JR東日本では、地方交通線をはじめとした鉄道の利用状況について、昨今の環境の変化とともに大きく減少しており、各路線の経営状況が厳しさを増し、同社でも重要な経営課題としてにんしきしています。

今後の鉄道の在り方や地方高越線をとりまく問題について、地域の住民に現状を理解していただき、持続可能な交通体系について建設的な議論をおこなうため、今回利用の少ない線区の経営情報を開示することとしました。

ご利用の少ない線区の経営情報を開示します|JR東日本

概要は以下のとおりです。

【開示対象線区】
平均通過人員が2019年度実績において2,000人/日未満の線区を対象。
(35路線、66区間)
07-30-2022teigen6
▲2019年度線区別利用実績
(上記発表資料(https://www.jreast.co.jp/press/2022/20220728_ho01.pdf)より引用)


【開示内容】
・収支(各線区の運輸収入から営業費用を引いた値)
・営業係数(各線区の営業費用を運輸収入で割り、100をかけた値)
・収支率(各線区の営業費用に対する運輸収入の割合を百分率で示した値)

【2020年度の営業係数及び平均通過人員について(営業係数10,000以上の線区)】
・陸羽東線・鳴子温泉〜最上:
営業係数22,149、平均通過人員41人/日

・磐越西線・野沢〜津川:
営業係数17,706、平均通過人員69人/日

・久留里線・久留里〜上総亀山:
営業係数17,074、平均通過人員62人/日

・花輪線・鹿角花輪〜大館:
営業係数14,499、平均通過人員60人/日

・飯山線・戸狩野沢温泉〜津南:
営業係数13,495、平均通過人員77人/日


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



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▲陸羽東線・鳴子温泉駅に停車中のキハ110系。
この陸羽東線では、この鳴子温泉から最上の間の営業係数が22,149となっています。
単純にいえば、収入の220倍の費用がかかっていることになります。

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▲飯山線・戸狩野沢温泉駅に停車中のキハ110系。
この飯山線では、戸狩野沢温泉〜津南間の営業係数が13,495となっています。


このブログでもこれまでご紹介してきたように、人口減少や高規格道路の開業等、沿線を取り巻く環境の変化により、特に地方路線の利用者が減少してきており、もはや公共交通機関としての鉄道の特性が発揮できない線区が多く発生してきています。

従前は、特に経営規模の大きいJRグループでは収益性の高い路線からの内部補助により経営が維持されてきた側面もありましたが、コロナ禍でこれらの路線の収益も大きく落ち込む中、そもそも利用者の少ない路線のあり方について、鉄道事業者のみならず地域も巻き込んだ議論が求められる状況となりました。

その一方で、沿線地域にとってみれば、輸送人員が少ないとはいっても公共性の高い線区であることをもって、ただ単に経営が厳しいからといって即座に廃止への議論を進めることについて、強い警戒感を有しており、その結果、「地域のあるべき公共交通機関の姿」への議論が全く進まない状況が続いていました。

そのような状況の中、これらの利用の少ない線区の経営情報についてこれまで開示してこなかったデータもオープンにすることで、これらの議論を進めていこう、という動きが今年になって見られるようになりました。
既にJR西日本では、今年の4月に利用の少ない線区(2019年度の輸送密度2,000人/日未満)の経営情報を開示しています。
阪和線の沿線から : 【JR西日本】ローカル線に関する情報開示を実施。紀勢線・新宮〜白浜間の収支率は19.0%(コロナ禍前)


今回、JR西日本と同様、山間部を中心に利用者の少ない線区を多く抱えるJR東日本も、持続可能な交通体系について建設的な議論に資するべく、今回経営情報を開示することとしました。

線区ごとの経営情報は、上記発表資料内に記載されていますが、やはり山間部など、県境の旅客流動が少ない区間で、利用状況が少なく、経営状況も厳しい現状が浮き彫りとなっています。

特に信越、東北地方などの積雪地域では、除雪に要する費用も加わるため、より厳しい収支状況になるのではないか、とも考えられます。
一方で、首都圏の千葉県を走る久留里線の末端区間・久留里〜上総亀山間では、コロナ禍前から10,000を超える営業係数(収入の100倍以上の経費を要する状況)となっているのも、意外なところが経営状況が厳しいことに気づかされました。

今後、これらの開示されたデータを元に、JR東日本と沿線地元があるべき公共交通機関について協議し、持続可能な交通体系とするためには、鉄道として維持するのがよいのか、それともバス等他の公共交通機関にリニューアルするのがよいのか、建設的な議論が行われるべきであります。

利用者と収支状況といった客観的なデータを前に、決して「鉄道ありき」「存続ありき」の意見に収支することなく、それこそ次世代の地域住民が快適に過ごせるための公共交通機関は何か、真摯かつ建設的に話し合う必要があると考えています。




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