廃止瀬戸際のチンチン電車、LRT相互乗り入れで存続へ(朝日新聞Webページ)

こういう記事があったので、そういえばと思って堺市ホームページの堺市LRT関係の情報を調べたところ、以前のエントリーで紹介した堺市LRT事業に関する企画提案の応募提案内容の一覧が出ていました。

堺市東西鉄軌道事業に関する企画提案一覧表(堺市役所Webページ)

提案の内容は技術提案28件、経営提案1件ということで、技術提案は車両・軌道等々目新しい提案がありますが、経営提案となると、南海電鉄・阪堺電軌が共同で提案した、堺市LRT・阪堺線の一体運営の提案一件でした。

堺市のスタンスとしては、これらの経営提案を元にLRT事業を煮詰めていくのだと思います。経営主体は別に募集するので、朝日新聞の記事では「阪堺線が残った」というスタンスで書いていますが、当の阪堺電軌としてみれば、阪堺電軌単体では経営効率上足かせとなっている阪堺線の堺市内区間を堺市LRTと一緒に運営してもらえれば、阪堺線堺市内を廃止することなく阪堺電軌自体の経営を改善できる。ちょっとうかがった悪い言い方では「お荷物を引き取ってもらう」ような提案という気もしないではありません。

また、朝日の記事では南海に運営会社が決まったような書き方ですが、運営事業者は別途公募するので、南海が運営するとはまだ決まっていません。地域的には南海のエリアであるので、有利であることは確かですが、例えば南海貴志川線を引き継いで運行している岡山電気軌道が名乗りを上げてくるかも知れません。そういう意味では、朝日の記事は少しフライング気味な書き方だといえなくもないですが。

ただ、私自身としては、阪堺線と堺市LRTは、一体運営するかどうかはともかく、直通運転はするべきだとは思っていたので、この提案には一定の評価したいと思います。

堺市内の鉄道交通は基本的に南北方向のみですが、今回のLRTではじめて東西方向の軸が生まれます。更に阪堺線との乗り入れによって、東西+南北の両軸をシームレスに移動出来るはじめての手段となるわけです。

これは堺というまちづくりにとっては一大ターニングポイント、とも言うべきことになるかも知れないと思っています。

例を挙げると、堺東〜(LRT)〜大小路〜(阪堺線)〜浜寺駅前というルートが考えられますが、このルートにより、浜寺・石津といった堺市西部からの買い物のルートとして、南海本線利用で難波に行くルートの他に、阪堺・LRT直通列車を利用して堺東へ向かうというルートも候補に挙がってきます。
このように、堺市の主立った地区と中心地が結べることにより、単に便利になるだけでなく、堺市内で完結する経済の流れが増えることも考えられます。
そうすると、ちょっと大袈裟な言い方かも知れませんが、堺市そのものが自立した経済を確立することもできますので、行政・住民・企業それぞれに利益が生じるとも考えられます。

他にも色々可能性が考えられますが、堺市も直通運転には前向きな記事の内容でしたので、その記事の内容を信頼しつつ、その他の技術提案も含めて堺市LRTの計画実現をフォローしていきたいと思います。