阪和線の沿線から

阪和線沿線在住の筆者が記している日記です。
鉄道を中心に、バス・航空・フェリーといった交通全般に関する話題や、
管理人の乗車記録や旅行記、撮影記録などを気の向くままにお送りしています。
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JTB時刻表2023年3月号を購入。大阪駅(うめきたエリア)関係を中心に見てみます

来る3月18日(土)のJRグループダイヤ改正内容が掲載された「JTB時刻表」が発売されました。
少し前に購入してはいたのですが、色々な用事があり、ようやくじっくり見ることができました。

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▲JTB時刻表2023年3月号

JTB時刻表2023年3月号
JTBパブリッシング
2023-02-25



今回の改正内容で、個人的に特に注目しているのは、「大阪駅(うめきたエリア)開業」です。


これに伴い、これまで大阪駅を経由しなかった「くろしお」「はるか」が停車するようになり、索引地図や駅構内図、そして営業案内に変化が生じるものと想定されました。
今回、改正を機にこれらの内容がどのように変化したのか、いずれもJTB時刻表2023年3月号からの引用で見ていきたいと思います。



【索引地図】
まずはじめに、大阪駅周辺の索引地図の変化です。
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(JTB時刻表2023年3月号より引用)


参考に、1年前の2022年3月号の大阪駅周辺の索引地図も引用してみます。
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(JTB時刻表2022年3月号より引用)


ご覧のとおり、2022年3月号では新大阪〜福島間の二重線(梅田貨物線)が、2023年3月号では削除されており、全ての列車が大阪駅を通過することが、ここから見ても分かるようになりました。



【構内図】
続いて、大阪駅の構内図です。
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(JTB時刻表2023年3月号より引用)

注目は左上の「21番〜24番線」で、これが今回新たに設けられた地下ホームです。
西口コンコースから乗り換えることになっていますが、当座は11番線には乗り換えができないので、例えば「くろしお」から「サンダーバード」に乗り換えるときは、引き続き新大阪駅で乗り換えるのが楽そうな感じです。

そして「うめきた地下口」改札、地上ではどのあたりに位置するのか、開業日に実際に訪問してみたいな、とも思います。



【営業案内】
そして最後は「営業案内」。
かつて「ピンクのページ」とも称されていて、運賃や料金、きっぷのルールなどがまとめて掲載されているページです。

この営業案内の48ページ、「分岐点通過列車に対する区間外乗車」もまた、大阪駅(うめきたエリア)地下ホーム開業により変化が生じるところであります。
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(JTB時刻表2023年3月号より引用)

この特例は、運賃計算の際、枝分かれする分岐駅に止まらない列車があるために折り返して乗車する際でも、その折り返しのために重複して乗車する区間は含めずに計算するもので、上記のとおり北は「東釧路〜釧路間」から南は「田吉〜南宮崎間」と、全国に多数設定されています。

このうち、「大阪〜新大阪間」は、「はるか」「くろしお」などが大阪駅を通過することから、一旦新大阪まで乗車し、折り返し大阪駅を経由して尼崎方面に向かったとしても、大阪〜新大阪間は含めずに運賃計算することになります。

しかし今回の改正で「はるか」「くろしお」が全て大阪駅に停車することになったため、新大阪駅まで飛び出さず、大阪駅で尼崎方面の列車に乗り換えることができるため、この区間の特例は3月17日までの取扱いとなりました。

(※)
ところで、これが新大阪駅で博多方面の新幹線に乗り換える場合ですと、下記の「選択乗車」が引き続き設定されることから、大阪駅(うめきたエリア)の開業の影響は無く、これまで同様、新大阪駅などで途中下車しなければ大阪駅から東海道本線・山陽本線経由で計算できることが考えられます。

(29) 大阪以遠(天満又は福島方面)の各駅と、西明石以遠(大久保方面)の各駅との相互間(東海道本線及び山陽本線経由、新幹線経由)。この場合、乗車券の券面に表示された経路以外の区間内では途中下車の取扱いをしない。
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▲JR九州旅客営業規則(https://www.jrkyushu.co.jp/railway/ticket/rule/transport/)より引用)

本内容については、下記記事で少々詳しく説明していますので、併せてご覧下さい。




以上、毎年のことではありますが、ダイヤ改正の折に購入している時刻表。
今回は、冒頭で記したように「大阪駅(うめきたエリア)地下ホーム」開業による変化を確かめたい、と思っていました。

大阪駅(うめきたエリア)地下ホーム開業まであと2週間ほどとなりました。
既に新ホームを含む地下区間は開業しており、「はるか」「くろしお」が通過していますが、開業後、どういった利用状況が見られるのか。

阪和線沿線に住み、特急列車も利用する私にとっては引き続き注目のトピックでありますので、このブログでも取り上げていきたいと思います。




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鉄道ピクトリアル2023年3月号を読む。夏には臨時増刊「南海電気鉄道」発行予定

先月21日に発売された鉄道趣味の月刊誌で、まだ「鉄道ピクトリアル」をご紹介していませんでした。

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鉄道ピクトリアル[本/雑誌] 2023年3月号 (雑誌) / 電気車研究会
鉄道ピクトリアル[本/雑誌] 2023年3月号 (雑誌) / 電気車研究会




特集は「国鉄〜JRの格上げ・格下げ車」として、新製時からの環境変化により、グリーン車から普通車へ、あるいはその逆、はたまた優等列車用から一般列車用やその逆といったような、「格上げ」「格下げ」改造された車両の研究がテーマとなっています。

表紙の車両はクハ455形600番代で、急行形電車の「サロ455」「サロ165」に運転台を追加した車両で、即窓の下降窓が特徴となっていました。

この手の「格上げ車」「格下げ車」は、国鉄時代には多くみられましたが、民営化後30年を経たいまでも少なからず見られますので、かつての用途に思いを馳せながら乗車する、というのも乙なものでしょうか。

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▲和泉砂川駅に停車中の298系「くろしお」。
1号車の「クロハ288」は、オリジナルが「クロ682」でしたが、直流化で「クロ288」となった後、半室グリーン車化により現在の形式に至ります。
半室グリーン車化により「格下げ」された車両のひとつ、といえます。




さて、次号以降の「鉄道ピクトリアル」予告を見ますと、見逃せない内容が記されていました。

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(鉄道ピクトリアル2023年3月号 P131より引用)


ご覧のとおり、「臨時増刊 南海電鉄鉄道」が発行されることが発表されました。
発行予定は今年の夏となっています。

鉄ピク臨時増刊の「南海電鉄」は、2008年8月に発行されて以来ですので、15年ぶりの臨時増刊号であります。
この間、大きな出来事としては「泉北高速鉄道のグループ化」と、それに伴う「泉北ライナー運行開始」、「8300系増備」「7000系引退」などが挙げられるでしょう。
また、夏頃の発行ということでしたら、泉北高速鉄道9300系の試運転も紹介されるかも知れません。

泉北高速鉄道がグループ化されたことから、同社に関する興味深い記事が掲載されるかも知れないので、それも楽しみといえます。


写真の募集は6月末までとのことですので、貴重な写真の投稿を楽しみにしていますし、それによりできあがった特集号も楽しみにしたいと思います。
勿論私も購入し、このブログでしっかりレビューを書きたいと思います。




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鉄道ダイヤ情報2・3月合併号を購入する。「甲種車両輸送計画」の掲載は終了へ

毎月発行される鉄道雑誌の中でも、「行動派レイルファン」を主なターゲットに編集されている「鉄道ダイヤ情報」。

これまでは他の鉄道雑誌よりも少し早く、毎月15日発売となっていましたが、今月の発売分から毎月21日発売と、他と同じ発売日となりました。

その都合で今月発売号は「合併号」となっており、特集は「路面電車」として、今夏開業予定の「宇都宮ライトレール」、そして日本最大の路面電車「広島電鉄」の特集などが掲載されています。

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鉄道ダイヤ情報 2023年 2月号 [雑誌]
鉄道ダイヤ情報 2023年 2月号 [雑誌]

鉄道ダイヤ情報 2023年 02・03月合併号 [雑誌]
鉄道ダイヤ情報編集部
交通新聞社
2023-01-20



さて今回「鉄道ダイヤ情報」を購入したのはこちらの記事を確認したかったが為でありました。

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「鉄道ダイヤ情報2023年2・3月合併号」P125より引用


毎月掲載されている「臨時列車運転情報」の中の「甲種鉄道車両輸送計画表」の掲載が、今回をもって終了となることが記載されていました。

掲載終了の理由は特に明記がなく、「諸般の事情をご賢察のうえ、ご理解くださいますようお願い申しあげます。」(同ページより引用、下線太字は管理人による)とだけ記されています。

「諸般の事情」としてサラリと触れられているだけで詳細は不明ですが、「月刊とれいん」という雑誌が実施している「甲種・特大情報」のページでは、「JR貨物からの資料提供をこれまでの通りにはいただくことができなくなりました」(引用:https://etrain.jp/e-toreplus/?p=1648)とありますので、鉄道ダイヤ情報の掲載終了も同様の理由によるものと推察されます。

私自身としては、この「甲種車両輸送予定」については、あまり活用したことはありませんが、撮影主体に活動されているファンにとっては痛手かも知れません。

背景事情を推察するのであれば、これら甲種車両輸送に鉄道ファンが集中し、安全な輸送の支障になっていることなども考えられますが、あくまでも個人的な推測の域を出ないものかも知れません。
いずれにせよ、今後甲種車両輸送の情報は出てこないことは確かでありますので、これを期に特に撮影系の鉄道ファンはどう振る舞うべきか、考えていかないといけないのかな、とも感じたニュースでありました。




【関連ブログ】
【悲報】雑誌「鉄道ダイヤ情報」、甲種輸送の掲載を終了へ - 鉄道プレス



【関連ニュースサイト】
鉄道雑誌の車両甲種輸送情報、掲載終了へ - 鉄道コム



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鉄道ピクトリアル1987年12月号を購入。特集は「阪和線」。

簡単なご報告です。

先日↓の記事を書いた時に、「そういえば阪和線関係の書籍が手元に少ないな…」ということに気がつきました。


仮にも「阪和線」というブログ名を記しているわけですから、手元に関連書籍を揃えておいた方がいいのでは、とふと思い立ちました。

ということなので、ぼちぼち阪和線の歴史について記している本を入手していこうと思っています。
手はじめに、鉄道ピクトリアル1987年12月号、特集「阪和線」を鉄道古書サイトから入手しました。

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表紙は381系「はんわライナー」。
283系「オーシャンアロー」はおろか、381系「スーパーくろしお」もデビュー前の阪和線では、最新のトピックともいうべき列車でありました。


ページをめくりますと、阪和電気鉄道時代の車両の写真や解説、経営の分析などが掲載されており、上記記事でご紹介した「ロコ1000形」の解説も掲載されていました。
今後「阪和電気鉄道」関連の記事を書く際には、大いに参考になりそうです。


鉄道ピクトリアルの特集としては、2003年2月号でも特集が「阪和線」でしたので、こちらも折をみて購入したいと思います。



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南海高速バス「サザンクロス」の同人誌「SOUTHERN CROSS HISTORY 南海高速バス34年のあゆみ」を読む

南海バスグループが運行する高速バス「サザンクロス」。
遡ること今から34年前、1988年10月に和歌山〜東京(渋谷)間で運行した同社グループの高速バスの歴史。
そして、他社と並んで路線を急拡大するものの採算性から縮小、その後他社が開設しない路線の開拓を中心とした方針転換から、現在では関西地区の高速バス事業者でも独自の展開を見せているように思えます。

そして何より、車体側面に巨大な「N」の文字をあしらった「サザンクロス」のデザインはデビュー当初から変わることなく、歴代の車両に描かれ続けてきました。

そんな南海高速バス「サザンクロス」の歴史と現有車両を中心とした同人誌「SOUTHERN CROSS HISTORY」が発行されることを下記記事でご紹介しました。
阪和線の沿線から : 南海高速バス「サザンクロス」にスポットを当てた同人誌「SOUTHERN CROSS STORY」発刊が発表されました(2022年12月テスト販売予定)

本日、初回の頒布である「テスト販売」分が手元に到着しましたので、早速読ませていただきました。

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▲表紙は南海なんば高速バスターミナルに停車中の「サザンクロス」長野線。

表紙をめくると、当たり前ですがどのページにも「サザンクロス」が満載です。
「サザンクロス」の路線の歴史、歴代・現有車両の紹介、そして関連資料として、年表と開設当初の時刻表と、ビジュアル的、そして資料的にも貴重な「サザンクロス」の本となっています。

どのページを見ても、ひたすら「サザンクロス」が載っている本書。
まだ私が中学生の頃だったでしょうか、運行開始当初、高速バスといえば「サザンクロス」というイメージが強烈でした。
それから、一時期を除いて南海バスのエリアに住み続けてきた私にとっては、他の高速バスとは違う「サザンクロス」への思い入れがあるだけに、この同人誌はどうしても欲しい一冊でしたが、無事手にして、そして一ページ一ページを眺めるだけで、本当に満足な買い物と感じました。

「サザンクロス」のはじまりとなった和歌山線やその後展開された富山線、ちょっとユニークだった鹿児島線や、フラッグシップ的な東京線ダブルデッカー車両…と、過去の車両も含めた「サザンクロス」車両の写真が、美しいカラーで並んでいるのは、壮観とさえ思えます。
バスファン、南海ファンは勿論、大阪府南部に住まわれている南海電鉄沿線在住の方々には、是非とも手元に置いておきたい一冊、と感じました。


今回、私は「テスト販売」でこの同人誌を入手しましたが、次の入手機会としては、「コミックマーケット」の2日目(12月31日)で頒布されるとのことです。
4年ぶりに冬コミ(C101)に委託参加します! | 夜行バス・高速バス・鉄道乗車記サイト「ひろしプロジェクトWEB」

なお、頒布数は20冊と限定となっていますので、入手したい方はご留意下さい。

また、同書編集後記では「評判が良ければ十番や電子書籍での頒布」も検討されているとのことですので、より多くの人々が本書を手にすることができると嬉しいなと思っていますが、当ブログ記事がその一助となれば大変嬉しいな、と感じています。


最後になりましたが、南海高速バス「サザンクロス」の歴史を一冊にまとめていただいた、著者の「ひろしプロジェクト」様、そして本書の資料性を高めるために必要であったであろう過去の貴重な写真を提供いただいた方々に御礼を申し上げます。



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「鉄道きっぷ探求読本」を読む。NHK記者が執筆した「きっぷ収集」趣味にまつわる本です。

鉄道趣味には色々なジャンルがあります。
一般の方々に知られている分野としては、鉄道写真の撮影や、全国の鉄道路線を完全乗車、はたまた模型やグッズ集めなどが考えられます。

その中の一つで近年とみに注目を集めているジャンルの一つに「きっぷの収集」が挙げられます。

鉄道を利用するときに購入する「きっぷ」。
何気ない普通の紙切れですが、そこに書かれている文字から様々なことが分かりますし、同じ効力のきっぷであっても、発売された場所や時代によって記載のされ方が異なることもあります。

さらに言えば、きっぷの材質や大きさなど、また書かれている文字が印刷されたものか書き込まれたものか、等々、何気なく手にしているきっぷであっても、色々研究してみると、実は奥深いものがあります。


近年鉄道趣味の一ジャンルとして注目を集めているこれらの「きっぷ収集」、いざ収集を初めてみようにも、その基本的な知識から収集の実践までをまとめた入門的な書籍をあまり見かけることがなかったのではないか、と思います。

逆に、同人誌等では、様々なきっぷを取り上げてその内容を分析する、発展的な内容が多く、その間を埋めるような書籍があれば、この趣味も多くの人々が楽しめるのにな、と日頃から感じていました。



前置きが結構長くなりましたが、今回「きっぷ収集」趣味、いわゆる「きっぷ鉄」について、きっぷの役割や種類、そして歴史や収集方法、加えて最近のトピックスを交えた、入門から中級レベルの方々に是非おすすめな書籍が発行されましたので、ご紹介したいと思います。
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書籍名は「鉄道きっぷ探求読本」
著者の後藤茂文さんは、現役のNHK記者で、京都大学公共政策大学院を終了後同局に入局し、津放送局、大分放送局を経て2020年から松山放送局に勤務され、公共交通や経済、文化などを取材されています(本書より)

その成果は、各放送局のみならず全国にも放送され、NHKが放送する報道番組の中でも本人のコレクションとともにきっぷから見える昨今の鉄道の現況について解説された放送をご覧になった方も少なくないと思います。
阪和線の沿線から : NHK記事で「きっぷ鉄」の特集。様々なきっぷ収集と旅行会社の激減について取り上げられています。

今回、この後藤記者が自らの取材に加え、休日を使った趣味活動をもとに、「きっぷ」と「きっぷ収集」のことを基本的なことから記した一冊が完成しました。

内容は上述のとおり、きっぷの種類、歴史、集め方、趣味の深め方など、これまで「きっぷ収集」を手がけたことのない方は勿論、既にきっぷ収集を趣味とされている方でも新しい知識・視点を得ることができる一冊に感じた、いわば「きっぷ鉄の教科書」と呼んでもいいのかな、と感じました。

事実、私もこのブログでご紹介してきたように、以前からきっぷを集めてきたのですが、それでも初めて知ることも数多くあり、著者の見識と取材力の広さに感服した次第です。

しかも本書が単なる「趣味の本」に止まらないのは、IT化の少子高齢化による労働力不足に加え、コロナ禍による鉄道事業はもとより、きっぷを取り巻く状況の変化についても、相当の紙幅を割いて触れているところであります。
ともすれば、きっぷそのものの解説で終始してしまうこの手の趣味本でありますが、元来鉄道は人の移動需要を満たすために運営されるものであり、その状況は社会の変化とは無関係とはいられません。

そのためには、社会の動きがどのように趣味の対象(今回の場合は「きっぷ」)に影響を及ぼしているのか、というのを理解する必要があるわけで、またそれによって、より趣味の楽しみも深めることができるかと思います。

そういった視点で考えると、鉄道とは無縁の情報を日々追いかけてニュース題材を提供するという、NHK記者である著者だからこそ、こういった一冊の本を完成させることができたのではないか、と感じました。



私の鉄道趣味を振り返ってみますと、このブログでご紹介してきたように、「乗車」(乗り鉄)がメインで、そこから派生してきていた、と感じています。
その中でも「乗り鉄」のためには購入が必須であることから、「きっぷ」についても、割と初期の頃から自然と関心を持つようになったように記憶しています。
手元にはそれこそ30年以上昔に自らが集めたきっぷもあり、これらのきっぷを時折眺めながら、かつてたどった旅程を思い出したりしています。
(参考)


そういった、長年きっぷを集めてきた一人としても、よりこの趣味を楽しむ方が増えるといいな、という思いもあり、今回の書籍をお薦めしたく、今回のブログ記事をアップさせていただきました。

また、「きっぷ収集」というのは、自分が乗車に使うきっぷだけでなく、「乗りもしない」きっぷも購入し、収集の対象とすることから、少なからず鉄道事業者への収入に貢献している、とも考えています。
「アフターコロナ」で人々の生活様式がコロナ前に戻りつつあるとはいえ、こと鉄道事業に関しては、通勤やビジネスの利用が完全に元に戻ることはない、と各事業者では予想していることからも分かるように、厳しい経営環境がこれからも続くと考えられます。

そういう状況のなか、簡単に収入に貢献できる「きっぷ鉄」という活動は、鉄道事業者への「サポーター」という観点からも、より多くの方々に広げていきたいな、と思っています。



以上、私自身のきっぷ収集の話も交えて、長々と記事を書いてきましたが、今回の後藤記者によるこの一冊が鉄道ファンは勿論、それ以外の方々にも広く読んでいただき、「きっぷ収集」という趣味がより広まることを期待したいと思っています。

また、後藤記者の引き続きの活躍も期待したいと思いますし、公共交通全般を含む様々な社会問題、そして趣味のフィールドでもある「きっぷ」に関する報道に今後も注目したいと思います。



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「開封!鉄道秘史 未成線の謎」を読む

いま、日本国内には多数の鉄道路線があり、人々の日々の生活をささえています。

しかし、これら開業した鉄道路線の陰には、計画はしたものの頓挫した、あるいは実際に着工したもののその後の社会状況の変化などで建設が中止になった結果、鉄道路線として開業することが果たせなかった路線もあります。

これら、「未完成の鉄道路線」、略して「未成線」とファンの間で呼ばれているこれらの路線。
建設途中で放棄された橋梁・トンネル等がいまも存在しているところもあり、そういったところは観光資源として活用しようとしているところもあります。

一方で、計画だけで終わった線区では、その痕跡をたどることが難しく、監督官庁に提出された公文書などからその計画や経緯をたどることになります。

これら未成線は、ある時代では、鉄道路線の開業を目論んで多くの事業者が競願した結果、紆余曲折を経て一部の事業者だけが開業にたどり着き、その他の事業者は開業はおろか、着工さえもできずに断念、という事例が多くありました。

またある時代では、全国津々浦々に鉄道網を整備する目的として、過疎地域などのローカル線の建設に着手したものの、その後の交通事情や財政的な面からローカル線建設を中止した結果、工事の途中にも関わらず中止となる事例も多くありました。


これらの未成線の、計画段階から申請、着工、そして開業断念した結果、未成線となったプロセスを、過去の記録などを元に紐解いた書籍が、今回ご紹介する「開封!鉄道秘史 未成線の謎」です。

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開封!鉄道秘史 未成線の謎
森口 誠之
河出書房新社
2022-11-25



開封!鉄道秘史 未成線の謎 [ 森口 誠之 ]
開封!鉄道秘史 未成線の謎 [ 森口 誠之 ]


本書に収録されている未成線は合計45線区。

地域別に見ても、東京・大阪の都市鉄道やニュータウン新線、また地方の拠点都市を結ぶ都市間鉄道、そして北海道の総合開発を見据えた路線や国鉄時代に建設が進められたものの、国鉄再建にともない中止となった各地方のローカル線と、様々なエリアの未成線事例が紹介されています。

いずれの未成線も、建設目的から未成線に至る過程まで、丹念な資料調査をもとに、時系列にまとめた、言わば「未成線のバイブル」的な書籍になるのではないか、と感じました。


私自身、未成線については、ある程度はその分布は把握しているものの、本書を読んで初めて知った未成線も多くありました。

これらの志半ばで潰えた未成線、実際に完成していたらどのような列車が走り、どのような人々が利用していたのか。
そういった想像もしながら読んでみるのも面白いかも知れないな、と感じた一冊でしたので、是非お手にとって読んでいただければと思います。



【関連ニュースサイト】
「未成線」で鉄道情報を検索した結果 - 鉄道コム



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鉄道ピクトリアル2023年1月号「【特集】閉そく・信号・標識」を読む。「コミケ輸送」に関する記事も掲載

続いて、鉄道関係書籍・雑誌のご案内です。

今月発行された鉄道雑誌の中で、個人的に着目したのは、「鉄道ピクトリアル」の2023年1月号です。

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鉄道ピクトリアル 2023年 1月号 [雑誌]
鉄道ピクトリアル 2023年 1月号 [雑誌]




特集は「閉そく・信号・標識」
丁度先の記事で交通新聞社新書「知ってたのしい!鉄道の信号」をご紹介したばかりですので、続けて読むと、更に「信号」への理解が深まるかと思います。


勿論、「鉄道ピクトリアル」でありますから、閉そくや信号の仕組みについて、過去の時代の取り扱いから、現在、そして今後についても、深い考察の記事が満載です。
先に記した「知ってたのしい!鉄道の信号」と合わせて、秋の夜長の読書の時間、今年は「信号」ずくめになりそうな感じですね。



そして今回号の「鉄道ピクトリアル」の、もう一つの注目記事は、「ガチでコミケ輸送をやってみた」という記事です。

「コミケ」というのは、毎年8月と12月に開催されている日本最大の同人誌頒布会「コミックマーケット」のことであるかと思われますが、では「コミケ輸送」というのはコミケの何の輸送を指すのか。
そして「やってみた」というのは、誰が、どのように「やってみた」のか。

…謎が謎を呼ぶタイトルですが、その内容は、是非本書を手に取ってお楽しみいただければと思います。

一つだけヒントめいたことを記すとすれば、「安全にコミケに参加できたのは著者のおかげ」という感じでしょうが、それ以上は、是非本文でご確認ください。


しばらく鉄道系雑誌を購入しない時期が続きましたが、今回は久しぶりに私の興味を惹く特集記事でありました。
そして「ガチでコミケ輸送をやってみた」は、表紙タイトルから分かるように、今回号で終わりでは無さそうですので、これは次回も購入確定ですね…



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「知ってたのしい!鉄道の信号」(交通新聞社新書)を読む

鉄道の安全は、様々な「システム」で支えられており、どれか一つがかけてしまうと、安全を確保することができません。

その中でも特に重要で、そして少しのミスや不具合が、死亡を含む重大な事故を引き起こすが故に、特に重要なシステムのひとつに「信号」があります。


鉄道の信号は、ひとえに「列車同士を絶対に衝突させない」ための仕組みであるかと考えられます。
自動車や船舶などのように、ハンドルや舵で衝突から避ける行動が取れる交通手段と違って、鉄道はレールの上から逃れることができない乗り物であるが故に、止まることでしか衝突を避ける方法がありません。

その「止まる」にしても、レールの上を走る車両は他の乗り物に比べて摩擦が非常に少ないため、衝突を感知した時点でブレーキを作動させたとしても、衝突を回避することが難しいことが大いに考えられます。

そのため、鉄道では「列車同士が衝突しない」ために、様々な工夫がなされてきました。
具体的には、列車同士の衝突を避けるため、列車が1本しか入ることができない空間を設け、そこに入ることのできる列車を常に管理するという、「閉そく」という考え方に基づき、その「閉そく」をどのような方法で確保するのかが絶えず検討され、進化し続けてきました。

その過程では、多数の犠牲者を発生させた事故も多く発生し、その度により安全な信号システムの構築、普及が行われてきました。
いわば「鉄道の安全確保」の歴史を積み重ねてきた信号システムですが、現在では更に、通信技術の進歩に伴い、これまでの考え方から転換した、新たな仕組みが発展している段階でもあります。



前置きが長くなりましたが、そういった鉄道の「信号」について、素人の方々でも深く理解できる書籍として、交通新聞社新書から、「知ってたのしい!鉄道の信号」という書籍が発売されました。

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知ってたのしい! 鉄道の信号 [ 土屋 武之 ]
知ってたのしい! 鉄道の信号 [ 土屋 武之 ]




執筆されているのは、土屋武之さん、栗原景さん、伊原薫さんの3名の共著となっています。
栗原さんについては「アニメと鉄道ビジネス」、伊原薫さんは「関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか」、「『技あり!』の京阪電車」を当ブログで既にご紹介しています。




このお二人に土屋さんを含めたこれら3名の方々は、各鉄道系雑誌でも毎月のようにその名前を見ることができる、いわば現在の「鉄道ライター」の代表格、ともいえる方々、と個人的に感じています。
これら3名の方々が、信号とそれを支える「保安装置」(ATSやATCなど)について丁寧に解説した後、実際の信号の事例を紹介、そして今後の信号・保安システムについて紹介しています。

加えて、信号が「鉄道の安全を確保」する仕組みであることをから、一般の利用者である我々が、常日頃、あるいはいざという時に鉄道の安全を確保するためにはどのようにことを知っておけばよいか、ということにも触れているのは、興味深い観点に感じました。



本書の序章でも「鉄道趣味の世界では、車両や駅など華やかな一面にスポットが当たりがちであるが、どちらかというと難解な信号システムの話は注目を浴びにくい」(本書より引用)とあるように、ファンの目につきやすく、また実際に触れたりすることがしやすい車両なとに比べると、信号システムは難解でかつ取っつきにくい点があり、それが故にシステム全体を理解できるような、入門的な書籍が少なかったように思えます。

一方で、鉄道の安全を根幹から支えている信号システムを知ることは、ひいては車両やダイヤ、そして営業施策といった、鉄道の中でも「目に触れやすい」部分の理解にも大いに役立つものと感じています。
「信号」という一見取っつきにくいテーマかも知れませんが、一読に値する内容に感じましたので、多くの皆さまに読んでいただければな、と思い今回ご紹介した次第です。




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南海高速バス「サザンクロス」にスポットを当てた同人誌「SOUTHERN CROSS STORY」発刊が発表されました(2022年12月テスト販売予定)

南海バスを中心とする南海グループが運行する高速バス「サザンクロス」

歴史を遡れば、今から34年前の1988年、当時の南海電鉄が東京急行電鉄と共同運行で開設した「和歌山・東京線」がはしりで、それ以降、バブル期に路線を拡大したものの、その後他社との競合により廃止、また更に時代を下ると他の交通機関との競争環境の変化(LCC等)により廃止となった路線もありました。

一方で、主たる需要区間である関東〜関西線では、東京都心のみならず、その郊外への路線も開設し、他社とは若干異なるユニークな路線展開も進めています。

そして、車体に描かれた巨大な「N」の文字と、「サザンクロス」の愛称の元ととなった「南十字星」をモチーフにしたロゴは、一目で「南海バスの高速バス」であることが認識できるとともに、上述の「和歌山・東京線」開設以来、34年間もの間、手が加えられることなく今もバスの車体に描かれていることが、デザインの俊逸さを物語っている、といえるでしょう。



その南海高速バス「サザンクロス」のこれまでの34年間をまとめた資料があればいいな、と前々から思っていたのですが、この度高速バスを数多く乗車され、その乗車記も数多く手がけられてきた「ひろしプロジェクト」さんが、この「サザンクロス」に特化した同人誌を発行されることを発表されました。



タイトルは、「SOUTHERN CROSS HISTORY 南海高速バス34年のあゆみ」
内容は、上記Webサイトをご覧いただければと思いますが、その内容を、上記Webサイトより引用します。
・第1章:南海高速バス「サザンクロス」のあゆみ
・第2章:南海高速バス 車両アルバム<2022年度冬版>
・第3章:南海高速バス関連資料(年表・開業当時復刻時刻表)
・編集後記
-上記Webサイト(https://hiroshi-project.jp/southern-cross-history)より引用-


上記Webサイトにも書かれているように「資料としても活用出来る」質と量が期待できる内容と感じました。

著者のツイッターアカウントによりますと、年内にテスト販売開始とのことで、既にテスト販売ページも用意されているようです。


南海電鉄沿線の方や、これまで高速バス「サザンクロス」に乗ったことのある方に、「サザンクロス」の歴史と今を、俯瞰することのできる、見逃せない一冊になるのではないかと思います。
勿論私も手に取って、「サザンクロス」の歴史とラインナップをじっくり眺めたいと思います。



私が「サザンクロス」に初めて乗車したのは、1990年、当時の大阪・岡山線でした。
当時は山陽自動車道が開通前でしたので、「岡山ブルーハイウェイ」〜「国道2号線」〜「播但連絡道路」〜「中国自動車道」という、高速道路が整備された現在からみると、かなり迂回したルートをたどっていたような記憶があります。

その後、頻繁に「サザンクロス」に乗車することになったのは、就職で東京都内に転居し、大阪に帰省する際に、主に利用した「堺・東京線」(サザンクロス・ドリーム堺号)でありました。
この路線、当時は大阪側の停留所が「南海堺駅」「南海堺東駅」のみという路線で、堺市内を出発すると、「西名阪自動車道」〜「名阪国道」〜「東名阪自動車道」を経由する路線であったと記憶しています。
実家から電車で一本の堺東駅まで、東京駅や新宿駅からダイレクトに向かうことができるこの路線、堺市出身の私にとっては、「我が故郷へ向かう高速バス」という意味で、他の路線以上に愛着のある路線でありました。

またこの「堺〜東京線」、当時は南海電鉄(南海バス)の他、西日本JRバス、JRバス関東の3社の共同運行となっていました。
そのため、これら3社のうちいずれの事業者の受け持ち便に当たるか、それも楽しみにしていた記憶があります。



以上のように個人的な思い入れも深い「サザンクロス」。

その「サザンクロス」を同人誌としてまとめ上げていただける、というのは個人的に待望していただけに、大変有り難いことと感じています。
当ブログからも微力ではありますがPRすることで、多くの方々に手に取っていただければいいな、と思っています。

DSC_2594_R
▲手元に「サザンクロス」の写真が無かったので、代わりに南海バス(当時は南海ウイングバウ南部が担当)と共同運行していたJRバス関東の「ドリーム和歌山号」の写真を掲載しました。
当時は、JRバス関東受け持ち便は、南海和歌山市駅まで運行した後、和歌山バスの和歌山営業所(和歌山バス「和歌浦口」停留所近く)に回送されていたようです。
そのため、このようにJRバス関東の二階建てバスが和歌山市内を走る姿が、概ね隔日見られました。

ちなみに背景のホテルは「和歌山東急イン」で、かつてはこのホテルにもバス停がありました。
なお「和歌山東急イン」も、現在は「スマイルホテル和歌山」となっています。




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