JR北海道では、利用者の状況や同社を取り巻く経営環境の変化を踏まえ、2022年11月末をもって普通回数乗車券の発売を終了することを発表しました。

普通回数乗車券の発売終了について|JR北海道
JR北海道とJR東日本にまたがる普通回数乗車券の発売終了について|JR北海道

概要は以下のとおりです。

【発売終了するきっぷ】
・JR北海道線完結となる普通回数乗車券
・JR北海道線とJR東日本線にまたがる普通回数乗車券
(※)いずれも身体障害者用、知的障害者用及び通学用の割引普通回数乗車券は発売を継続。

【発売終了の時期】
2022年11月30日(水)
(※)発売終了後も有効期間満了までは、購入済みの普通回数乗車券を利用可能。


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



昨年から今年にかけて、JRグループ各社では、「普通回数乗車券の廃止」が相次ぎました。
このブログでも、各社で廃止が発表される毎にブログ記事でまとめてきましたが、これも以下のとおり結構な記事数になってしまいました。

【これまで当ブログでご紹介したJRグループ各社の普通回数乗車券廃止の記事】

(JR東日本:2022年9月末廃止)
阪和線の沿線から : 【JR東日本】普通回数乗車券の発売終了を発表(2022年9月末)Suicaエリア外も含めたJR東日本内完結区間は全区間で発売終了

(JR東海:2022年9月末廃止)
阪和線の沿線から : 【JR東海】普通回数乗車券の発売終了を発表(2022.9.30)

(JR西日本ICOCAエリア:2021年9月末廃止)
阪和線の沿線から : 【JR西日本】ICOCAエリア内の普通回数券発売終了を発表(2021.9.30)代替でICOCAポイント付与率拡充

(JR西日本ICOCAエリア以外:2022年9月末廃止)
阪和線の沿線から : 【JR西日本】普通回数乗車券の発売を終了(2022.9.30限り)ICOCAエリア外に加えJR他社も含めて終了へ

(JR四国:2022年9月末廃止)
阪和線の沿線から : 【JR四国】普通回数券の発売を終了(2022.9.30)「6枚回数券」は発売継続へ

(JR九州:2021年6月末廃止)
阪和線の沿線から : 【JR九州】普通回数券の発売終了を発表(2021.6.30限り)代替措置は無し


そして今回、唯一存廃を表明していなかったJR北海道も遂に「普通回数乗車券廃止」を発表しました。
JR北海道の廃止発表が遅れた理由は不明ですし、同社の厳しい経営状況を勘案すれば、もっと早い段階での廃止もあり得たのでしょうが、2019年10月に消費税抜きで9.1%の値上げを行った同社でもありますので、実質的な値上げとなる普通回数乗車券の廃止には、JR他社の動向を見極めてから、という判断が働いたのかも知れません。


ともあれ、今回の発表で、JRグループ各社から「普通回数乗車券」が消滅することになります。
思えばコロナ禍後の2021年から1年あまりで、一気に廃止に進んでしまったこの普通回数乗車券。
各社における廃止時期について、下記の表でまとめてみました。
jrgroup_kaisuken_haishi
(各社発表資料を基に管理人が作成)


注目は、回数券終了に伴う代替措置の有無で、JR東日本は「Suica」の「リピートポイントサービス」、JR西日本は「ICOCAポイント」がありますが、その他の各社では代替措置は無く、実質的な値上げ、となります。
一方JR四国完結区間では、独自に発売している「6枚回数券」は引き続き発売されますので、これが代替商品となりますので、実質値上げを伴わない唯一のパターンでありましょうか。


元々回数券は、「無記名」「バラして使える」「3ヶ月間有効」という特長から、同一人が複数回使うだけでなく、複数人、あるいはグループで利用するという利用ケースも多かったかと思います。

従来は、そういった利用者であっても、割引を提供するのが普通、だったのかも知れません。
しかし、このコロナ禍で利用動向が大きく変容する中、もはや上述のとおり少々の利用であっても割引が受けられてしまう「回数券」を整理していく、という判断が働いたといえるでしょう。
そして、より利用回数の多い利用者に対して割引を提供していく、という厳しい利用状況の中で持続可能な割引サービス提供を構築していく、という姿勢の代表的な例なのかな、とも感じました。


さてJRグループで普通回数乗車券が発売が終了となったいま、同じく台所事情の厳しい他の鉄道事業者ではどのような判断が行われるのでしょうか。
関西地区の大手民鉄では、京阪電鉄で既に回数券の発売を終了、阪神電鉄でも今年9月末をもって回数券の発売終了を発表しています
阪和線の沿線から : 【京阪電鉄】ICOCAによるポイント還元サービスの開始を発表(2020.12.1〜)現行の回数券は12月末で発売終了
回数乗車券の発売終了と ICOCAによるポイントサービスの実施について|ニュースリリース|阪神電気鉄道株式会社

現在のところ、関西地区大手民鉄ではこれに続く動きは出てきていませんが、回数券廃止がもはや珍しくなくなってきた昨今、これに続く動きがいつ、どこの事業者から出てくるのか、引き続き注視しておきたいところです。




【関連ニュースサイト】
JR北海道 普通回数券 発売終了(2022年11月30日) - 鉄道コム

JR北海道、普通回数乗車券11/30販売終了へ - JR東日本との回数券も | マイナビニュース

JR全社で普通回数券が販売終了。「格安チケットの時代」に区切り | タビリス



【関連ブログ】
JRの普通回数券、廃止へ: たべちゃんの旅行記「旅のメモ」



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