本日投票のあった堺市長選挙。
新人の竹山氏が現職の木原氏を破り、当選確実の旨報道されました。

堺市長選、橋下知事支援の新人が相乗り現職破る(Yahoo!ニュース、元記事:読売新聞)

堺市LRT計画に関しては、竹山氏は「東西線について中止、堺浜方面へは住民の声を聞いて早急に判断したい」としています。

と言うわけで、私が危惧していた東西線の中止に伴う阪堺線我孫子道以南の廃止の可能性が高くなってきたことは確実となりました。

竹山氏の話を調べてみても、東西線は中止とはいっても、じゃあ阪堺線はどうするんかいな、という点が一切触れられていません。
今後阪堺電軌側が廃止を表明してくると、それに対する何かしらの支援を行うのか。
とすれば、「事業採算性を得られないLRT(低床式路面電車)事業は、実施しません。」というマニフェストに抵触する可能性もあります。
阪堺側は不採算で撤退したいといっているわけですから、この区間に関しては「事業採算性が得られていない」訳です。そこに補助・支援を行うとすれば、このマニフェストとの整合性をどう説明するのか。
それとも、阪堺電軌が正式に廃止を表明すると、特に反対もせずに廃止となるのか。
もし廃止となることに対する損失をどうカバーするのか、いやできるのか。
・・・等々、果たしてここまで考えてマニフェストに「LRT計画中止」を記し、また市民もここまで判断して竹山氏に投票したのかどうかは分かりませんし、ぶっちゃけ「橋下知事が応援しているから何かよく分からんけど竹山氏に投票しよう」とかいう人が多かったのかどうかもよく分かりませんが、こういう後ろ向きの展開が実際起こったときに、新市長、そして市民はどう判断し、どう行動するのか、元市民として、またこの計画をずいぶん前から追いかけてきた身としても、ゆっくり見させて頂きたいと思います。

一方竹山氏は「堺東駅西地区の活性化」をマニフェストに挙げていますが、現状の堺東駅西地区をLRT無しでどのように活性化していくのか、という点も気になります。
こちらは、ではどうやって市内・市外から人を呼び込むのか、そのための装置・手段はどうするのか、といった点です。
現在では通過する鉄道客と減少するバス乗客とで、堺東駅近辺の求心力が弱まっていていますし、そういう現状を私も目にしてきたのですが、じゃあどうやって人を集めてくるか。
LRTが東西線・阪堺線と接続することで従来カバーできなかった範囲から広く住民を呼び込むことが出来うる手段だったのに対し、それを代替できる手段を提示できうるのか。

堺市LRT計画が、事業の進め方は堺市・住民双方の更なる話し合いが必要であったとはいえ、中心市街地や阪堺線の活性化という点を捉えた計画であり、この計画を進めることで中心市街地の活性化を進めるための道具立てが出来ると思っていましたが、これも竹山氏の当選でまた違う道具立てが必要となります。

いや、そもそも竹山氏自体が中心市街地の活性化自体必要としているのか、そして市民が実際のところどう考えているのか、といった点も見ていく必要があるかと思います。

ともあれ、とりあえず竹山氏の当選で大小路通りにLRTが走ることはなくなり(とはいえ堺浜地区への可能性はまだありますが)、それだけでなく阪堺線の我孫子道以南が廃止になることが現実味を帯びてきた。そういうことだけは言える選挙結果となったことを記して、エントリーの締めとさせて頂きます。

9月28日追記:
阪堺電軌軌道株式会社の略称に間違いがありましたので、修正しました。