボーエクスプレス」が充当されるなど、風光明媚な車窓を、楽しい車両で楽しめる機会も提供されています。
並行して新幹線が開業することを考えると、この区間については、もう鉄道としての使命を十分果たした、そして新幹線へアップグレードされる、と個人的には前向きに考えたいな、と思います。
そして、新幹線に「アップブレード」されるまでに、この区間にもう一度乗る機会が得られれば、嬉しい限りかな、と考えています。
一方、先にも触れたように余市〜小樽間は鉄道維持かバス転換かについて、引き続き協議されることとなっていますし、加えて函館〜長万部間については、多くの貨物列車も運行されていることもあり、その方向性が全く示せていない状況です。
北海道新幹線開業を期に並行在来線がどのような姿になるのか。
地域輸送が僅少であるが故に、これまでの並行在来線とは異なる結論が出てくる可能性も踏まえて、今後の議論の行く末を見守るしかないのかな、と思っています。
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