首都圏の民鉄・バスが加盟しているICカード乗車券・定期券である「PASMO」。
約2年前のサービス開始当初よりSuicaとの共通利用を前提としたシステムということもあり、発行枚数も順調に伸びていて、既に一千万枚以上発行されているようです。

ところで、このPASMOですが、現在相互利用できる相手先がSuicaエリアだけとなっていますが、それを他にも広げるかどうか、PASMO加盟各社間での意見の違いが表面化しているとの記事を見つけました。

首都圏「パスモ」エリア拡大に難問…大手と中小が平行線(gooニュース、元記事:読売新聞)

記事の概略としては、現在Suicaのみの相互利用先を拡大して欲しいとの利用者の声が、大手民鉄を中心に寄せられているものの、システム改修費用や、主に中小の会社からは関東以外のエリアの相互利用に対する必要性に対する疑問の声もあり、PASMO陣営内でまとまっていないとの内容です。

確かに、例えばICOCA利用者である私が、東京メトロや京急、東武や西武といった鉄道会社を利用することはままあると思われますが、では関東ローカルのバス会社の、それも空港バスや都市間バスならともかく、一般路線バスを利用する機会があるかというと、よっぽどのことが無い限り無さそうというのは単純に想像できます。

ただ、PASMOという枠組みで例えばICOCAとの相互利用を開始すると、それと同時にPASMO加盟各社全てでICOCAの受入ができるようにする必要があることが、この問題をさらにこじらせているとも言えます。

ともあれ、こうなると簡単に解決の糸口も見いだせないことは確かで、あり得るとすればシステム開発費の低減くらいで何とか折り合いが付く、くらいの着地点しか今現在では無さそうです。

ところで、この記事を敢えて取り上げようと思った理由、それはこの一文を見つけてしまったからでした。
これに対し、パスモと同様に関西地方の私鉄などで使え、JR西のイコカとも互換性のあるICカード乗車券「PiTaPa(ピタパ)」の発行会社「スルッとKANSAI」(大阪市)では、「利用エリアを関西圏から拡大する方針は、加盟社間で合意に達している」としている。

この「PiTaPaの相互利用先の拡大」は、5年ほど前にこちらのプレスリリースで発表されています。

「Suica」・「ICOCA」・「PiTaPa」の相互利用を進めます(スルッとKANSAI協議会他プレスリリース)

実はこれ以降、ICOCAとSuica、ICOCAとPiTaPaの交通部門における相互利用は開始され、特にICOCAとSuicaは電子マネー機能でも相互利用が開始となりました。
一方、PiTaPaとSuicaの相互利用は、5年経てども一向に音沙汰が無く、立ち消えになってしまったと思われても仕方のない状況だっただけに、上記の記事の内容が気になったのです。

「合意には達しているが、実施には達していない」状態が5年も続いているようであれば、相互利用のやる気があるんかいな、と本気で思ってしまったニュースでした。