JR東日本では、同社の中央快速線(東京〜高尾等)について、グリーン車の導入を計画しています。

当初は2020年度導入予定として、2015年2月に発表されていました。


しかしその後、2018年4月には「バリアフリー等の他施策との工程調整や関係箇所との協議等」に時間がかかったことを理由として、当初の予定より3年遅れの2023年度末(2024年3月頃)に導入することを発表しました。


延期後の導入が2年後に迫る中、その後の動きがあまり聞こえてこないところでしたが、今回同社の2022年度設備投資計画において、この中央快速線グリーン車導入について、更に少なくとも1年程度遅れる見込みであることが発表されました。

変革のスピードアップのための投資計画|JR東日本

概要は以下のとおりです。

【中央快速線グリーン車導入の延期について】
グリーン車両の新造計画が世界的な半導体不足の影響を受けており、2023年度末を予定していたサービス開始が少なくとも1年程度遅れる見込み
・具体的なサービス開始時期については、決まり次第発表。

詳細は、上記発表資料をご覧下さい。




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▲中央快速線グリーン車導入イメージ
(JR東日本「中央快速線等へのグリーン車サービス開始時期および車内トイレの設置について」(2018年4月3日)より引用)


上述のとおり、今を遡ること7年ほど前に、中央快速線へのグリーン車導入が発表されました。
東京駅基準で見ると、既に東海道線・宇都宮線・高崎線・常磐線・横須賀線・総武線の各方面へのグリーン車導入が完了しています。
かつての「通勤五方面作戦」ではありませんが、東京駅基準で見ると、残るグリーン車導入は中央快速線が残されていました。

その中央快速線についても、当初は2020年度のサービス開始を予定していましたが、その後工事関係の調整に時間を要し、2023年度末の導入と延期されました。


しかし今回、更に1年程度の延期が発表され、導入時期は2024年度末となり、当初の発表から足かけ10年かけてのサービス開始の予定、ということとなりました。

しかも、今回の延期の理由は「世界的な半導体不足」によるものとされており、自動車等で既に問題となっている半導体不足による影響が、遂に鉄道事業者のサービス開始にまで影響を及ぼす事例となりました。

加えて、理由が理由だけに、コロナの感染状況にも左右されることから、サービス開始が更に延びることも十分考えられます。

個人的には、東京駅での折り返し時間がタイトな中央快速線で、どのように折り返しの車内整備を行うのか、といった点に興味津々なわけですが、その様子をこの目で実際に見ることができるのが、更に先延ばしとなってしまうのは、残念でしかありませんが、仕方がありません。


並行して走る京王線では、既に「京王ライナー」を運行しており、コロナ禍で混雑率が緩和されているとはいえ、新たに明大前に停車するなどの利便性向上策を講じています。


正確に言えば、中央快速線と京王線とは併走しているように見えて互いに若干離れている(中央快速線は三鷹・国分寺・立川、京王線は調布、府中を経由)ため、阪神間におけるJR・阪神・阪急のような競合関係とまではいえないので、今回のグリーン車導入再延期により、中央快速線から京王線への利用者流出が起こる可能性は低いかと思われます。

とはいえ、コロナ禍のなか、他の乗客と一定程度の距離が確保できる「有料着席サービス」へのニーズは決して低いわけではないわけですので、中央快速線のグリーン車導入についても期待している方も多いかと思います。


半導体不足という、JR東日本単体では如何ともしがたい理由による延期ではありますが、今後無事に半導体の供給が順調に回復し、無事に2025年春頃のサービス開始ができることを願いたいところですね。




【関連ブログ】
【JR東日本】半導体不足で中央線G車竣工が1年以上の遅れへ - 鉄道プレス

中央線グリーン車導入は1年以上遅れる: たべちゃんの旅行記「旅のメモ」




【関連ニュースサイト】
JR東、中央線などへのグリーン車導入時期を再延期 - 鉄道コム

JR中央線へのグリーン車、さらに1年遅れる見込み 半導体不足の影響で | 乗りものニュース

JR東日本の投資計画、中央快速線グリーン車の導入が遅れる見込みに | マイナビニュース

中央線グリーン車がなかなか実現しない件。再延期発表、早くて2025年春 | タビリス



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