先日の堺市長選挙で現職を大差で下し新市長となった竹山氏がマニフェストとして唱えている「堺市LRT計画の東西線中止」ですが、これがそのまま既存の阪堺線堺市内区間の廃止に結びつくというのではないか、というのは既に述べてきたとおりですが、これに関して産経新聞が記事を掲載していたので、ご紹介します。
大阪唯一の「チンチン電車」が消える? 阪堺電気軌道阪堺線(MSN産経ニュース)
記事は、これまで私や他のブログでこの問題を取り上げてきた方の投稿と同じように、阪堺電軌が堺市内区間の廃止を検討していたこと、それを受けて堺市ではLRT計画において阪堺線と一体的に整備すること(即ちそれが阪堺線堺市内の廃止に対する支援としての意味合いがあるとも言えるでしょう)、そして竹山新市長の当選により堺市LRT計画東西線の中止、そして阪堺電軌の堺市内区間の存続についても微妙な状況である点を記しています。
また阪堺電軌自体の問題として、現状の収支状況が続けば2年後にも経営破綻の可能性もあり、「しっかりした支援がないと、廃線を決断せざるをえない」(阪堺電気軌道)ともあり、阪堺線堺市内のみならず、同社自体の命運もかかっていることも記されています。
私も当ブログで記していますが、平成15年の時点で阪堺線堺市内区間の廃止は表明されていたことから、この堺市LRT計画が中止となれば、同区間の廃止が焦点になることは十分予測がついていました。
私が一つ疑問に思っていたのは、平成15年の時点での廃止意向をマスコミ自身が報道したのにもかかわらず、今回の堺市長選挙において争点の一つであった堺市LRT計画の是非について論ずる際、この問題について触れられていなかった点です。
仮に、堺市LRT計画が、阪堺線とのセットであること、そしてその阪堺線が既に廃止も検討されていた事実が市民に伝わっていれば、この計画に対する意見はもう少し違ったものになっていた可能性も皆無とは言えないかも知れません。
もっとも、そういう事実をあまり積極的に広めてこなかった堺市側にも問題があるとえばあるのかも知れません。
これはマスコミについても同様に言えることでして、勿論「堺市LRT計画中止=阪堺線堺区間廃止」と単純に結びつけることは無理ですが、堺市LRT計画とリンクして、阪堺線の廃止問題もあり、それをひっくるめて一体運営という計画になった、という文脈を報じていたマスコミは皆無と記憶しています。
なぜにこの論点をマスコミが避けていたのか、今ひとつ合点がいかない点も無きにしもあらずですが・・・
ひるがえって考えてみるに、「堺市LRT計画中止」を訴えて当選した竹山氏は、この阪堺電軌側の一連の動きを知った上で敢えて堺市LRT計画中止を訴えたのか、それともそういう深い考えは皆無で、単に現職が推進してる事業なので中止を訴えることで自分のカラーを打ち出し、無駄な計画の典型例として打ち出し易いということで訴えたのか、果たしてどちらなのでしょうか。
前者なら、もっと素晴らしい阪堺線存続プランがこれから出てくるのか。(少なくともマニフェストにはそんなことは記されていませんでしたが・・・)プランがあるのなら、勿体ぶらず早くだして欲しいものです。
一方後者なら、そもそもこういう素人でも容易に理解できる環境さえも考慮に入れずにマニフェストを作成する点、政策立案能力に疑念抱かずにはいられない、とも言えるかも知れません。
もっとも、最終的な責任は、そういう市長を深く考えずに選んだ堺市民が負うべきだ、という議論もあるでしょうが、自分自身の感想としては、都市再生や市内の公共交通網の整備の観点からの論点が十分出尽くしていないうちに選挙で選択を迫られた、とも思われ、住民自体も果たしてこういう方向性に十分納得できているのか、ちょっと気になる点とも言えます。
ともあれ、堺市としては折角LRTによる既存軌道と中心市街地の再生というまたとない都市再生プランを中止するだけでなく、既存軌道そのものが失われかねないという最悪な事態が待ちかまえています。
路面電車を都市再生ツールとして用いようという、昨今の都市再生モデルとは真逆を進もうとしている堺市。
果たしてそれがどのような結果を生み出すのかはもう少し経ってから分かることかも知れませんが、今は阪堺線堺区間の廃止が現実化したときに竹山市長がどういう施策を取るのか、という点に注目したいと思います。
それによって、公共交通のみならず、市政の他の分野でのこの新市長の力量が見えてくるとも考えられます。言わば竹山市政の試金石、あるいはリトマス試験紙とも考えていいのかも知れません。
個人的には、「リトマス試験紙」で済ませることができるような問題ではない、とは思っているのですが・・・
この問題、まだ続いて報道があるかと思いますので、逐次ご紹介したいと思います。
大阪唯一の「チンチン電車」が消える? 阪堺電気軌道阪堺線(MSN産経ニュース)
記事は、これまで私や他のブログでこの問題を取り上げてきた方の投稿と同じように、阪堺電軌が堺市内区間の廃止を検討していたこと、それを受けて堺市ではLRT計画において阪堺線と一体的に整備すること(即ちそれが阪堺線堺市内の廃止に対する支援としての意味合いがあるとも言えるでしょう)、そして竹山新市長の当選により堺市LRT計画東西線の中止、そして阪堺電軌の堺市内区間の存続についても微妙な状況である点を記しています。
また阪堺電軌自体の問題として、現状の収支状況が続けば2年後にも経営破綻の可能性もあり、「しっかりした支援がないと、廃線を決断せざるをえない」(阪堺電気軌道)ともあり、阪堺線堺市内のみならず、同社自体の命運もかかっていることも記されています。
私も当ブログで記していますが、平成15年の時点で阪堺線堺市内区間の廃止は表明されていたことから、この堺市LRT計画が中止となれば、同区間の廃止が焦点になることは十分予測がついていました。
私が一つ疑問に思っていたのは、平成15年の時点での廃止意向をマスコミ自身が報道したのにもかかわらず、今回の堺市長選挙において争点の一つであった堺市LRT計画の是非について論ずる際、この問題について触れられていなかった点です。
仮に、堺市LRT計画が、阪堺線とのセットであること、そしてその阪堺線が既に廃止も検討されていた事実が市民に伝わっていれば、この計画に対する意見はもう少し違ったものになっていた可能性も皆無とは言えないかも知れません。
もっとも、そういう事実をあまり積極的に広めてこなかった堺市側にも問題があるとえばあるのかも知れません。
これはマスコミについても同様に言えることでして、勿論「堺市LRT計画中止=阪堺線堺区間廃止」と単純に結びつけることは無理ですが、堺市LRT計画とリンクして、阪堺線の廃止問題もあり、それをひっくるめて一体運営という計画になった、という文脈を報じていたマスコミは皆無と記憶しています。
なぜにこの論点をマスコミが避けていたのか、今ひとつ合点がいかない点も無きにしもあらずですが・・・
ひるがえって考えてみるに、「堺市LRT計画中止」を訴えて当選した竹山氏は、この阪堺電軌側の一連の動きを知った上で敢えて堺市LRT計画中止を訴えたのか、それともそういう深い考えは皆無で、単に現職が推進してる事業なので中止を訴えることで自分のカラーを打ち出し、無駄な計画の典型例として打ち出し易いということで訴えたのか、果たしてどちらなのでしょうか。
前者なら、もっと素晴らしい阪堺線存続プランがこれから出てくるのか。(少なくともマニフェストにはそんなことは記されていませんでしたが・・・)プランがあるのなら、勿体ぶらず早くだして欲しいものです。
一方後者なら、そもそもこういう素人でも容易に理解できる環境さえも考慮に入れずにマニフェストを作成する点、政策立案能力に疑念抱かずにはいられない、とも言えるかも知れません。
もっとも、最終的な責任は、そういう市長を深く考えずに選んだ堺市民が負うべきだ、という議論もあるでしょうが、自分自身の感想としては、都市再生や市内の公共交通網の整備の観点からの論点が十分出尽くしていないうちに選挙で選択を迫られた、とも思われ、住民自体も果たしてこういう方向性に十分納得できているのか、ちょっと気になる点とも言えます。
ともあれ、堺市としては折角LRTによる既存軌道と中心市街地の再生というまたとない都市再生プランを中止するだけでなく、既存軌道そのものが失われかねないという最悪な事態が待ちかまえています。
路面電車を都市再生ツールとして用いようという、昨今の都市再生モデルとは真逆を進もうとしている堺市。
果たしてそれがどのような結果を生み出すのかはもう少し経ってから分かることかも知れませんが、今は阪堺線堺区間の廃止が現実化したときに竹山市長がどういう施策を取るのか、という点に注目したいと思います。
それによって、公共交通のみならず、市政の他の分野でのこの新市長の力量が見えてくるとも考えられます。言わば竹山市政の試金石、あるいはリトマス試験紙とも考えていいのかも知れません。
個人的には、「リトマス試験紙」で済ませることができるような問題ではない、とは思っているのですが・・・
この問題、まだ続いて報道があるかと思いますので、逐次ご紹介したいと思います。
大阪唯一の「チンチン電車」が消える? 阪堺電気軌道阪堺線
大阪唯一の路面電車として知られる阪堺電気軌道(大阪市)が、阪堺線(大阪〜堺市)の堺市内区間(7.9キロ)について、廃線も視野に検討していることが10日、分かった。堺市が計画していた次世代型路面電車(LRT)との一体的な整備・運営事業に対し、9月の市長選で初当選した竹山修身新市長が中止を明言、赤字路線だけが残される可能性があるからだ。現状では平成22〜23年度にも同社に経営破綻(はたん)の危機が迫るといい、同社は「しっかりした支援がないと、廃線を決断せざるをえない」と頭を抱えている。
阪堺線は明治43年に設立された旧阪堺電気軌道が起源で、大阪市浪速区の恵美須町から堺市浜寺公園町の浜寺駅前を結ぶ14.1キロ。100年近く市民の身近な「チンチン電車」として親しまれてきた。
しかし、マイカーの普及などで乗降客が減少。とくに堺市内の区間の赤字が深刻で、同社は平成15年、市に「採算性の厳しい堺市内の路線を廃止したい」と存廃協議書を提出し、市は16年に補助金などの支援を強化する方針を打ち出した。
19年には、同市中心部で計画していたLRTの整備事業(早期開業区間)で、同社と親会社の南海電気鉄道を経営予定者に決定。同社と市は阪堺線と一体的に整備する方向で協議していた。
堺市内の区間については、線路や車両など鉄道設備を市に譲渡して土地も貸与、運営は同社が担当する「公有民営」方式で基本的に合意ができつつあり、阪堺線部分も低床型のLRT化する計画もあったという。
ところが、竹山新市長はLRT事業の中止を明言。「阪堺線は残したいが、すべて公でする話ではない」と述べ、阪堺線部分の事業がどうなるかは微妙な情勢となっている。
同社全体の路面電車事業は平成20年3月期で2億1300万円の営業損失を計上。このうち堺市内区間が2億2100万円の営業損失で、大阪市内路線のわずかな黒字を吹き飛ばしている。同社の山本拓郎社長は「公有民営でなければ廃線するしかない」と危機感を募らせている。
平成21年10月10日 MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/091010/sty0910101519007-n1.htm
* ひるがえって考えてみるに、「堺市LRT計画中止」を訴えて当選した竹山氏は、
単に「LRT建設費が無駄」と考えただけでしょう。ビジョンも何もありません。LRTをつぶしたら、阪堺線がどうなるのかも考えていないのでしょう。
有権者も有権者です。人気の橋下知事につられただけでしょう。買い物も堺東ではなく、難波のほうが充実しているし、わざわざ金のかかるLRTなんかいらないと考えているだけでしょう。堺が単なる衛星都市になることを選択したのです。
LRTができず、阪堺線が廃止されたからといって、急にさびれることはありません。住民たちが気付かない程度に、徐々に衰退していくだけです。気付いたときには、もう遅いです。
事態の打開策はただ一つ。LRTの凍結をやめ、再び建設に向けて動き出すことだけです。