少し前の話題で恐縮ですが、近鉄がPiTaPa割引サービスとして新たに「区間指定割引」を導入する旨、発表がありました。

来春の阪神との相互直通運転を契機に、ICカード「PiTaPa」区間指定割引を来年6月から導入します(近畿日本鉄道プレスリリース)

概要としては、次の通りです。
・平成21年6月より、PiTaPaの区間指定割引を新たに導入。
・導入路線は、近鉄のPiTaPa利用可能区間のうち、1区間
・登録は、区間指定割引導入済みの他社と同様、駅窓口またはインターネット上PiTaPa倶楽部にて登録。
・割引料金の計算は、「普通運賃の合計額に利用額割引(3,000円を超える額に10%割引)を適用した額」と「登録区間の利用に区間指定割引運賃(1ヶ月定期旅客運賃と同額)を適用した額+登録区間外の利用に利用額割引(3,000円を超える額に10%割引)を適用した額」のどちらか安い方の運賃を適用。
・関西民鉄で、「区間指定割引」と「利用額割引」の両方を提供するのは、近鉄が初めてとなる。

近鉄の場合、鶴橋駅というJRとの乗り換えターミナル駅を擁しているため、IC定期券、しかもJRとの連絡定期券がICカード搭載で発行できないと、全体としてのスケールメリットが出にくいのかな、と思っています。
そんな中の区間指定割引の導入ということで、ちょっと意外な感じがしました。

区間指定割引が、定期券の代わりとなる割引制度とはいっても、磁気定期の場合は3ヶ月や6ヶ月分を購入すればある程度の割引を享受できるのに対し、近鉄の区間指定割引では継続利用に対する割引は特に言及されていません。
同じような制度を導入している阪急や京阪では、継続利用での割引やポイントサービスを導入することで、何とか切り替えを促進している面があるのですが、結局近鉄の場合でも、KipsカードPiTaPa限定で、ポイントの還元という流れになるのかも知れません。

ともあれ、一通りエリア整備が整ったPiTaPaですが、今後どのような方向性を持たせるのか、未だ持って曖昧なところがあります。
磁気乗車券・定期券の代わりなのか、それともそれらを併存させた上での新たなサービスなのか。
前者なら、IC定期券(特に連絡定期)の拡充が必要でしょうし、後者なら、わざわざ申し込みをして審査を受けてやっとこさPiTaPaを所持している顧客、即ち上客とも言える客に対してもっと手厚い割引サービスを提供してもいいのでは、とも思います。

近鉄の区間指定割引導入自体は悪いニュースでは無いのですが、PiTaPa関連のニュースを取り上げると、どうしてもPiTaPaサービスの展開の中途半端さを感じずにはいられません。