広島電鉄をはじめとした広島県内のJRを除く鉄道・バスで共通に利用できる交通系ICカード「PASPY」(パスピー)ですが、この度2025年3月までにサービスを終了することが、PASPY運営協議会から発表されました。

交通系ICカードPASPYのサービス終了について | 広島県交通系ICカード:PASPY「パスピー」 公式サイト

概要は以下の通りです。

【サービス終了目途】
2025年3月までに順次終了予定

【サービス終了理由】
PASPYは2008年1月26日よりサービス開始し、これまで方々に利用していただいた。
・しかし今後、機器の老朽化による更新に多額の投資が見込まれており、システムの維持が困難になっていることから、PASPYのサービス終了の方針を決定したもの。

【払いもどし等の取り扱いについて】
後日詳細が決まり次第発表。


また、同日付けで、広島電鉄ではQRコードや新たなICカードを認証媒体とする新乗車券システムの開発着手を、広島高速鉄道(アストラムライン)ではICOCA及びICOCA定期券の導入を発表しました。

スマートフォンに表示させたQRコードや新たな交通系ICカードを認証媒体とする新乗車券システムの開発に着手します|広島電鉄
<概要>
【新乗車券システムについて】
・利用者自身がスマートフォン(スマホ)やパソコンから会員情報を登録(クレジットカードまたは銀行口座の登録が必要)
・スマホ・パソコンからチャージ、定期券の購入が可能。
・路面電車・バスを利用する際は、乗降時にスマホに表示させたQRコードを車載機にかざすことで利用可能。
・スマホ非所持の乗客は、専用の新たな交通系ICカードを車載機にタッチ。
・現在、PASPYで導入している各種割引サービスは、新乗車券システムでも実装予定

【サービス開始目途】
2024年10月予定



広島高速交通株式会社におけるICOCAおよびICOCA定期券の発売について|広島高速鉄道
<概要>
【ICOCA発売について】
・開始時期:
2024年度
・券種
ICOCA(大人、小児)

【ICOCA定期券について】
・開始時期:
2024年度
・券種:
未定
(連絡定期券も導入に向けて検討)

【その他ICOCAサービス】
詳細決定次第発表


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



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▲広島電鉄1000形「グリーンムーバーLEX」に貼り付けられた「PASPY」ステッカー。
広電の全車両に貼り付けられていますが、これも2025年3月までに見納めです。
画像は2017年10月の撮影で、広島カープがセリーグ制覇した時のものです。
「カープ坊や」と「PASPY」が並んで見られるチャンスも、あと3シーズンを残すこととなりました。


広島県内の電車・バス・船舶で広く利用できる交通系ICカード「PASPY」。
元々広島県内では共通のバスカードがありましたが、これをICカードへ移行させたのがこの「PASPY」でありました。

2008年の導入直後から、JR西日本の「ICOCA」からの片利用は可能となっており、また、2018年3月からPASPYエリアでのICOCA以外の交通系ICカードが利用が可能となったことで、他地域からの利用者にとっても、ようやくシームレスに利用できる環境が整ったばかりでありました。

しかし、PASPYのシステム導入自体既に15年になろうとしており、機器更新に多額の費用がかかることから、今回PASPYのサービス終了が発表されました。

PASPY終了後についてですが、広島電鉄では「新乗車券システム」の導入、アストラムラインでは「ICOCA」の導入と、早速対応が分かれた格好となりました。

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▲竹原駅前に停車中の芸陽バス「かぐや姫号」(「たまゆら」ラッピング車両)
PASPYは、広島市内にのみならず、JRを除く県内のバス・船舶でも広汎に利用することが可能です。
しかしPASPY廃止後、これらの事業者がどのように対応するのかが気になるところです。


上記「芸陽バス」に限らず、現在PASPYを導入している各社が、今後どのように交通系ICカードのサービスを導入するのか、これまた気になるところであります。


似たような事例では、長崎県の電車・バスで共通に利用できていた「長崎スマートカード」がサービスを終了し、長崎バス、さいかい交通は「エヌタスTカード」、長崎電気軌道、長崎県交通局等は「nimoca」、そして島原鉄道(バス路線)は「交通系ICカード廃止」現金・紙式定期券等)と対応が大きく分かれてしまう結果となりました。
(参考)
長崎スマートカードの利用終了について | お知らせ|kataru net(カタルネット)

今後、広島県内の事業者でも同様の対応が生じることが考えられます。
特に、長崎スマートカードの際の「島原鉄道」バス路線のように、「交通系ICカードを廃止してしまう」という対応も大いに考えられます。

交通系ICカードに関する維持費を考えると、経営規模の小さい事業者にとっては、現実的な選択肢として「交通系ICカードの廃止」という、ぱっと見時代に逆行した対応もあり得るのかな、とも思ったりします。

また、非接触決済に対応するにしても、ICカードよりも少ない初期投資で導入可能なQRコード決済に切り換える事業者も出てくるものと思われます。
但し、QRコード決済では、特にスマホ搭載の場合は、決済画面を表示させるのに時間がかかることから、利用者の多い事業者ではスムーズな乗降の支障にならないのか、懸念もあります。

特に広島電鉄では、「新乗車券システム」として、基本的にスマホ搭載のQRコード決済を導入しようとしていますが、利用者も多いことから、スムーズな乗降を阻害し、遅延の原因にならないか、若干心配でもあります。


素人目から見れば「素直にICOCAに移行すればいいのではないか」という感想も出てくるようなものですが、そうならなかったのは様々な事情があるのも理解はしているつもりです。
ともあれ、PASPY終了後の広島県内の電車・バスでの決済が、利用者に混乱を招かず、より利便性の高い方法になるように願うしかないのかな、と感じたニュースでありました。




【関連ブログ】
PASPY、2025年3月末までに廃止。アトムはICOCAに切替へ - 鉄道プレス

【PASPY運営協議会】交通系ICカード「PASPY」サービス終了 - kqtrain.net(京浜急行)

【広島電鉄】新乗車券システムの開発に着手 - kqtrain.net(京浜急行)

【広島高速交通・JR西日本】アストラムラインにてICOCA及びICOCA定期券の発売開始 - kqtrain.net(京浜急行)




【関連ニュースサイト】
交通系ICカード「PASPY」、2025年にサービス終了へ - 鉄道コム

広島電鉄など、「PASPY」に代わる新乗車券システムの開発着手を発表 - 鉄道コム

広島高速交通、2024年度にICOCAを導入へ - 鉄道コム

広島の地域ICカードが2025年3月までにサービス終了へ…ICOCAや新乗車券システムへ移行する事業者も  | レスポンス(Response.jp)



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