JR西日本の和歌山線(橋本〜和歌山間)では、2023年春を予定に無線式ATCを導入する計画を、2018年5月に発表していました。

2023年春より和歌山線 橋本〜和歌山駅間 に無線式ATCを導入します:JR西日本


導入予定の2023年春まであと1年となり、その後の動向が気になるところでありましたが、この度JR西日本から、本無線式ATCの導入計画を見直す旨の発表がありました。

無線による保安システム導入計画の見直しについて:JR西日本

概要は以下の通りです。

【見直しの理由】
・近年の無線通信技術の目覚ましい進歩とこれまでの開発経過を踏まえ、新しい技術を取り入れた無線による保安システムの導入を将来的に目指すこととしたため。

【今後の予定】
今後の計画については、具体的な計画を策定した時期に改めて発表する。


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



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▲和歌山線に導入された227系1000番台。

既に227系1000番台による車両置き換えが完了した和歌山線ですが、今度は列車保安システムを無線式に置き換えることで、よりシンプルとなシステムを構築し、持続可能な鉄道システムを目指すものとなっていました。

2023年春の導入に向けて、準備が進んでいるものとてっきり思っていたのですが、今回の発表では導入自体を見直す、というものであり、驚いた次第です。

「すわコロナの影響か?!」と早合点しそうなところですが(その理由は皆無とは言えないかも知れませんが)、主な理由としては、近年の無線通信技術の進歩により、より新しい技術を取り入れた保安システムを導入することを目指す、というものでありました。

特に無線技術の進歩については、日進月歩なところなところがあるため、長期間の使用が求められる列車保安システムへの導入には、そのタイミングも含めて難しい点があるかも知れません。

ただ、引き続き開発を進め、新しい技術による保安システムの導入を目指すということですので、今後の開発を引き続き期待したいところです。



ところで、この「無線式ATC」が導入されることにより、個人的に気になることが一つありました。

このブログでも毎年恒例でご紹介している「南海8300系の甲種車両輸送」であります。
車両メーカーを出発した甲種車両輸送の列車は、王寺から和歌山線に入り、和歌山駅で方向転換した後、紀勢線(和歌山〜和歌山市)を経由して、和歌山市駅に到着します。
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▲和歌山市駅構内に停車中のDD51形ディーゼル機関車と8300系。
車両メーカーから輸送されてきた8300系新造車両は、ここ和歌山市駅までディーゼル機関車により牽引されてきます。

この間、DD51形ディーゼル機関車が8300系を牽引しているわけですが、上述の「無線式ATC」が導入されると、DD51を無線式ATCに対応させないことには、このルートでの甲種車両輸送が継続できない、という問題が生じることとなります。

この問題は、既に過去の甲種車両輸送記事でも触れており、今後の甲種車両輸送ルートの変更、あるいはトレーラーによる陸送への変更も有りうるのではないか、と危惧していました。
(参考)


今回の見直しにより、無線式ATC導入を理由にする甲種車両輸送の変更の可能性は無くなることが考えられますが、ともあれもはや希少価値も高いDD51形を使用した甲種車両輸送がいつまで続くのか、この無線式ATC導入とは別に、引き続き気になるところかな、と思った次第です。




【関連ニュースサイト】
和歌山線、無線による保安システム導入計画を見直し - 鉄道コム

JR西日本、和歌山線の無線式ATC導入計画見直し - 技術進歩など理由 | マイナビニュース



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