JR東日本では、今後のバリアフリー施設整備について、特に早期整備が求められるホームドアについて、これまでの計画より1年前倒しの2031年度末頃までの整備を目指すとともに、利用者の薄く広い負担を得てバリアフリーを進める「鉄道駅バリアフリー料金制度」を活用することを発表しました。

バリアフリー設備の整備を促進します〜ホームドアは整備を拡大・加速〜|JR東日本

概要は以下のとおりです。

【今後のバリアフリー設備整備】
・2031年末頃までに、東京圏在来線主要路線の線区単位の330駅758番線へ整備拡大することに加え、整備時期をこれまでの計画より1年前倒しして2031年度末頃までの整備を目指す。

・ホームドア以外についても、エレベーター、スロープ、バリアフリートイレの整備を実施

【鉄道駅バリアフリー料金制度の活用】
今後の設備費用は約4,200億円(うちホームドア設備費4,100億円)で、これらの整備を進めるため、国により創設された「鉄道駅バリアフリー料金制度」を活用。

[届出概要]
・東京の電車特定区間のみを利用する場合を対象に、旅客運賃に次の料金を加算。
(通学定期旅客運賃には加算せず)
普通旅客運賃:10円(IC運賃、きっぷ運賃とも)
定期旅客運賃(通勤):1箇月・・・280円、3箇月・・・790円、6箇月・・・1,420円

・東京の電車特定区間
jreast_barrierfree_fare
(上記発表資料(https://www.jreast.co.jp/press/2022/20220405_ho01.pdf)より引用)

・収受開始は2023年3月を予定、収受した料金はバリアフリー設備の整備に充当。


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



ホームドアを含めた駅のバリアフリーについては、国・地方自治体による補助制度もこれまで実施されてきましたが、鉄道駅のバリアフリー化の推進は、高齢者や障害者だけでなく、全ての利用者が受益するとの観点から、都市部において利用者の薄く広い負担も得てバリアフリー化を進める枠組みを構築することで、従来を大幅に上回るペースで全国の鉄道施設のバリアフリー化を加速させることが、第2次交通政策基本計画(2021年5月閣議決定)で示されました。

これに基づき、鉄道駅のバリアフリー化により受益する全ての利用者に薄く広く負担する制度として、新たな料金制度が昨年12月に創設されました。

報道発表資料:全国の鉄道駅バリアフリー化を加速します!<br>〜鉄道駅バリアフリー料金制度の創設、地方部における支援措置の重点化〜 - 国土交通省


今回JR東日本では、この新たに設けられた料金制度を活用する初めてのケースとなります。
その内容としては、東京の電車特定区間で10円(普通運賃)を徴収し、ホームドアを中心としたバリアフリー設備整備に充当することとしています。

そのホームドアについては、今後2035年度までで約4,100億円の費用が必要となりますが、この料金制度で、約2,990億円を利用者から徴収し、活用することが可能となります。


単純に考えて10円の値上げとなるわけで、利用者にとってはわずか10円でも値上げというのはネガティブな印象と捉えられるかも知れませんが、特にホームドアは障害の有無にかかわらず、全ての利用者が安全・円滑に鉄道を利用できるようになるわけですから、受益者の負担によってその迅速な整備が進められるわけですから、その趣旨を理解していきたいところであります。

JR東日本でこの制度が円滑に運用できれば、他の事業者でも活用する事例が増えてくるものと思われますので、今後の広がりに注目し、より早い駅のバリアフリー実現に少しでも協力できればいいな、と思ったニュースでありました。



【関連ブログ】
【JR東日本】ホームドア整備を拡大・加速させるために「鉄道駅バリアフリー料金制度」活用へ - kqtrain.net(京浜急行)

JR東日本、バリアフリーで電車特定区間10円値上げ: たべちゃんの旅行記「旅のメモ」



【関連ニュースサイト】
JR東、バリアフリー設備投資に向け10円の加算運賃を2023年導入 - 鉄道コム

JR東日本「10円値上げ」へ バリアフリー加速のため一部区間で 2023年3月頃 | 乗りものニュース

JR東日本が首都圏のホームドア整備を加速、運賃に10円加算し整備に | マイナビニュース

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