阪急電鉄と阪神電鉄では、全駅へのホーム柵の設置等のバリアフリー化を推進するとともに、その費用について、国により創設された「鉄道駅バリアフリー料金制度」を活用し、普通運賃に上乗せしてまかなうことを発表しました。

全駅にホーム柵を設置するとともに、全駅のバリアフリー化を目指します|鉄道情報 お知らせ|阪急電鉄
更に安心・快適に。 全駅へのホーム柵の設置を目指します 〜鉄道駅バリアフリー料金制度を活用することで、整備を加速化します〜 |ニュースリリース|阪神電気鉄道株式会社

概要は以下のとおりです。

【料金設定区間】
阪急線全線、阪神線全線
(いずれも神戸高速線を除く)

【鉄道駅バリアフリー料金制度による値上げ額】
・普通券(阪急)、定期外1乗車につき(阪神)
10円

・通勤定期券(阪急・阪神とも)
1ヶ月:380円
3ヶ月:1,080円または1,090円
6ヶ月:2,050円または2,060円

・通学定期券(阪急・阪神とも)
設定なし

【値上げ開始日】
2023年4月1日(土)予定

【料金収受期間】
2023年度〜2035年度(2036年度以降も予定)

【上記期間中の総徴収額及びバリアフリー総整備費】
・阪急電鉄:
総徴収額・・・478億円
総整備費・・・913億円

・阪神電鉄:
総徴収額・・・176億円
総整備費・・・320億円
(いずれも1億円未満四捨五入)

【主な整備内容】
・ホーム柵の全駅設置
(阪急・阪神全駅)
・中津駅(阪急)エレベーター等整備


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



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▲阪急電鉄神戸線1000系

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▲阪神電鉄5700系


昨年12月に国により創設された「鉄道駅バリアフリー料金制度」。

ホームドアを含めた駅のバリアフリーについては、国・地方自治体による補助制度もこれまで実施されてきました。
一方、鉄道駅のバリアフリー化の推進は、高齢者や障害者だけでなく、全ての利用者が受益できるものであります。

そのため、都市部において利用者の薄く広い負担も得てバリアフリー化を進める枠組みを構築することで、従来を大幅に上回るペースで全国の鉄道施設のバリアフリー化を加速させることが、第2次交通政策基本計画(2021年5月閣議決定)で示され、これに基づき、鉄道駅のバリアフリー化により受益する全ての利用者に薄く広く負担する制度として、創設されたのが、この「鉄道駅バリアフリー料金制度」であります。


報道発表資料:全国の鉄道駅バリアフリー化を加速します!〜鉄道駅バリアフリー料金制度の創設、地方部における支援措置の重点化〜 - 国土交通省


この創設を受け、JR東日本では早速今年4月に本制度を活用したバリアフリー推進に伴う料金加算を既に発表しており、首都圏の他事業者も一部、料金上乗せを実施することとしています。
阪和線の沿線から : 【JR東日本】バリアフリー設備整備促進のため「鉄道駅バリアフリー料金制度」を活用。電車特定区間で10円(普通運賃)加算に(2023年3月〜)


一方で、首都圏以外の鉄道事業者でも、本制度活用の事例が続くのか、その動向が気になるところでしたが、今回阪急電鉄及び阪神電鉄で、バリアフリー推進のための料金加算が発表されました。

加算の金額は、JR東日本と同様、1乗車10円となっており、通学定期券には加算しない点も、先行事例と同様といえるでしょう。


わずか10円ではありますが、値上げというニュースに対してネガティブな印象を持たれる方も少なからずいらっしゃいますし、首都圏ほど利用者の多くない関西地区では、尚のことその必要性に疑問を抱くかたももしかしたら少なくないのかも知れません。

しかし、上述のとおりバリアフリーにより全ての利用者が利便性を享受できることを考えると、そのバリアフリーの促進のための財源を鉄道事業者が賄いやすくすることで、バリアフリー整備のスピードアップが図られることは、めぐり巡って全ての利用者が恩恵を受けるわけですから、理解を示したいところであります。


今後、関西地区でもこの「鉄道駅バリアフリー料金制度」を活用したバリアフリー整備が実施されるのか、他社の動きにも注意しておきたいな、と思ったニュースでありました。




【関連ブログ】
【阪急】値上げと引換に2040年度までに全駅ホーム柵設置へ - 鉄道プレス

【阪神】値上げと引換に2042年度を目処に全駅ホームドア設置へ - 鉄道プレス



【関連ニュースサイト】
阪急・阪神、バリアフリー設備投資に向け2023年に運賃値上げへ - 鉄道コム

阪急電鉄、全駅で可動式ホーム柵など整備 - バリアフリー料金設定 | マイナビニュース

阪神電気鉄道、ホーム柵を全駅に設置へ - バリアフリー料金を設定 | マイナビニュース

阪急・阪神ともに「バリアフリー化値上げ」決定 全駅にホーム柵設置へ | 乗りものニュース

阪急,「鉄道バリアフリー料金制度」を活用した設備整備を実施へ|鉄道ニュース|2022年8月9日掲載|鉄道ファン・railf.jp

阪急電鉄、全駅にホーム柵を設置。バリアフリー化を目指す - トラベル Watch

阪神,「鉄道バリアフリー料金制度」を活用した設備整備を実施へ|鉄道ニュース|2022年8月12日掲載|鉄道ファン・railf.jp



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