JR九州では、肥薩線を中心に運航してきた「SL人吉」について、2023年度(2024年3月頃)で運転終了することを発表しました。
「SL 人吉」58654号機 百歳記念イベント開催!|JR九州
概要は以下のとおりです。
詳細は、上記発表資料をご覧下さい。
鹿児島本線・肥薩線の熊本〜人吉間で運行されてきた「SL人吉」。
2009年4月から運行を開始し、風光明媚な球磨川を眺めながらSLの旅行が楽しめるとあって、人気のSL列車でありました。
遡ると、JR九州発足直後の1988年、豊肥本線の「SLあそBOY」として運転を開始し、2005年に運転を終了した後、4年のブランクを経て復活した列車でありました。
更に言えば、この「あそBOY」も、1975年に廃車となり、肥薩線矢岳駅横に保存されていた8600形「58654号」が13年ぶりに復活した車両でありました。
都合、二度の「復活」を経て「SL人吉」として運転されていたわけですが、2020年7月の「令和2年7月豪雨」により「SL人吉」の運行ルートである肥薩線・八代〜人吉間で橋梁流失等の甚大な被害が発生しました。
元より利用者が、民営化後の30年間で8割も減少したこの区間について、復旧費用の大きさやその難易度から考えて、鉄道からバス等への転換、という意見も出てくるのは宜なるかな、といったところです。
一方、上述のとおり球磨川沿いを走る路線として観光的には訴求性のある区間であることから、地域の観光誘客施設という意味合いも含めて復旧・存続させるべき、という考え方もあるかと思われます。
そんな復旧の是非が問われているこの区間を走る「SL人吉」の引退発表は、地域で観光資源として鉄道を活かしていこう、という方向性に大きな衝撃を与えたことは想像に難くありません。
一方で、JR九州からの発表によりますと、引退の理由として
が挙げられています。
老朽化、部品調達に加え、「技術者の確保」という意味では、JR九州としては「SL人吉」が同社で唯一のSL列車であり、「SL人吉」だけのために特別な技術が求められるSL整備の人員を確保するのが難しくなった、といえるかと思われます。
「SLやまぐち号」等を運行するJR西日本では、今を遡ること8年前の2014年に「持続的なSL動態保存の体制の整備」として、梅小路運転区内にSL専用検修庫を新設するとともに、SL独特の技術を備える社員の人材確保と能力の維持向上等、動態保存に向けて必要なメンテナンス体制の整備を行っていくことを既に発表しています。
「SLやまぐち号」だけでなく、京都鉄道博物館で動態保存「SLスチーム号」を運行するJR西日本と、唯一「SL人吉」を運行するJR九州と比較するのは酷かも知れませんが、SLという現在の鉄道システムとは異なる、特別な車両を維持していくためには、これだけの体制が必要であること、そしてそれがJR九州には難しくなった、ということになるでしょうか。

▲JR肥薩線・人吉駅(2014年2月撮影)
この写真の人吉駅に、SLが再びやってくることは無くなりました。
一方で、この駅に肥薩線の列車が再びやってくるのかどうかは、まだ予断を許しません。
「SL人吉」運行終了が発表されたいま、肥薩線を復旧させるのならば、どのような方向性で進めていくのか、地元沿線がどう考えていくのか、注目するとともに、今後の動きをチェックしていきたいと思ったニュースでありました。
【関連ニュースサイト】
●「SL人吉」2024年春に運転終了へ 日本最古「100歳」機関車のメンテナンスが限界に | 乗りものニュース
●JR九州,“SL人吉”の運転を2023年度で終了へ|鉄道ニュース|2022年10月25日掲載|鉄道ファン・railf.jp
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「SL 人吉」58654号機 百歳記念イベント開催!|JR九州
概要は以下のとおりです。
【「SL人吉」の今後の運行について】
●「SL人吉」をけん引する「58654号機」については、落成から100年を超えて老朽化が著しいことや、部品の調達やメンテナンスを担う技術者の確保が難しくなっていることなどから、2023年度限り(2024年3月頃まで)で運転を終了。
●2023年度の運行計画やイベント等は決定次第、改めて発表。
「SL人吉」の今後の運行について
(上記発表資料(https://www.jrkyushu.co.jp/common/inc/news/newtopics/__icsFiles/afieldfile/2022/10/24/221024_SL_hitoyoshi_58654.pdf)より引用)
詳細は、上記発表資料をご覧下さい。
鹿児島本線・肥薩線の熊本〜人吉間で運行されてきた「SL人吉」。
2009年4月から運行を開始し、風光明媚な球磨川を眺めながらSLの旅行が楽しめるとあって、人気のSL列車でありました。
遡ると、JR九州発足直後の1988年、豊肥本線の「SLあそBOY」として運転を開始し、2005年に運転を終了した後、4年のブランクを経て復活した列車でありました。
更に言えば、この「あそBOY」も、1975年に廃車となり、肥薩線矢岳駅横に保存されていた8600形「58654号」が13年ぶりに復活した車両でありました。
都合、二度の「復活」を経て「SL人吉」として運転されていたわけですが、2020年7月の「令和2年7月豪雨」により「SL人吉」の運行ルートである肥薩線・八代〜人吉間で橋梁流失等の甚大な被害が発生しました。
元より利用者が、民営化後の30年間で8割も減少したこの区間について、復旧費用の大きさやその難易度から考えて、鉄道からバス等への転換、という意見も出てくるのは宜なるかな、といったところです。
一方、上述のとおり球磨川沿いを走る路線として観光的には訴求性のある区間であることから、地域の観光誘客施設という意味合いも含めて復旧・存続させるべき、という考え方もあるかと思われます。
そんな復旧の是非が問われているこの区間を走る「SL人吉」の引退発表は、地域で観光資源として鉄道を活かしていこう、という方向性に大きな衝撃を与えたことは想像に難くありません。
一方で、JR九州からの発表によりますと、引退の理由として
・老朽化が著しいこと。
・部品の調達が難しくなっていること。
・メンテナンスを担う技術者の確保が難しくなっていること。
が挙げられています。
老朽化、部品調達に加え、「技術者の確保」という意味では、JR九州としては「SL人吉」が同社で唯一のSL列車であり、「SL人吉」だけのために特別な技術が求められるSL整備の人員を確保するのが難しくなった、といえるかと思われます。
「SLやまぐち号」等を運行するJR西日本では、今を遡ること8年前の2014年に「持続的なSL動態保存の体制の整備」として、梅小路運転区内にSL専用検修庫を新設するとともに、SL独特の技術を備える社員の人材確保と能力の維持向上等、動態保存に向けて必要なメンテナンス体制の整備を行っていくことを既に発表しています。
「SLやまぐち号」だけでなく、京都鉄道博物館で動態保存「SLスチーム号」を運行するJR西日本と、唯一「SL人吉」を運行するJR九州と比較するのは酷かも知れませんが、SLという現在の鉄道システムとは異なる、特別な車両を維持していくためには、これだけの体制が必要であること、そしてそれがJR九州には難しくなった、ということになるでしょうか。

▲JR肥薩線・人吉駅(2014年2月撮影)
この写真の人吉駅に、SLが再びやってくることは無くなりました。
一方で、この駅に肥薩線の列車が再びやってくるのかどうかは、まだ予断を許しません。
「SL人吉」運行終了が発表されたいま、肥薩線を復旧させるのならば、どのような方向性で進めていくのか、地元沿線がどう考えていくのか、注目するとともに、今後の動きをチェックしていきたいと思ったニュースでありました。
【関連ニュースサイト】
●「SL人吉」2024年春に運転終了へ 日本最古「100歳」機関車のメンテナンスが限界に | 乗りものニュース
●JR九州,“SL人吉”の運転を2023年度で終了へ|鉄道ニュース|2022年10月25日掲載|鉄道ファン・railf.jp
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