鉄軌道の乗りつぶしの中で、個人によって乗りつぶしの対処とするか否かが分かれる乗り物の一つが、「ケーブルカー」かも知れません。

鉄道事業法に基づく鉄道であることから、乗りつぶしの対象に含める方もおられるいっぽう、専ら観光地の乗り物であるなどから、普通鉄道や路面電車などとは一線を画し、乗りつぶしの対象としない、という方もおられるかも知れません。

かくいう私も、つい近年まではケーブルカーは対象外としていましたが、途中からやっぱり乗りつぶしの対象にしよう、と方針を変更しました。

そのため、全国に乗り残したケーブルカーを訪問することとなり、普通鉄道等の乗りつぶしと併せて進めているところです。



個人的な事情も含む前置きはこのくらいにして、今回ケーブルカー乗りつぶしとして、「青函トンネル記念館体験坑道」のケーブルカーに乗ることしました。

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青函トンネル記念館の近くまで走っているJR津軽線(青森〜三厩)は既に完乗しているのですが、その際三厩到着後、そのまま折り返してしまったが故に、この青函トンネル記念館ケーブルカーが残った形となりました。

鉄道路線完乗を目指すためには、外せないこの青函トンネル記念館ケーブルカーですが、気になる話題を聞いたのは今年の2月。


鉄道として運営しているこのケーブルカーは、鉄道関係法規の定めによる点検が必要ですが、コロナ禍で訪問者が大幅に減少したことから、その費用の捻出が難しくなったことから、クラウドファンディングで資金を募集したとのことでした。

幸い、目標額は達成し、2023年度の運行は無事開始できましたが、もとより老朽化も進んでいるものと思慮されることから、このような問題が再燃しないとも限りません。

なるべく早いうちに乗車しておきたいと、今年度の運行期間のうちに訪問しようと、意を決した次第です。



青森空港からレンタカーを借り、途中「奥津軽いまべつ駅」を訪問したりしながら、青函トンネル記念館に到着しました。

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ここで体験坑道(ケーブルカー)の乗車券を購入します。
今回乗車するのは13時10分発の21便でした。

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▲この中がケーブルカーの設備が入っています。

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▲乗車口に掲出された時刻表。

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▲通路で改札開始を待ちます。

5分前から改札が始まりました。
乗車するのはこちらのケーブルカー。
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「セイカン1」の車両番号が記されているこの車両。
実際の工事でも使用された車両とのことでした。

発車までの間に、車内の様子を見てみます。
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▲座席はこのような向かい合わせとなっています。
実際の工事に使用したゴンドラを使用しているだけあって、床も鉄板となっており、これだけ見れば「ケーブルカー」というより、「ゴンドラ」という言い方が近いかも知れません。

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▲車内に掲げられた銘板。

約20名の乗客を乗せて、青函トンネル記念館前から出発します。
このケーブルカーは、他の観光地にあるような一般的なケーブルカーとは異なり、途中で車両のすれ違いがありません。ひたすらまっすぐに、海底まで降りていきます。
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走行の様子を、車内から動画でも記録してみました。


記念館前を出発して約7分、終点の「体験坑道」駅に到着しました。
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ケーブルカーを降りると、坑道の見学に移ります。
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▲坑道の内部。

先ほどケーブルカーに乗車した乗客がまとまって、案内を聞きながら坑道を見学します。
坑道内では、工事の様子を模型やボードを使って紹介していました。

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▲かつて、「竜飛海底駅」で青函トンネルの見学ツアーが実施されていた当時、この奥で見学をしていたそうです。
現在は竜飛海底駅は廃止となり、「竜飛定点」となっているそうです。

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坑道の見学を終え、再びケーブルで地上に向かいます。

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帰りも約7分の乗車で、地上に戻ってきました。



以上が、青函トンネル記念館のケーブルカー乗車記でした。

乗り残したケーブルカーの中では、訪問の難易度がかなり高い路線であり、しかも運営も厳しいことから、今回思い切ってレンタカーで訪問してみました。

レンタカーを使用したことから、竜飛岬周辺のスポットも効率よく回れましたが、そのうち「奥津軽いまべつ駅」については、別途の記事でご紹介できればいいな、と思います。

私が乗車したときは、日曜日の午後、ということもあり、各便に20名程度は乗車していたように思います。
とはいえ、安定的な運営にはもっと沢山の人に訪問してもらう必要があります。

今回のクラウドファンディングでその厳しい状況が改めて浮き彫りとなったので、これを期に訪問してみよう、という方も少なくなかったかも知れません。

鉄道事業法に準拠するケーブルカーで海底に降りるという、他では経験できない乗り物でありますので、興味の湧いた方は、是非ご訪問いただき、永続的な運行に少しでも貢献いただければいいな、とも感じました。



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