和歌山県議会では、本日開催された4月臨時県議会において、同県が誘致を進めるIR(カジノを含む統合型リゾート)区域整備計画の認定を国に申請する議案を反対多数で否決しました。

県議会がIR整備計画について否決|テレビ和歌山
IR、カジノを含む統合型リゾート施設の整備計画について、国への認可申請の可否を審議する臨時県議会の本会議が開かれ、採決の結果、反対多数で否決されました。県は計画を国に申請できなくなりました。今日の本会議で行われた無記名投票の結果、賛成18、反対22の反対多数で否決し、県議会はIR整備計画の国への申請を認めないと判断、県は計画を国に申請できなくなりました。
県のIR整備計画では、和歌山市の和歌山マリーナシティを候補地に、仮称、IR和歌山を令和9年、2027年秋頃に開業するとしていました。初期投資額は4700億円で、カジノや国際会議場、ホテルなどから成り、開業2年目の総収益はおよそ2500億円、収益、利益が安定的に成長することを見込んでいました。しかし、計画を巡っては、議会の特別委員会で、主に資金調達の確実性などが議論され、議会が最終的にどう判断するか注目されていました。



県議会・IR区域整備計画を反対多数で否決・国への申請は白紙に | WBS和歌山放送ニュース
カジノを含む統合型リゾート・IRの区域整備計画の是非を審議している、4月臨時和歌山県議会は、最終日のきょう(20日)採決が行われ、県のIR区域整備計画の国への申請について反対多数で否決されました。これを受け、県は今月(4月)28日に期限を迎える国へのIR設置申請を断念することになります。

県では、和歌山市の和歌山マリーナシティにリゾート型IR施設を誘致していて、今月(4月)14日から臨時の県議会を開いて、計画の是非を審議してきました。

この間、一般質問やIR対策等特別委員会が行われ、県や事業者が示す資金調達のメドに不透明な点があるといった指摘が相次いだほか、とくに、IR対策等特別委員会では過去の県当局の答弁に虚偽の疑いも指摘され、県当局を調査する百条委員会の設置が検討されるなど、議論は混迷を極めました。

きょうの本会議での採決は、無記名の投票で行われ、開票の結果、有効投票数40票のうち、賛成18、反対22となり、県のIR区域整備計画の国への申請は、わずか4票差で反対が上回り、否決されました。

臨時議会終了後、和歌山県の仁坂吉伸(にさか・よしのぶ)知事は「痛恨の極み。和歌山の衰退を止め、成長の起爆剤にしようと頑張ってきたが、民主主義なので仕方がない。絶対に仕上げて責任を持ってやろうと思ったが、責任を取れなくなってしまった。ただ、どんな状況でも県民を守らないといけないから、大きな起爆剤は失われたが、それならそれで、別のことを考えて必死でやるしかない」と述べました。

また、和歌山県議会の森礼子(もり・れいこ)議長は「特別委員会であそこまで深く協議したことが、きょうの投票結果に現れたと思う。今回の結果を受け、和歌山を更に盛り上げたい気持ちに変わりはなく、全員の結束が高まったと思う。IRへの申請も3か所目が決まるまでは次のチャンスが残っているので、区域整備計画をよりブラッシュアップして、あきらめずに頑張ってくれることを大いに期待したい」と述べました。



これにより、今月末が期限とされていた国へのIR整備計画の提出について、和歌山県は断念することとなり、IR整備計画の提出は大阪府・市と長崎県の二者となることが濃厚となりました。



和歌山県のIRについては、私の勤務地での新たな誘客開発として、個人的に注目していました。

県内の経済活性化の観点でも大きな効果が見込めるだけに、県内あるいは県議会においても、誘致そのものへの反対はそこまで強くはなかったかと思います。

ただ今回県議会において否決されたのは、IR自体への反対ではなく、事業者の資金計画が不透明であった点が疑問視され、今回の否決に至ったものとみられます。

国全体で3件とされているIRについて、その数が満たなくなることから、次の募集があり得るかも知れませんし、仁坂県知事もそのチャンスに向けて再トライしたい意向も示しています。
一方で、今回否決に至った理由が「資金計画の不透明さ」であったことから分かるように、和歌山でのIR実施で万全な資金計画を提示できる事業者が現れるのかも、これまた難しい点があることから、二次募集があるからといって即座に応募できるものではないかも知れません。



以上、和歌山県のIR整備計画について、本日議会で否決されたニュースについて述べてきました。

さて、公共交通機関の話題がメインのこのブログで何故IRを突然取り上げてるのか?という疑問も持たれる方もあるかと思われますが、その理由は下記記事をご覧いただければお分かりいただけるかと思います。



和歌山市では、この和歌山IRが実現した際の市内の公共交通アクセスを改善するため、南海電鉄とBRTの共同研究を実施していて、そのひとつとして、交差点の道路改良の必要性、既存交通への影響等を検討するための連節バスの試走を、昨年3月に行いました。



和歌山IRの開業予定が2027年(令和9年)でありましたので、それに併せて道路改良の実施・連節バスの導入という予定を立てていたものと思われます。
しかし、今回のIR整備計画提出が否決されたことにより、少なくとも2027年の開業予定は無くなることと考えられ、それに伴いこのBRT導入計画も見送りとなる可能性が高そうです。


個人的には、IRの誘致とは別に、純粋に和歌山市内のバスのブラッシュアップという意味で、このBRT導入については大きな期待をしていました。
しかし今回、上述の理由からこのBRTについても見送りとなることが濃厚となることは、非常に残念ではありますが、元よりIR整備について地元自治体の議決が求められている仕組みの上でのことであることから、それは仕方がないことであるとは思います。


ただやはり、和歌山市内を連節バスが走る姿、それにより便利になり利用者が根付くバス路線の姿というのを見たかっただけに、残念であることも事実であります。
今後、このBRT計画が中止となるのか、あるいは形を変えて検討されていくのか、引き続き注目したいと思います。

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▲西汀丁(にしみぎわちょう)交差点を右折する試走中の連節バス。
このような姿が和歌山市内で見られる日々を楽しみにしていたのですが・・・



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