最近、そういえばこのブログで関西三空港問題を取り上げていないことに気がつきました。
昨年来より事業仕分けでの関空補給金が、関西三空港の問題が解決しない限り凍結とされ、それを受けて関西地区で話し合いをするも、伊丹については廃止意向の大阪府知事と存続の意向の兵庫県知事とが真っ向から対立したり、また当の大阪府知事は関空・梅田間をリニアで結ぶことで利便性を確保することとし、その財源は伊丹空港廃港した土地の売却益を充てるなど、何だか色々な話が出てきていました。
いつかどこかでこれらをまとめたいなあ、と思いながら時間も無いまま過ぎてきましたが、2月2日の産経新聞の意識調査で、伊丹空港の廃止に関して半数程度が廃止に賛成という結果が出ていました。

橋下知事2年、本紙意識調査 年長者に圧倒的支持 公務員には不人気(産経新聞Webページ)

同様の調査が朝日新聞でも実施されており、こちらも伊丹廃止賛成・反対が相半ばしていました。

橋下知事 支持率79% 伊丹空港廃止案は賛否割れる(朝日新聞Webページ)

これらの調査は、橋下府知事就任二年を迎えるにあたり行われた意識調査です。
この手の意識調査は、上がってきた数字だけで判断するのは、間違いとは言いませんが完全に信用できるものでもない、とは思っています。それは、調査項目やその順番、つまりアンケートの設計如何ではある程度数値が左右されてしまう、という問題点を常にはらんでいるからといえます。

とはいえ、産経と朝日という、ある種「両方」からのアプローチで尋ねた結果がこうであれば、やはり多かれ少なかれ、伊丹空港については廃止・存続が相半ばしているのが世論とも判断出来るのかな、と思いました。

ちょっと前なら、「利便性の高い伊丹空港」「高くて遠く、無駄な公共事業の代表の関西空港」というイメージで、仮に同じような調査をすればこれほど拮抗するとはまず思えませんでした。
しかし橋下府知事が伊丹廃止を掲げ、それに対して賛成・反対の意見が出てくる。そういった一連の話の流れを毎日のニュースとして聞いていると、あまり航空関係に詳しくない一般の人々でも、「都心に便利な伊丹空港はあって当然」という固定観念が徐々に崩れていっているのかな、という気がしました。
それほどまでに橋下知事の力、というよりむしろ知事のメディアを使った発言力とその浸透力がすごかった、というべきでしょうか。
当然と思える点は、産経では府内の各地域での回答内容の分析をしており、北部(伊丹周辺)では伊丹存続の意見が多く、南部(関空周辺)では伊丹廃止の意見が8割程度を占めるという結果でした。そりゃそうやろ、と思いましたが、南部の回答者の8割が伊丹廃止の意見を持っている点は、今なお伊丹空港が存続していること、そしてそれが結果的に国内線が伊丹に集中してしまったことに対して相当な不満を持っているのかな、と思うとちょっと面白い点もありました。
もっとも大阪府南部でも堺市内北部とかになると、伊丹と関空とで、アクセスの利便性は同じでなくとも、さほど差がなくなるのですが、それでも8割というのはそれを考慮しても伊丹存続の不満が高い、ともいえるのかな、と思います。
あ、ちなみに私のところには産経も朝日も世論調査はありませんでしたが、仮にあったら、他の項目はともかく間違いなく「伊丹は廃止」と回答したでしょう。そして府南部住民の8割にカウントされる、と・・・

もっとも、橋下府知事に関しても、「梅田・関空をリニアに」なんていう構想を掲げていますが、確かにリニアで結べば都心へのアクセスが大幅に改善されるのは明白ですが、その建設費を考えると(もっとも橋下知事はリニアの建設費に伊丹空港の土地の売却益を充てるとか言ってますが・・・)、むしろ現状の阪和線・南海線のアクセス改善が現実的手段なのかな、と思います。逆にいうと、伊丹廃止は、関空のアクセス改善(時間・便数・料金)が実現しないとまずは難しいのかな、と伊丹廃止派の私でも思っています。

というわけで、100%妄想となる私案を思案してみました。
阪和線・・・現行「はるか」の新快速化、現在の281系はグリーン車指定席扱いで、普通車には223系や225系タイプの車両を併結。
南海線・・・「ラピート」に自由席車の連結、停車駅は基本として現状の「ラピートα」(天下茶屋の次は泉佐野まで無停車)とする。
JR関西空港線・南海空港線・・・加算運賃の廃止または減額。差額補填分を国や府の補助金で対応。
梅田周辺・・・梅田北ヤードに新駅を設置。(これはこちらのエントリーでも述べたように、計画はあるようです)
長期的には、なにわ筋線の完成によるルート振替。

梅田・関空間を高くない運賃で40分台で結ぶとすれば、やはり「はるか」の格下げは避けて通れないかな、と思います。それが現状日中の乗車率低迷で一部は臨時列車化される「はるか」の抜本的な解決策になるのかな、と思います。また、JR関西空港線・南海空港線の加算運賃ですが、普通運賃に350円(JR)も加算されるのが割高になる要因でしょうか。これは建設費償却の加算運賃なのですが、例えばここにメスを入れて加算運賃を廃止し、その補填をアクセス改善のための補助とすれば、一気に値下げとなり、価格面でも伊丹と同等の運賃が実現できるかと思います。

とまあ、あれこれ妄想を書いておきましたが、それにしても伊丹の廃止はまだ現実的ではないのですが(現に国土交通省は未だに伊丹存続を前提としています)、それでも繰り返しになりますが、一般市民でも伊丹空港の廃止・存続が分かれてきていることに時代の流れを感じてしまったニュースでした。

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