来る9月23日に開業する西九州新幹線。
既に指定券等の発売も開始されていますが、JR九州によりますと、開業日の1番列車である「かもめ1号」(武雄温泉7:03発)、「かもめ2号」(長崎6:17発)は、いずれも発売開始後10秒ほどで完売したとのことでした。
西九州新幹線「かもめ」・新D&S列車「ふたつ星4047」指定席きっぷの発売状況について|JR九州
さて、この西九州新幹線でも、開業に併せて各種の割引きっぷが設定されています。
西九州新幹線開業に伴う割引きっぷについて|JR九州
上記発表資料では、「かもめネットきっぷ」「かもめネット早特3」「おためし!かもめネット早特7」等の割引きっぷが新たに設定されることとなっています。
その設定区間を眺めていて気になったのは、設定区間の長崎側が、「長崎」まででなく、「長崎・浦上」となっている点が、個人的に気になっていました。
この浦上駅、現行ダイヤでは全ての特急「かもめ」が停車していますが、西九州新幹線開業後は新幹線は停車しないことから、一旦長崎駅まで出向く必要が出てきます。
そのため、同新幹線開業後は、新たな乗り換えが発生するのに加え、浦上〜長崎間を往復して乗車することになるため、新たな運賃負担が発生するのではないか、とも考えられます。
上記「かもめネットきっぷ」の場合、「発着を「浦上・長崎」とする設定区間の場合は浦上〜長崎を復乗できます」と記されているので、「西九州新幹線〜長崎〜浦上」という利用は認められていることが分かります。
では、こういった割引きっぷではなく、通常のきっぷで計算する場合、この浦上駅と、浦上駅から分岐する線区(「長与経由」と「現川(うつつがわ)」経由)の取扱いはどうなるのか。
Webサイトにも西九州新幹線開業後の規程が整備されつつありますので、開業を前に一度、見ておきたいと思います。
ちなみに、西九州新幹線開業後の、諫早〜長崎間を含む長崎本線・西九州新幹線の路線図を、交通新聞社「デジタル時刻表Lite」から引用しますので、適宜ご確認下さい。
【諫早〜現川〜長崎間は新幹線・在来線ともに同じ線として計算】
まずはじめに、新幹線と在来線と並行する場合、基本的に同じ線として取り扱うこととしています。
これは、東海道、山陽新幹線等、他の新幹線でも基本的な扱い方となっていますが、この「同一路線としての取扱い」に、諫早〜長崎間の西九州新幹線と長崎本線(現川経由)が追加されることとなりました。
そのため、上記「かもめネットきっぷ」のような、別途の定めがない場合、浦上駅から長崎駅に一旦向かって西九州新幹線に乗車する場合、「浦上〜長崎」と「長崎〜西九州新幹線経由の目的地」で運賃を別計算する必要が出てくるものと考えられます。
【長与方面〜浦上〜長崎間は「分岐駅通過特例」が適用に】
一方、この浦上駅からは、更に長与経由の長崎本線が分岐しています。
この「長与経由」は、諫早〜長崎間で建設されたうち、最も古い路線でありましたが、その後の輸送力増強のため、内陸部をトンネルで貫通する「現川経由」の長崎本線が建設された、という経緯があります。
上述のとおり、西九州新幹線と同一の路線として取り扱われる在来線は、「現川経由」のため、この「長与経由」は別線と扱われます。
その別線へ向かうための特例についても、今回の西九州新幹線開業により、新たに設けられています。
これにより、例えば道ノ尾駅から西九州新幹線を利用して博多方面に向かう場合、「道ノ尾〜(長崎本線)〜長崎〜(西九州新幹線方面)〜博多方面」と利用した場合でも、二回乗車することになる「浦上〜長崎」間は含めず計算ことが可能となります。
(※)長崎駅で途中下車する場合は、「道ノ尾〜長崎」と「長崎〜博多方面」と別々に計算する必要があります。
【浦上〜長崎〜西九州新幹線の場合、やはり長崎駅で打ち切り計算か?】
西九州新幹線開業に際し、新たに設けられた運賃計算に関する規定は以上のとおりでした。
そのため、これまで浦上駅から「かもめ」で博多方面に向かっていた方は、上述「かもめネットきっぷ」等、個別の規定が設けられているきっぷを除くと、以下のいずれかの方法を取ることになるかと考えられます。
【1】の場合、所要時間が短いルートとなることが想定されますが、一旦長崎駅で運賃計算を区切るため、浦上〜長崎間(大人片道170円)を別途支払うこととなり、従前より更に割高になる可能性があります。
一方【2】の場合は、運賃の加算は無いものの、在来線で諫早駅まで向かう必要があることから、所要時間が延びる可能性があります。
【長与方面〜長崎〜西九州新幹線の場合、長崎駅を経由しても通しで運賃計算(長崎駅で途中下車しない場合)】
一方、「分岐駅を通過する列車の特例」で記したように、長崎本線の長与経由路線の各駅(東園〜西浦上の各駅)から長崎駅を経由して西九州新幹線の乗車する場合(逆も同様)、長崎駅を経由したとしても、長崎駅で途中下車しなければ通しの運賃計算が可能(即ち浦上〜長崎間の往復を計算する必要がない)となることが分かります。
長崎駅の一つ手前の駅の「浦上駅」。
一般の方々には、日本最大規模のカトリック教会として観光地で著名な「浦上天主堂」をご存じの方も多いかと思います。
一方、長崎市内の公共交通機関という点でみますと、ここ浦上駅は、上述のとおり現川経由・長与経由の長崎本線の乗り換え駅であるだけでなく、長崎電気軌道(路面電車)や各社のバスと乗り換えが可能で、長崎市内北部や隣接する自治体への玄関口となっていることから、現在のダイヤで特急「かもめ」が全列車停車するのも当然ともいえる、市内の拠点駅の一つ、といえるでしょう。
今回の西九州新幹線開業により、この浦上駅では、博多方面への特急列車が経由しなくなるばかりか、きっぷや運賃計算の取扱いにおいても、大きな変化が出てきます。
上述のとおり、運賃計算の取扱いに関しては、概して厳しいものとなっていることが考えられますので、これまで浦上駅から特急「かもめ」を利用して、佐賀・博多方面へ向かわれた方は、西九州新幹線開業後のきっぷの買い方についても、十分注意しておく必要があるかと思います。
また、これまで縷々述べてきたとおり、西九州新幹線開業に伴い、運賃計算等に関して様々な特例が関係するエリアとなりますので、駅や車内といった現場においても、丁寧で分かりやすい説明・対応が必要なのかな、と感じました。
以上、雑駁ではありますが、西九州新幹線開業後の浦上駅をはじめとした在来線の運賃等の取り扱いについて述べてみました。
…と思うのですが、実はこの区間に関しては、まだもう一つ、別の特例が存在しています。
その特例は、主に長与経由の各駅で乗降する場合の、運賃計算に関するもので、なおかつ特例の適用有無を利用者が選択できるものです。
(「選択乗車」といいます。)
その特例もここで述べると、余計に話が長くなるので、一旦区切って、別のエントリーで気が向いた時にご紹介できれと思っていますので、お楽しみにしていただければ幸いです。
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既に指定券等の発売も開始されていますが、JR九州によりますと、開業日の1番列車である「かもめ1号」(武雄温泉7:03発)、「かもめ2号」(長崎6:17発)は、いずれも発売開始後10秒ほどで完売したとのことでした。
西九州新幹線「かもめ」・新D&S列車「ふたつ星4047」指定席きっぷの発売状況について|JR九州
さて、この西九州新幹線でも、開業に併せて各種の割引きっぷが設定されています。
西九州新幹線開業に伴う割引きっぷについて|JR九州
上記発表資料では、「かもめネットきっぷ」「かもめネット早特3」「おためし!かもめネット早特7」等の割引きっぷが新たに設定されることとなっています。
その設定区間を眺めていて気になったのは、設定区間の長崎側が、「長崎」まででなく、「長崎・浦上」となっている点が、個人的に気になっていました。
▲JR九州「かもめネットきっぷ」の価格の一例
(https://www.jrkyushu-kippu.jp/fare/ticket/329より引用)
この浦上駅、現行ダイヤでは全ての特急「かもめ」が停車していますが、西九州新幹線開業後は新幹線は停車しないことから、一旦長崎駅まで出向く必要が出てきます。
そのため、同新幹線開業後は、新たな乗り換えが発生するのに加え、浦上〜長崎間を往復して乗車することになるため、新たな運賃負担が発生するのではないか、とも考えられます。
上記「かもめネットきっぷ」の場合、「発着を「浦上・長崎」とする設定区間の場合は浦上〜長崎を復乗できます」と記されているので、「西九州新幹線〜長崎〜浦上」という利用は認められていることが分かります。
▲「かもめネットきっぷ」の「きっぷの効力」
(https://www.jrkyushu-kippu.jp/fare/ticket/329より引用)
では、こういった割引きっぷではなく、通常のきっぷで計算する場合、この浦上駅と、浦上駅から分岐する線区(「長与経由」と「現川(うつつがわ)」経由)の取扱いはどうなるのか。
Webサイトにも西九州新幹線開業後の規程が整備されつつありますので、開業を前に一度、見ておきたいと思います。
ちなみに、西九州新幹線開業後の、諫早〜長崎間を含む長崎本線・西九州新幹線の路線図を、交通新聞社「デジタル時刻表Lite」から引用しますので、適宜ご確認下さい。
▲長崎周辺の路線図
(交通新聞社「デジタル時刻表Lite」より引用、確認日:2022年8月28日、赤枠は管理人による)
<免責事項>
このブログでの記載内容については、管理人が自身で調査し、まとめたものであります。
間違い等が無いように留意していますが、JR九州の公式見解ではありませんので、実際の利用の際には、JR九州等に確認いただく等お願いします。
また本記事に記載の内容に基づき被った損害等については、管理人はその責を負いませんので、自己責任でご活用ください。
【諫早〜現川〜長崎間は新幹線・在来線ともに同じ線として計算】
まずはじめに、新幹線と在来線と並行する場合、基本的に同じ線として取り扱うこととしています。
これは、東海道、山陽新幹線等、他の新幹線でも基本的な扱い方となっていますが、この「同一路線としての取扱い」に、諫早〜長崎間の西九州新幹線と長崎本線(現川経由)が追加されることとなりました。
▲JR九州のWebサイト「乗車券→きっぷのルール」内の記述。
(https://www.jrkyushu.co.jp/railway/ticket/rule/02/)より引用)
▲旅客営業規則の一部改正新旧対照表。
同一の線路としての取扱いを定める「第16条の2」で「長崎本線中諫早・長崎間(現川経由)」が追加されることになります。
そのため、上記「かもめネットきっぷ」のような、別途の定めがない場合、浦上駅から長崎駅に一旦向かって西九州新幹線に乗車する場合、「浦上〜長崎」と「長崎〜西九州新幹線経由の目的地」で運賃を別計算する必要が出てくるものと考えられます。
【長与方面〜浦上〜長崎間は「分岐駅通過特例」が適用に】
一方、この浦上駅からは、更に長与経由の長崎本線が分岐しています。
この「長与経由」は、諫早〜長崎間で建設されたうち、最も古い路線でありましたが、その後の輸送力増強のため、内陸部をトンネルで貫通する「現川経由」の長崎本線が建設された、という経緯があります。
上述のとおり、西九州新幹線と同一の路線として取り扱われる在来線は、「現川経由」のため、この「長与経由」は別線と扱われます。
その別線へ向かうための特例についても、今回の西九州新幹線開業により、新たに設けられています。
▲JR九州のWebサイト「乗車券→きっぷのルール」内の記述。
(https://www.jrkyushu.co.jp/railway/ticket/rule/02/)より引用)
「浦上〜長崎」間が西九州新幹線開業に伴い、新たに追加されています。
これにより、例えば道ノ尾駅から西九州新幹線を利用して博多方面に向かう場合、「道ノ尾〜(長崎本線)〜長崎〜(西九州新幹線方面)〜博多方面」と利用した場合でも、二回乗車することになる「浦上〜長崎」間は含めず計算ことが可能となります。
(※)長崎駅で途中下車する場合は、「道ノ尾〜長崎」と「長崎〜博多方面」と別々に計算する必要があります。
JRグループの運賃計算に際し、分岐駅を通過する列車があるために、本来の行先よりもより遠い駅まで乗車する必要がある場合、飛び出した区間については運賃の計算に含めないことができる特例が設けられています。
これをJR九州のWebサイト等では「分岐駅を通過する列車に乗車する場合の特例」と案内していますが、同社管内では、西小倉〜小倉間等にこの特例が設けられています。
例えば、「博多〜(鹿児島本線)〜西小倉〜(日豊本線)〜南小倉」と乗車する場合、鹿児島本線と日豊本線の分岐駅である「西小倉」には、「ソニック」等の特急列車は止まりません。
では、博多駅から「ソニック」等の特急列車に乗車した場合、一つ手前の停車駅である「戸畑」で下車し、後続の快速等に乗り換えて西小倉まで向かってから日豊本線に乗り換える必要があるのか、というとそうではなく、
・博多〜小倉間は「ソニック」等の特急列車に乗車
・小倉駅では改札を出ずに、日豊本線の列車に乗り換えて、南小倉で下車
することで、二回乗車することになる西小倉〜小倉間の運賃を別に支払うことなく、南小倉で下車することができます。
【浦上〜長崎〜西九州新幹線の場合、やはり長崎駅で打ち切り計算か?】
西九州新幹線開業に際し、新たに設けられた運賃計算に関する規定は以上のとおりでした。
そのため、これまで浦上駅から「かもめ」で博多方面に向かっていた方は、上述「かもめネットきっぷ」等、個別の規定が設けられているきっぷを除くと、以下のいずれかの方法を取ることになるかと考えられます。
【1】浦上〜(長崎本線)〜長崎〜西九州新幹線と利用。
運賃の計算は長崎駅で打ち切って別々に計算。
【2】浦上〜(現川経由)〜諫早を長崎本線利用、諫早から西九州新幹線を利用。
運賃の計算は浦上駅から通しで計算。
【1】の場合、所要時間が短いルートとなることが想定されますが、一旦長崎駅で運賃計算を区切るため、浦上〜長崎間(大人片道170円)を別途支払うこととなり、従前より更に割高になる可能性があります。
一方【2】の場合は、運賃の加算は無いものの、在来線で諫早駅まで向かう必要があることから、所要時間が延びる可能性があります。
【長与方面〜長崎〜西九州新幹線の場合、長崎駅を経由しても通しで運賃計算(長崎駅で途中下車しない場合)】
一方、「分岐駅を通過する列車の特例」で記したように、長崎本線の長与経由路線の各駅(東園〜西浦上の各駅)から長崎駅を経由して西九州新幹線の乗車する場合(逆も同様)、長崎駅を経由したとしても、長崎駅で途中下車しなければ通しの運賃計算が可能(即ち浦上〜長崎間の往復を計算する必要がない)となることが分かります。
長崎駅の一つ手前の駅の「浦上駅」。
一般の方々には、日本最大規模のカトリック教会として観光地で著名な「浦上天主堂」をご存じの方も多いかと思います。
一方、長崎市内の公共交通機関という点でみますと、ここ浦上駅は、上述のとおり現川経由・長与経由の長崎本線の乗り換え駅であるだけでなく、長崎電気軌道(路面電車)や各社のバスと乗り換えが可能で、長崎市内北部や隣接する自治体への玄関口となっていることから、現在のダイヤで特急「かもめ」が全列車停車するのも当然ともいえる、市内の拠点駅の一つ、といえるでしょう。
今回の西九州新幹線開業により、この浦上駅では、博多方面への特急列車が経由しなくなるばかりか、きっぷや運賃計算の取扱いにおいても、大きな変化が出てきます。
上述のとおり、運賃計算の取扱いに関しては、概して厳しいものとなっていることが考えられますので、これまで浦上駅から特急「かもめ」を利用して、佐賀・博多方面へ向かわれた方は、西九州新幹線開業後のきっぷの買い方についても、十分注意しておく必要があるかと思います。
また、これまで縷々述べてきたとおり、西九州新幹線開業に伴い、運賃計算等に関して様々な特例が関係するエリアとなりますので、駅や車内といった現場においても、丁寧で分かりやすい説明・対応が必要なのかな、と感じました。
以上、雑駁ではありますが、西九州新幹線開業後の浦上駅をはじめとした在来線の運賃等の取り扱いについて述べてみました。
…と思うのですが、実はこの区間に関しては、まだもう一つ、別の特例が存在しています。
その特例は、主に長与経由の各駅で乗降する場合の、運賃計算に関するもので、なおかつ特例の適用有無を利用者が選択できるものです。
(「選択乗車」といいます。)
その特例もここで述べると、余計に話が長くなるので、一旦区切って、別のエントリーで気が向いた時にご紹介できれと思っていますので、お楽しみにしていただければ幸いです。
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