近鉄(近畿日本鉄道)では、統合型リゾート(IR)の整備が計画されている大阪市の夢洲から、同社沿線各地を直通する列車を計画しています。

その実現のためには、集電方式が異なる「大阪メトロ中央線」「近鉄けいはんな線」と「奈良線」の両方の集電方式に対応する車両が必要となります。

今回近鉄では、この直通列車に必要な「可動式第三軌条用集電装置」の試作品が完成し、各種試験に着手する予定となったことを発表しました。

夢洲直通列車向けの集電装置の開発について|近畿日本鉄道

概要は以下のとおりです。

【イメージ】
kintetsu_shudensouchi

(※)
架空電車線の区間では走行に支障する集電靴を、折り畳んで収納する機能を装備。

(上記発表資料(https://www.kintetsu.co.jp/all_news/news_info/syudennsouti.pdf)より引用)


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



当たり前の話ですが、電車は電気が無いと走れないため、その電気を外から取り込む(集電)する必要があります。

その集電方法には大きく分けて二つの方式があります。

一つは、線路の上に架線を張り、その架線と電車に取り付けた「パンタグラフ」等を用いて集電する「架空電車線」
多くの鉄道で採用されている方式になるかと思います。

もう一つは、走行に用いるレールの横に電気を流すためのレールを別途敷設し、そこから電車の台車に取り付けた部品(集電靴)を用いて集電する「第三軌条」
こちらは、トンネルの高さを低くすることで建設コストを抑える観点から、主に地下鉄や、その相互直通運転する線区で用いられています。


近鉄の場合、大阪メトロ中央線と相互直通運転するけいはんな線では「第三軌条」が、その他の線区で「架空電車線」が用いていますが、現在両方の方式に対応した車両が無いため、両線区の直通運転は不可能となっています。

kintetsu_shudensouchi_2
▲大阪メトロ中央線・けいはんな線と奈良線での集電方式の違い
(上記発表資料(https://www.kintetsu.co.jp/all_news/news_info/syudennsouti.pdf)より引用)


「では、架空電車線を走る電車に集電靴を付ければいいのでは?」という疑問もありますが、そうすると、集電靴の出っ張りが架空電車線区間の車両限界(車体断面の大きさの限界)を越えてしまうことから、これを解決する方法が求められていました。


今回近鉄からは、架空電車線の区間でこの集電靴を折り畳むことで、奈良線〜けいはんな線〜大阪メトロ中央線の直通運転が可能になる車両を実現させることが発表されました。


アイデアそのものは単純かも知れませんが、折り畳むことで生じる様々な問題を解決した装置ということで、これが鍵となりこれまで実現できなかった、「第三軌条」区間と「架空電車線」区間との直通運転が可能になることから、夢洲のみならず様々な直通運転の夢が広がりそうであります。


近鉄では今後、各種試験に着手するとのことですが、試験が良好な成績を収め、夢洲と京都・奈良を結ぶ新しい直通列車が実現し、それが国内外の人々の注目を集めることになれば嬉しいな、と思いますので、今後の展開を楽しみにしたいと思います。




【関連ブログ】
【これはすごい】近鉄、折畳式の第三軌条集電装置(試作品)を発表 | Osaka-Subway.com



【関連ニュースサイト】
近鉄、奈良線と大阪メトロ中央線の直通に向けた装置の試作品を開発 - 鉄道コム

近鉄特急の「夢洲直通」実現か “架線×第三軌条どっちもOK装置”完成 試験着手 | 乗りものニュース

近鉄、夢洲直通列車向け「可動式第三軌条用集電装置」試作品が完成 | マイナビニュース



↓↓鉄道系ブログ・ニュースポータルサイト「鉄道コム」はこちらをクリック↓↓
鉄道コム