JR九州では、これまで同社の株主に対して片道の運賃・料金が5割引となる株主優待券を発行してきましたが、2023年6月下旬に送付する株主優待券から、その内容を変更することを発表しました。

鉄道株主優待券の内容変更のお知らせ|JR九州

概要は以下のとおりです。

【変更内容】
・割引証から「1日乗車券」に変更
・1枚につき、単日に限りJR九州管内の普通・快速列車に乗り放題。
・新幹線、特急列車に乗車する場合は、別途特急券の購入が必要。

【利用方法の変更点】
・鉄道株主優待券がそのまま1日に乗車券となるため、乗車券購入の手間が不要。
・優待券と併用する特急券は、通常の特急券の利用が可能。
・乗車の際には、駅改札口または車内で係員に1日乗車券を提示。

【優待券イメージ】
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(上記発表資料(https://www.jrkyushu.co.jp/common/inc/news/newtopics/__icsFiles/afieldfile/2023/02/28/230228_kabunushi_yuutai.pdf)より引用)


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



JRグループ各社のうち、上場している4社では、それぞれ株主優待券を発行しており、現在のところ各社とも優待券を駅窓口に提示し、運賃・料金が割引されたきっぷを購入するという仕組みになっています。

この株主優待券ですが、最近ではJR西日本で制度の変更があり、2023年6月下旬に送付する優待券より、「みどりの券売機」で利用可能となる一方、特急券等は最大4列車までに制限されることが既に発表されています。
阪和線の沿線から : 【JR西日本】株主優待鉄道割引券が「e5489」「みどりの券売機」で利用可能に(2023.7.1〜)特急券等は最大4列車までの制限に

今回、JR九州では、「優待券による割引」ではなく、「1日乗り放題の乗車券」を発行するという大きな変更が実施されました。
一方、これまで割引の対象であった新幹線及び特急列車については、別途料金券を購入することにより利用可能となります。


今回の制度変更により、特に「新幹線、特急を利用した日帰り利用」の場合にメリットが大きく発揮されることになります。
一方、利用が1日限りとなるため、これまでの制度で恩恵を受けていた、日をまたがる長距離の利用(例えば九州一周ルート)では、恩恵が減ることとなります。


これまで安定した個人投資家を確保する目的で多くの企業が拡充してきた「株主優待制度」ですが、最近では公平な利益還元を求める株主からの声に応えるために、制度を廃止して配当などにシフトする動きが進んでいるとのことです。
株主優待、廃止ラッシュに一服感。新設・拡充のトレンドは? | トウシル 楽天証券の投資情報メディア

今回のJR九州の株主優待制度変更は、公平な利益還元を実現するための対応であったかは知る由もありませんが、ただ株主優待制度自体が曲がり角に来ている時代、というのも知っておいて損はないでしょう。


そして、今回の見直しで一つ気になった点が、券面に書かれた「本券の売買等はできません」の表記。
他社の株主優待券でも、このような表記があったとは思えないので、今回金券ショップ等への転売対策として記されたものでありましょうか。

ただ抜本的な対策を講じるのであれば、株主本人の氏名を印刷した状態で配布し、利用時には本人確認書類の提示を求めること等の対応が必要なのでは?とも思いました。
もしかしたら、今後そのような変更があるのかも知れませんが、ともあれ「金券ショップで株主優待券を買って安く乗る」という方法も、もしかしたら不可能になる時代がやって来るのかも知れないな、とふと思ったニュースでありました。




【関連ニュースサイト】
JR九州が「株主1日乗車券」を発行へ。新幹線も別途料金で乗車可 | タビリス
JR九州「株主優待券」、割引証から1日乗車券に変更へ | レイルラボ ニュース



【関連ブログ】
JR九州株主優待券効力変更 - 続・吾輩はヲタである
JR九州の株優は1日乗車券に: たべちゃんの旅行記「旅のメモ」



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