関西地区の主要鉄道7社(Osaka Metro(大阪メトロ)、近鉄、京阪、南海、JR西日本、阪急、阪神)では、これら事業者の連携を前提としたMaaS(Mobility as a Service)システムを共同で構築し、そのためのアプリとして「(仮称)関西MaaS」を2023年夏頃(予定)を目途にリリースすることに合意しました。


関西・鉄道7社共同によるMaaSの構築について 〜国内初の鉄道事業者連携による広域型MaaSを関西一円で展開〜|Osaka Metro
関西・鉄道 7 社共同による MaaS の構築について〜国内初の鉄道事業者連携による広域型 MaaS を関西一円で展開〜|近鉄グループホールディングス
関西・鉄道 7 社共同による MaaS の構築について〜国内初の鉄道事業者連携による広域型 MaaS を関西一円で展開〜|京阪グループホールディングス
関西・鉄道 7 社共同による MaaS の構築について〜国内初の鉄道事業者連携による広域型 MaaS を関西一円で展開〜|南海電鉄
関西・鉄道7社共同によるMaaSの構築について:JR西日本
関西・鉄道 7 社共同による MaaS の構築について〜国内初の鉄道事業者連携による広域型 MaaS を関西一円で展開〜|阪急阪神ホールディングス

概要は以下のとおりです。

【(仮称)関西MaaSアプリ】
・リリース時期(予定):
2023年夏頃

・主な機能、サービス:
マルチモーダル乗継経路検索(全国)
チケットストア
各社沿線の観光施設情報・着地型体験ツアー等の提供

【関西MaaSのコンセプト】
2022110901
(上記発表資料(https://www.westjr.co.jp/press/article/items/221108_00_kansaimaas.pdf)より引用)


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



ここ近年、あちこちで聴かれるようになった、「MaaS」
「マース」と称し、上記にあるように、「Moblity as a Service」の略とされてはいますが、その概念、そして具体的なサービスについては、国内においては未だ発展途上、とも考えられるかも知れません。

私自身もよく分かっていないところがあることは前提で、私なりの解釈でこのMaaSが何かを記してみますと、地理に不案内な利用者であっても、アプリ等何かひとつのサービスを用いることで無事に目的地にたどり着くことができ、その決済等も単一サービスで済ませることができるもの、といえるでしょうか。

このMaaSにも整備のレベルに応じ、例えば「各社や徒歩、タクシーも含めた乗り換え検索ができる」から「乗換案内に出てきた乗り物の決済を全て同じアプリでできる」、はたまた「アプリの利用に応じた最適な交通機関のダイヤ調整が行われる」等が考えられます。


いま国内では、ようやく「交通機関を組み合わせた乗換検索」が整備されてきている段階、とも思えますが、今後少子高齢化が進む中、公共交通機関がより利用者に寄り添ったサービスを提供していくためには、このMaaSの考えを具現化してく取り組みが必要なのではないか、と思っています。


そしてこのMaaS、具現化していくためには、鉄道、バス、タクシー等様々な交通事業者間での調整が必要なことは言うまでもありません。
それはMaaSの定義からして当然で、「移動」そのものをサービスとするわけですから、その移動は鉄道であろうがバスであろうが、また鉄道でもどの会社であろうが、利用者にとって最適な方法が選択されることが求められているからに他なりません。

そうなると、諸外国はともかくとしてこの日本では、鉄道事業者が各社のエリアに鉄道路線、バス路線等を構築して囲い込んできた民鉄のモデル、そしてかつて存在していた国鉄が分割民営化され、各社がその民鉄のモデルを規範として民営化後の事業体制を構築してきた、という事情から考えると、このMaaSという考え方とは、少なからず相性が悪い、とも考えられるかも知れません。


そんな中でもMaaSの概念を実現してくためには、やはり公共交通の要となる大手の鉄道事業者同士が連携してMaaSを構築していくことが求められるのでありますが、今回、この関西地区では大手7社(民鉄5社と大阪メトロ、JR西日本)が連携し「関西MaaS」を提供することに合意しました。

かつて、民鉄同士、そして民鉄とJRとの競合が激しく、各社がしのぎを削っていた関西地区で、このような連携が生まれるのは、一昔前の環境を考えるとにわかに信じがたい方もおられるかも知れません。
いっぽうで、関西地区の各社とも、少子高齢化、産業の流出、そして新型コロナ後の生活様式の変化により、厳しい経営が今後も続くことを考えると、公共交通の役割を今後も果たすために何が必要なのか、ということを考えると、移動ニーズに対してMaaSによる連携で応えていくことが答え、といえるのではないのでしょうか。


具体的なMaaSサービスについては、来年夏頃に第一弾がリリースされるとのことです。
まずは「乗換検索」「チケットストア」「情報提供」がメインとなるようですが、アプリ内決済よる鉄道・バスの利用等、各社をシームレスに利用できる仕組みが構築されることを期待したいと思います。

アプリ実装に関しては、既にJR西日本でMaaSアプリともいえる「WESTER(ウエスタ−)」が展開されていますが、この「WESTER」が「関西MaaSアプリ」がどのように提携していくのか、というのも気になるところであります。


何にせよ、「MaaS」といいながら日本では鉄道事業者各社が個々に展開していくというパターンを危惧していただけに、今回の「関西MaaS」が、その指すところの「サービスとしての移動」を実現するための先行例となることを期待したいニュースであります。




【関連ニュースサイト】
鉄道7社連携の広域型"関西MaaSアプリ"が来年夏に | TECH+(テックプラス)
JR西・関西私鉄の7社がMaaSアプリ共同構築。鉄道会社連携は国内初 - Impress Watch



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