JR北海道では、留萌線の沿線自治体の深川市、秩父別町(ちっぷべつちょう)、沼田町、留萌市と協議してきた結果、石狩沼田〜留萌間は2023年3月末、深川〜石狩沼田間は2026年3月末での廃止について合意が至ったことから、本日石狩沼田〜留萌間の鉄道事業廃止届出書を提出したことを発表しました。

留萌線(石狩沼田・留萌間)の鉄道事業廃止届の提出について|JR北海道

概要は以下のとおりです。

【廃止路線】
留萌線の一部 石狩沼田〜留萌間(35.7km)

【廃止予定日】
令和5年(2023年)9月30日

【今後の予定】
・上記予定日で届出を行った後、鉄道事業法第28条の2第2項の規定に基づき、北海道運輸局の主催で意見の聴取が実施される。
・同社は、上記意見の聴取の中で、鉄道事業法第28条の2の規定に定められている廃止日の繰上を実施したい旨の陳述を行う。
・上記の繰上が認められれば、2023年4月1日(最終運行日は2023年3月31日)に廃止予定日を繰り上げる


(参考:鉄道事業法第28条の2)
第二十八条の二 鉄道事業者は、鉄道事業の全部又は一部を廃止しようとするとき(当該廃止が貨物運送に係るものである場合を除く。)は、廃止の日の一年前までに、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない
2 国土交通大臣は、鉄道事業者が前項の届出に係る廃止を行つた場合における公衆の利便の確保に関し、国土交通省令で定めるところにより、関係地方公共団体及び利害関係人の意見を聴取するものとする。
3 国土交通大臣は、前項の規定による意見聴取の結果、第一項の届出に係る廃止の日より前に当該廃止を行つたとしても公衆の利便を阻害するおそれがないと認めるときは、その旨を当該鉄道事業者に通知するものとする。
4 鉄道事業者は、前項の通知を受けたときは、第一項の届出に係る廃止の日を繰り上げることができる


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



JR北海道の留萌線廃止については、今年の7月、石狩沼田を境に段階的に廃止を行う方向で調整している旨の報道があり、このブログでも下記記事で取り上げました。
阪和線の沿線から : JR北海道・留萌線の一部(石狩沼田〜留萌間)が2023年3月末でも廃止の報道。深川〜留萌間も3年程度存続の後廃止

留萌線の利用状況も上記記事で触れていますが、まとめて言えば「利用者が大幅に少なく」、かつ「石狩沼田以北の定期利用者が僅少」という状況であります。

そんな中、JR北海道と沿線自治体では、定期利用者が非常に少ない石狩沼田〜留萌間を先に廃止し、逆に定期利用者がそれなりに存在する深川〜石狩沼田間は更に3年間存続させて廃止するという、二段階での廃止に同意したとのことでした。

今回の届出は、そのうち先行して廃止する石狩沼田〜留萌間に関するものであります。
上記で引用した鉄道事業法の規定にもあるように、「廃止の日の一年前まで」に廃止の届出を行う一方、「意見の聴取」で「届出に係る廃止の日より前に廃止を行ったとしても公衆の利便を阻害するおそれがない」場合には、「廃止の日を繰り上げることができる」こととなっているので、今回のJR北海道もこれらの規定に基づき、認められた場合は2023年3月末をもって廃止する意向を示しています。


当該「意見の聴取」は、「関係地方公共団体及び利害関係人」が出席するものとなっていますが、沿線自治体(地方公共団体)が合意していることから、繰上が認められない可能性は低いと思われます。



過去記事でも述べたように、留萌線については私自身は、2016年6月に乗車しました。
当時は、深川〜留萌〜増毛間で運行していて、そのうち留萌〜増毛間が同年12月に廃止となる前に訪問したわけですが、そのおよそ6年後に、段階的に全線廃止が決定するとは、当時は想像していなかったと思います。

そのため、今回の届出で廃止となる留萌駅の写真もあまり満足には撮影していなかったのが、少々悔やまれたりしますが、記録がないよりかずっと良いと思い、今回もその時の写真を再掲しておきたいと思います。

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▲留萌駅に停車中のキハ54。

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▲留萌駅駅名標。
当時は留萌駅から先も路線が伸びていました。

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▲留萌駅駅舎



ところで、旧国鉄では、多数ある路線のうち、基軸となる路線には「本線」という名称を付けていました。

この名称は民営化後、JR四国では正式な路線名から「本線」から「線」(例:予讃本線→予讃線)に変更する例はありましたが、他のJR各社では正式名称としてはそのまま「本線」が引き継がれました。

この「留萌線」も、現在でも正式には「留萌本線」と称していますが、今回の廃止決定により、「本線」と称するJR線が全廃となるのは、「名寄本線」(1989年5月1日)以来2例目となります。

もとより「本線」は、基軸となる路線に付けられているわけですから、「鉄道」としての役割を果たしている線区であることが前提にあったかと思われます。
しかし、その後の社会状況の変化により、「本線」であっても廃止されるケースはあり得ない話では無いのですが、その2例目がここ留萌本線となったのか、と改めて感じた次第です。


「留萌本線」が完全に廃止となるまであと3年半ほどとなりました。
今回の一部廃止には間に合いませんが、石狩沼田までの留萌線、機会があれば実際に乗車してみて、期間限定となる同駅での折り返し設備を記録する、というのもできればいいな、とも感じたニュースでありました。




【関連ニュースサイト】
留萌本線、石狩沼田〜留萌間の鉄道事業廃止届が提出 - 鉄道コム

JR留萌本線(石狩沼田〜留萌)23年9月末で廃止に JR北海道、さらに半年前倒ししたい考えも | 乗りものニュース

留萌本線石狩沼田-留萌間、2023年9月30日付け廃止を届出…4月1日に繰上げの意向 | レスポンス(Response.jp)

JR北海道、留萌線の石狩沼田〜留萌間を2023年9月末で廃止(1/2 ページ) - ねとらぼ

JR北海道、留萌本線石狩沼田〜留萌間の廃止届提出 - 2023年廃止へ | マイナビニュース

JR北海道,留萌本線 石狩沼田—留萌間の鉄道事業廃止届を提出|鉄道ニュース|2022年9月10日掲載|鉄道ファン・railf.jp



【関連ブログ】
留萌線代替バスは町営バス: たべちゃんの旅行記「旅のメモ」



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