私は、今でこそ阪和線沿線の住民ですが、ここに引っ越してくる以前は、長い間泉北高速鉄道の沿線住民でした。また、最寄り駅は泉ヶ丘駅でした。
この泉北高速鉄道(泉北高速)については、在住時より、「泉北高速の運賃が高い」ということを色んな人から耳にしました。
この手の批判は、類型化してみると、次の3つくらいに分類されるのかな、と思いました。
敢えて話し言葉の関西弁で書いてみました。まあこういう風に泉北高速の運賃を高いという人が私の周りに少なからずいた、ということです。
いきなりこんな話をし始めたのは、とある市民団体がこんな勉強会を予定していることを知ったからです。
第3回、第4回 連続学習会 - 堺市の交通まちづくりを考える
「泉北高速鉄道が日本一高いと言われる謎」となっているので、勉強会では謎解きがメインになるのかな、と言ったところでしょうし、この勉強会に参加してみてもいいのかな、とは思いますが、あいにく参加できそうにもないので、このエントリーに続くいくつかの投稿で、泉北高速の運賃について私自身が勝手に考察していきたいと思います。
勿論、メインのテーマは「日本一高い運賃『ではない』」ことを含んだ上記1〜3の批判を類型ごとにあれこれ考えてみることですが、それに関連する話題も書いていければ、と適当に思っています。
ちなみに、以下に記す運賃表等は私が各社のWebページやWikipedia等の情報を引用してきましたが、間違い等があればご指摘願えればと思います。
なお、このテーマ、3回くらいに分けて書いていく予定ですので、今回だけ見てもまだ話は続きますので、あらかじめご了解下さい。
この泉北高速鉄道(泉北高速)については、在住時より、「泉北高速の運賃が高い」ということを色んな人から耳にしました。
この手の批判は、類型化してみると、次の3つくらいに分類されるのかな、と思いました。
1:「とにかく泉北高速鉄道は日本一高い電車やねん!」
2:「泉ヶ丘から中もずまでのたった2駅で220円なんて取りすぎちゃうの?」
3:「泉ヶ丘からなんばまで520円かかるのは、他に比べて高いんとちゃう?」
敢えて話し言葉の関西弁で書いてみました。まあこういう風に泉北高速の運賃を高いという人が私の周りに少なからずいた、ということです。
いきなりこんな話をし始めたのは、とある市民団体がこんな勉強会を予定していることを知ったからです。
第3回、第4回 連続学習会 - 堺市の交通まちづくりを考える
「泉北高速鉄道が日本一高いと言われる謎」となっているので、勉強会では謎解きがメインになるのかな、と言ったところでしょうし、この勉強会に参加してみてもいいのかな、とは思いますが、あいにく参加できそうにもないので、このエントリーに続くいくつかの投稿で、泉北高速の運賃について私自身が勝手に考察していきたいと思います。
勿論、メインのテーマは「日本一高い運賃『ではない』」ことを含んだ上記1〜3の批判を類型ごとにあれこれ考えてみることですが、それに関連する話題も書いていければ、と適当に思っています。
ちなみに、以下に記す運賃表等は私が各社のWebページやWikipedia等の情報を引用してきましたが、間違い等があればご指摘願えればと思います。
なお、このテーマ、3回くらいに分けて書いていく予定ですので、今回だけ見てもまだ話は続きますので、あらかじめご了解下さい。
でははじめに、基礎知識と言えばなんですが、泉北高速鉄道の運賃を見てみます。
泉北線内 旅客運賃・定期運賃|泉北高速鉄道(泉北高速鉄道Webページ)
このように、駅間の運賃を三角形の表で表す、いわゆる三角表となっていますが、距離ごとの運賃がよく分かりません。
そこで、この三角表の運賃表を距離ごとに書き換えたのが下の表です。(大人片道)
なお、1km未満は切り上げており、光明池〜和泉中央の加算運賃20円を除いた額で表しています。
(この前提は以下に述べる他社との比較でも同様です)

距離ごと、と書きましたが、三角表では該当しない距離区分があるので、これには、その次の区分の運賃を当てはめています。
例えば1kmまでの運賃は三角表に存在しないので、2kmの運賃である160円を当てはめています。
さて、ここからはこの運賃を同業他社と比較して、泉北高速の運賃の高さを見てみたいと思います。
比較運賃ベースは普通運賃で各種加算運賃の加算前ベースです。運賃情報は、各鉄道会社のWebページやWikipediaから得ています。
・泉北+関西大手民鉄5社・JR西日本
泉北と南海・近鉄・京阪・阪神・阪急の「大手民鉄5社」に加えてJR西日本と比較してみます。
見にくい表で申し訳ありませんが、クリックして拡大してご覧下さい。これもそれも素人の限界と言うことでご容赦願えれば、と思います。

表の中でJR幹線・電特・環状と記してるのは、それぞれ「幹線運賃」「電車特定区間運賃」「大阪環状線内運賃」のことです。
また、特に記していませんが、横軸は距離(km)、縦軸は運賃(円)です。これは続くグラフでも同様です。
確かにこの中では泉北高速が一番高いようにも見えますが、必ずしも高くなっているわけでもなく、一部距離区分では近鉄・南海の方が高くなったりしています。これを見る限り、確かに「高い水準」とは言っても「高すぎる」訳ではなさそうです。ましてや一部距離区分では安くなっているところもあり、「日本一」と断定するには根拠があまりにも弱すぎます。
注目して頂きたいのは、関西大手民鉄でも運賃の高い「南海・近鉄・京阪」のグループと、運賃の安い「阪急・阪神」のグループに分かれているところです。
この差は競争相手の差やその距離に依ってくるのでしょうか。
また、JRの運賃が大手民鉄より安い水準というのにも注目したいところです。かつては関西では高い運賃の代名詞だった国鉄運賃も、20年経てば距離によっては民鉄より安い水準となってしまいました。勿論、これは15kmまでの運賃で比較したので、これより長距離だと変わってはきますが、それでも15km程度までの距離では絶対的に民鉄が安いということでは決してないことも、ここから分かります。
・泉北+関西準大手等4社
さて、続いて在阪の大手5社以外の民鉄と比較したいと思います。
比較する対象は、山陽電鉄・神戸電鉄・能勢電鉄・北大阪急行の4社です。

北急・能勢電鉄の両社が途中で終わっているのは、営業距離が15kmに満たないためで、運賃表が存在する区間までの距離をグラフに表しています。
この通り、北大阪急行を除く他社は、泉北高速より高い水準となってしまいました。
もうこの時点で泉北高速鉄道は「日本一高い鉄道『ではない』」ことが明らかになりました。ついでに言えば、「関西一高い鉄道ではない」ことも明らかになっています。
つぶさに見てみると、2kmまでの水準では北急以外でも能勢・山陽の方が安いのですが、それ以上だと泉北高速より高くなってしまいます。
神鉄・山陽の運賃水準が全体として高くなってしまうのは、やはりこれは輸送量・輸送効率の差なのかも知れませんね。
それでも「北大阪急行と比べるとやっぱり高いやんけ」と言われそうですし、実際そうですが、北急が泉北高速だけでなく他の関西大手民鉄よりもずっと安い運賃であることからして、これは「泉北高速が高い」のではなく「北急が安すぎる」と解釈した方が妥当と思われます。それくらい運賃の比較というのは相対的といえるかも知れません。
参考に北急と他社との比較をしてみました。

・泉北+関東ニュータウン鉄道等4社
先ほどの例のうち、特に神鉄・山陽は閑散地区も抱えていることから、ニュータウン鉄道である程度の利用が元々見込める泉北高速と比較するのはアンフェア、という声もあるかも知れません。
「そうなると日本一高いというのは、そもそもどういう日本一やねん?」と逆に聞き返したくなるところですが、次は、泉北高速と比較的似たような環境である、大手民鉄とは独立していて、路線の性格上ニュータウン鉄道等に分類しても良さそう、と私自身が勝手に判断した関東の鉄道会社と比較したいと思います。比較対象は東葉高速鉄道・北総鉄道・つくばエクスプレス(TX)・埼玉高速鉄道の4社です。

何だか「高い会社ばっかり都合良くサンプリングしてるやろ?」と突っ込まれそうな結果ですが、これらの会社と比較すれば泉北高速が日本一高いどころか、一番安いことになってしまいました。
さすがに東葉高速や北総鉄道は噂には運賃が高いと聞いていましたが、こう比較するとそれも納得と言ったところでしょうか。
これらに比べてTXは、近年開業の割には比較的低い運賃水準となっているようです。
もっとも、TXの場合は、ある程度人口のあるつくばを終点としているので、他社に比べると輸送量・輸送効率の面で勝っているところはあるかと思います。
さて、単純に他社との比較で、泉北高速鉄道が決して高すぎる訳でなく、ましてや日本一高い鉄道ではないことを書いてきました。
もっとも、今回の比較対象では関東大手や市営地下鉄等との比較を行っていませんので、余力のある方はトライして頂ければと思います。
では、次のエントリーでは「泉ヶ丘から中もずまで2駅で220円は高すぎるのとちゃうの?」というテーマについて、暇を見つけて述べていきたいと思います。
(その2に続きます)

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泉北線内 旅客運賃・定期運賃|泉北高速鉄道(泉北高速鉄道Webページ)
このように、駅間の運賃を三角形の表で表す、いわゆる三角表となっていますが、距離ごとの運賃がよく分かりません。
そこで、この三角表の運賃表を距離ごとに書き換えたのが下の表です。(大人片道)
なお、1km未満は切り上げており、光明池〜和泉中央の加算運賃20円を除いた額で表しています。
(この前提は以下に述べる他社との比較でも同様です)
距離ごと、と書きましたが、三角表では該当しない距離区分があるので、これには、その次の区分の運賃を当てはめています。
例えば1kmまでの運賃は三角表に存在しないので、2kmの運賃である160円を当てはめています。
さて、ここからはこの運賃を同業他社と比較して、泉北高速の運賃の高さを見てみたいと思います。
比較運賃ベースは普通運賃で各種加算運賃の加算前ベースです。運賃情報は、各鉄道会社のWebページやWikipediaから得ています。
・泉北+関西大手民鉄5社・JR西日本
泉北と南海・近鉄・京阪・阪神・阪急の「大手民鉄5社」に加えてJR西日本と比較してみます。
見にくい表で申し訳ありませんが、クリックして拡大してご覧下さい。これもそれも素人の限界と言うことでご容赦願えれば、と思います。
表の中でJR幹線・電特・環状と記してるのは、それぞれ「幹線運賃」「電車特定区間運賃」「大阪環状線内運賃」のことです。
また、特に記していませんが、横軸は距離(km)、縦軸は運賃(円)です。これは続くグラフでも同様です。
確かにこの中では泉北高速が一番高いようにも見えますが、必ずしも高くなっているわけでもなく、一部距離区分では近鉄・南海の方が高くなったりしています。これを見る限り、確かに「高い水準」とは言っても「高すぎる」訳ではなさそうです。ましてや一部距離区分では安くなっているところもあり、「日本一」と断定するには根拠があまりにも弱すぎます。
注目して頂きたいのは、関西大手民鉄でも運賃の高い「南海・近鉄・京阪」のグループと、運賃の安い「阪急・阪神」のグループに分かれているところです。
この差は競争相手の差やその距離に依ってくるのでしょうか。
また、JRの運賃が大手民鉄より安い水準というのにも注目したいところです。かつては関西では高い運賃の代名詞だった国鉄運賃も、20年経てば距離によっては民鉄より安い水準となってしまいました。勿論、これは15kmまでの運賃で比較したので、これより長距離だと変わってはきますが、それでも15km程度までの距離では絶対的に民鉄が安いということでは決してないことも、ここから分かります。
・泉北+関西準大手等4社
さて、続いて在阪の大手5社以外の民鉄と比較したいと思います。
比較する対象は、山陽電鉄・神戸電鉄・能勢電鉄・北大阪急行の4社です。
北急・能勢電鉄の両社が途中で終わっているのは、営業距離が15kmに満たないためで、運賃表が存在する区間までの距離をグラフに表しています。
この通り、北大阪急行を除く他社は、泉北高速より高い水準となってしまいました。
もうこの時点で泉北高速鉄道は「日本一高い鉄道『ではない』」ことが明らかになりました。ついでに言えば、「関西一高い鉄道ではない」ことも明らかになっています。
つぶさに見てみると、2kmまでの水準では北急以外でも能勢・山陽の方が安いのですが、それ以上だと泉北高速より高くなってしまいます。
神鉄・山陽の運賃水準が全体として高くなってしまうのは、やはりこれは輸送量・輸送効率の差なのかも知れませんね。
それでも「北大阪急行と比べるとやっぱり高いやんけ」と言われそうですし、実際そうですが、北急が泉北高速だけでなく他の関西大手民鉄よりもずっと安い運賃であることからして、これは「泉北高速が高い」のではなく「北急が安すぎる」と解釈した方が妥当と思われます。それくらい運賃の比較というのは相対的といえるかも知れません。
参考に北急と他社との比較をしてみました。
・泉北+関東ニュータウン鉄道等4社
先ほどの例のうち、特に神鉄・山陽は閑散地区も抱えていることから、ニュータウン鉄道である程度の利用が元々見込める泉北高速と比較するのはアンフェア、という声もあるかも知れません。
「そうなると日本一高いというのは、そもそもどういう日本一やねん?」と逆に聞き返したくなるところですが、次は、泉北高速と比較的似たような環境である、大手民鉄とは独立していて、路線の性格上ニュータウン鉄道等に分類しても良さそう、と私自身が勝手に判断した関東の鉄道会社と比較したいと思います。比較対象は東葉高速鉄道・北総鉄道・つくばエクスプレス(TX)・埼玉高速鉄道の4社です。
何だか「高い会社ばっかり都合良くサンプリングしてるやろ?」と突っ込まれそうな結果ですが、これらの会社と比較すれば泉北高速が日本一高いどころか、一番安いことになってしまいました。
さすがに東葉高速や北総鉄道は噂には運賃が高いと聞いていましたが、こう比較するとそれも納得と言ったところでしょうか。
これらに比べてTXは、近年開業の割には比較的低い運賃水準となっているようです。
もっとも、TXの場合は、ある程度人口のあるつくばを終点としているので、他社に比べると輸送量・輸送効率の面で勝っているところはあるかと思います。
さて、単純に他社との比較で、泉北高速鉄道が決して高すぎる訳でなく、ましてや日本一高い鉄道ではないことを書いてきました。
もっとも、今回の比較対象では関東大手や市営地下鉄等との比較を行っていませんので、余力のある方はトライして頂ければと思います。
では、次のエントリーでは「泉ヶ丘から中もずまで2駅で220円は高すぎるのとちゃうの?」というテーマについて、暇を見つけて述べていきたいと思います。
(その2に続きます)

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でも,運賃余りにも高いんで,何とかして欲しいですねぇ......
なので,運賃が下がる事が望ましいです......