JR北海道では、国(鉄道・運輸機構)と北海道による助成・補助制度を活用したH100形車両を導入することを発表しました。

【社長会見】国と北海道による支援を受けたH100形車両がデビューします|JR北海道

概要は以下のとおりです。

【導入概要】
・北海道高速鉄道開発株式会社(JR北海道・北海道及び一部沿線自治体が出資した第三セクター会社)が車両を取得し、JR北海道に無償貸与を行う。
・地域の特色を活かしたラッピングに加え、内装も一般のH100形から変更し、定期列車の他、観光列車としても活用。
・今年10月から来年度にかけて、順次運行開始。

【配置計画】
・2022年度は4両を配置(釧網、花咲、石北、富良野の各路線ラッピングを実施)
・2023年度も4両を配置(室蘭、日高、根室、宗谷の各路線ラッピングを実施)

【運行】
・定期列車として、新得〜釧路、旭川〜名寄・上川間で運行。
・その他、今後観光列車として運行する予定。
・2022年度に配置する4両のうち、釧網線・花咲線の各ラッピング車両は、今年10月末の使用開始予定。

【車両概要】
[釧網線ラッピング]
jrhokkaido_h100_senmo
・H100-82号
・根室線 新得〜釧路間で運転

[花咲線ラッピング]
jrhokkaido_h100_hanasaki
・H100-83号
・根室線 新得〜釧路間で運転

[石北線ラッピング]
jrhokkaido_h100_sekihoku
・H100-80号
・宗谷線 旭川〜名寄間及び石北線 旭川〜上川間で運転

[富良野線ラッピング]
jrhokkaido_h100_furano
・H100-81号
・宗谷線 旭川〜名寄間及び石北線 旭川〜上川間で運転

(画像はいずれも上記発表資料(https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/220914_KO_H100.pdf)より引用)


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



JR北海道では、今年の6月に「JR北海道グループ 経営改善に関する取り組み」「として、2022年度の目標設定について発表していますが、その中で、「H100形気動車の観光列車化改造」が明記されていました。
阪和線の沿線から : 【JR北海道】H100形気動車の観光列車化改造を実施へ。2022年度の経営改善に関する取り組みで発表

今回の発表は、この「H100形観光列車版」についてのもので、今年度と来年度に4両ずつ、計8両を導入することとなっています。

その車両ですが、上述のとおり、道内の各路線をテーマにしたラッピングが実施されています。
ここでの留意点は、「ラッピングの線区と実際の運行線区は現段階では異なる」ことでして、例えば「釧網線」「花咲線」の各ラッピングを施した車両であっても、実際に運行されるのは根室線・新得〜釧路間、となります。

とはいえ、今回導入されるH100形は、定期列車以外でも観光列車として運行することが予定されており、そういったイベント列車として、ラッピングされた路線で運行される可能性は高いと考えられます。

では未来永劫、ラッピングテーマ路線と実際の運行路線が違うままなのか、というと、近い将来は一致するのではないか?という見立ても可能です。

現在、JR北海道には国鉄時代から引き継いだ一般形気動車として、「キハ40形」「キハ54形」が在籍しています。
このうち、キハ40形については、近年導入を続けているH100形(一般仕様)にて置き換えが続けられていますが、その目途がつけば、今度は「キハ54形」の置き換えが検討されるのではないか、と考えます。

キハ54形は現在、花咲線、釧網線、留萌線、宗谷線、石北線を中心に運用されています。
これらの線区のうち、留萌線は2026年3月に全廃で同意済みとなっており、単純に留萌線でのキハ54形が余ることが予想されます。
阪和線の沿線から : 【JR北海道】留萌線・石狩沼田〜留萌間の鉄道廃止届提出を発表。繰上が認められれば2023年3月末廃止に

加えて、今後北海道新幹線の開業に伴い、長万部〜小樽間については、既に沿線自治体が廃止を同意している状況です。
阪和線の沿線から : 【JR北海道】函館線・長万部〜余市間廃止へ。並行在来線対策協議会でバス転換容認に
阪和線の沿線から : 【JR北海道】函館線・小樽〜余市間も廃止へ。北海道・小樽市・余市町の三者協議で合意へ

そして、現在北海道新幹線開業に伴う在来線の扱いで協議が難航している新函館北斗〜長万部間についても、貨物輸送をどうするかはまだ方針が決まっていない一方、普通列車によるローカル輸送については、バスに移行せざるを得ない程度の利用者である状況となっています。

これらのことを考えると、少なくとも2026年3月(留萌線廃止)、そして2030年度(北海道新幹線開業)の余剰が発生するものと考えられます。

一方、2030年度となれば、国鉄末期に導入されたキハ54形とて車齢40年以上を経過することとなり、流石に置き換えが必要なタイミングとなるのではないか、と考えます。

これらから考えると、JR北海道の一般形気動車は、2030年度には「キハ150形」「キハ201形」「H100形」の3形式に集約されることとなり、現在導入されていない各線にもいずれ、H100形がやってくるではないか、とも考えられます。

もっとも、その時期がいつになるのかは、各線区でもバラバラでしょうが、現在のように集団見合い形の特徴ある座席配置のキハ54形についても、乗車が楽しめるのは今のうち、といえるでしょう。


H100形本題の話ではありませんが、今後北海道の一般形気動車についても激動の時代がやってくるのは確実でありましょうから、しっかり乗車・記録しておきたいところだな、と感じたニュースでした。




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