そういえば、羽越線での「いなほ」脱線事故についてこのブログでは特に触れていなかったですね。今更という感じもしますが、ある程度報道等も落ち着いてきた頃でしょうから、ちょっと今日はこの話題に触れたいと思います。

いや、「この話題」というか、「この話題に関する毎日新聞の記事」といった方が正解かも知れません。

まずはこちら。

社説:特急転覆 安全管理で浮ついてないか

強い横風が原因、とみられている。運転士も「突風で車体がふわっと浮いた」と話しているという。雪国では冬の嵐に見舞われ、台風並みの強い風が吹き荒れることが珍しくない。その風にあおられたらしい。現場付近の風速は毎秒約20メートルで減速規制するほどでなかったというが、平時と同じ時速約100キロで最上川の橋梁(きょうりょう)を渡ったことに問題はなかったか。突風とは言いながら、風の息づかいを感じていれば、事前に気配があったはずだ。暴風雪警報下、日本海沿いに走るのだから、運行には慎重であってほしかった。

 風速25メートルで速度規制、30メートルで運転中止−−というマニュアルに違反していない、との説明にも納得しがたいものがある。設置場所が限られた風速計に頼っているだけでは、危険を察知できはしない。五感を鋭敏にして安全を確認するのが、プロの鉄道マンらの仕事というものだ。しかも86年の山陰線余部鉄橋事故などを引き合いにするまでもなく、強風時の橋梁が危ないことは鉄道関係者の常識だ。ましてや「いなほ」は秋田県の雄物川では風速25メートル以上だからと徐行したという。現場では計測値が5メートル低いと安心していたのなら、しゃくし定規な話ではないか。


簡単に「風の息づかい」とは言うけれど、じゃあその息づかいはどない感じ取ったらいいんかい?という突っ込み満載の社説ではあります。
また「五感を鋭敏に」とは言うけど、何百キロもある路線全線(全線ですよ全線!) の安全を五感をどんなに研ぎ澄ませて確認しようが、物理的に無理な面があるわけですよね。

そもそも先のJR宝塚線の脱線事故では人間のミスをカバーするはずのATSが不備だったことから事故が起きた、安全輸送のためには人間だけには頼ってはいけないよ、という論調ではありませんでしたっけ・・・

言わんとしていることがわかる部分もあるのですが、そこへ至るプロセスがあまりにも幼稚な論理のため、まともに読んでもらえない社説です。案の定ネットの世界ではコテンパに叩かれております・・・

そして本日の記事。
<山形脱線取材>公式要請なしで報道各社に自粛依頼 JR東 (毎日新聞

実際病院の依頼が正式にはなかったと、病院側は言っているようですが、「何とかならないか?」位の打診はあったようですので、それを要請と早まって依頼を行ったのかも知れません。

そもそもJR東日本に情報隠匿の意思などあったんでしょうか?今回の事故は、対策がどのレベルで十分かという議論はまた別として、JR宝塚線の事故とは違い自然現象が原因による事故なわけですから、別にJR側としても隠匿するようなものがあるのかどうか・・・

この記事で一番気になったのは最後の大学教授のコメントを掲載している点。

◇「情報隠し」と取られかねぬ

▽大石泰彦・東洋大教授(メディア倫理)の話 事故を起こしたJR東日本はそもそも加害者側であり、乗客や病院の代理人となる立場ではない。病院や患者から公式な要請もないのに報道機関に取材自粛を求めたことは、乗客の証言から事故の真相に迫ろうとする報道機関と乗客を分断し、事故の情報を隠そうとする意図があったのではないかと受け取られてもやむを得ない行為だ。乗客の生命・安全を預かる公共企業としての倫理が問われる。


JR東日本を加害者と決めつけてしまっていいのかどうか?またそれを何の批判なしに新聞記事にしていいものか?
第一、原因はまだ調査中であり、特に今回のように自然現象が主たる要因の事故に対して「加害者」なんて言葉を安易に使うべきではないと考えます。

どうも、これら2つの記事を見ても、無理矢理JR東日本を悪者にしようという意図が見え隠れします。
一体そこまで毎日新聞をJR東日本叩きに駆り立てる意図は何なんでしょうか?

もっと中立・公平・冷静な立場からの議論をお願いしたい>毎日新聞殿