JR東日本では、コロナ禍により社会で高まっている混雑緩和への強いニーズを踏まえ、首都圏の朝のピーク時間帯前後にシフトして利用する代わりに、現行より割安となる「オフピーク定期券」を2023年3月に導入する予定とし、これに向けて国土交通大臣に通勤定期運賃の変更認可申請を行ったことを発表しました。

通勤定期運賃の変更認可申請について|JR東日本

概要は以下のとおりです。

【オフピーク定期券とは】
平日朝のピーク時間帯以外の時間帯(オフピーク時間帯)にのみ利用可能な、通常の通勤定期券より割安なSuica通勤定期券。
2022091601
(上記発表資料(https://www.jreast.co.jp/press/2022/20220916_ho01.pdf)より引用)

【オフピーク定期券発売開始及び運賃改定時期】
2023年3月

【設定区間】
東京の電車特定区間(下図エリア)内完結となる区間
2022091602
(上記発表資料(https://www.jreast.co.jp/press/2022/20220916_ho01.pdf)より引用)

【定期運賃概要】
・オフピーク定期運賃は、現行より約10%値下げした額。
・東京の電車特定区間内完結おなる通常の通勤定期運賃については、現行より約1.4%値上げした額を認可申請。

【その他】
通学定期券にはオフピーク定期券の設定はなく、現行の運賃から変更せず。
・グリーン定期券・FREX(東京〜大宮・東京〜新横浜間等)にはオフピーク定期券の設定は行わないものの、その価格は通勤定期運賃と料金相当額の合算額であることから、通常の通勤定期運賃の値上げに伴い価格も値上げとなる。
・上記のように通勤定期運賃の値下げ・値上げを行うが、これにより同社の定期運賃収入全体としては増収とならないことを想定。
・2023年3月からの通常の通勤定期券・オフピーク定期券の発売額は、上記の定期運賃に「鉄道駅バリアフリー料金」(1箇月280円、3箇月790円、6箇月1,420円)を加算した額となる。


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



新型コロナウイルス感染症の影響により利用者が減少し、今後の回復も完全には見込めないなか、鉄道の運賃や料金に様々な変化が生まれています。

多くは値上げの実施となりますが、それだけでなく、コロナ禍後の社会変容に対応した運賃・料金制度の構築を実施しようという動きも見られます。


今回JR東日本より発表のあった「オフピーク定期券」は、まさにその「コロナ禍の社会変容」を踏まえた運賃制度で、これまでは様々な要因で実現し得なかった「ピーク時以外に使用できる割安な定期券」が、交通系ICカードの普及と、そして鉄道運賃の変動に対する社会的理解の高まりを得て、ようやく実現することになった、といえるでしょう。

「オフピーク定期券」の運賃体系をみますと、現行の定期運賃よりもおよそ10%値下げする一方、現行の定期運賃を約1.4%値上げすることで、同社全体の定期運賃収入が増えないものとしています。

勿論、ピーク時の利用が減少することで、ピーク時に対応した設備(車両、人員等)をスリム化することができれば、同社全体のコスト削減にもなるわけで、このコロナ禍を機会に、利用者の行動変容と収益性の確保を目指している、ともいえるでしょう。


具体的なピーク時間帯は明らかにされていませんが、この「オフピーク定期券」の開始で会社によっては始業時間をシフトしたりして、通勤定期にかかるコストを削減しよう、という動きも出てくるかも知れません。

一方、そのように柔軟に始業時間を変えることのできる事業所はまだまだ少数派で、実質手的な値上げなのではないか、という意見もあるかも知れませんが、果たして今回JR東日本が導入を発表した「オフピーク定期券」、利用者にどれだけ支持されるのか、また、他事業者で追随するところは出てくるのか、引き続き注目していきたいニュースであります。



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