かつて自動改札機の機能が貧弱だった時代には、最短区間のきっぷと区間の連続しない定期券を利用することで簡単にキセル乗車ができてしまっていました。
そのため、各鉄道会社は最短区間のきっぷを自動改札機に投入した場合には特別な色のランプが点灯したり、はたまた最短区間のきっぷを自動券売機では販売せず有人窓口のみの販売としたりして、この手のキセル乗車への対抗策を講じてきました。
時代は下り、自動改札機の性能が向上したことにより、磁気定期券に入出場記録をつけることができるようになり、入場の記録が無い場合には出場できなくなりました。
また定期区間外から乗車する場合には、区間外から区間内の切符と定期券を同時に挿入することができるようにもなり、これらの方法により区間の連続しない乗車ができないようになりました。
また、ICカード乗車券・定期券はそもそも入場・出場がワンセットでないと出場できなくなることから、これでキセル乗車も大幅に減ってるんやろうなあ、と思っていました。
ところが、これらのキセル防止策がいずれも定期券・ICカード乗車券の入場記録を元にキセルか否かを判断するため、この記録を改竄すれば簡単にキセル乗車ができてしまいます。
一般の利用客がそういう改竄をすることはまずできるはずがありません。やろうと思えばやれるのか、どうかは知りませんが、取りあえずできないもの、と考えておきましょう。
逆に記録を改竄できるのは鉄道事業者の現場の社員さん、ということになりますが、ほとんどの職務に忠実な社員さんなら、そういう悪事に手を染めようとは微塵も思わないはずです。
しかし、やはり例外、というのはありまして、鉄道事業者の社員が磁気定期券・ICカード乗車券の記録を改竄することでキセル乗車を継続的に行い、それが発覚した、というニュースが2つもありました。
しかもその1つは、日本を代表し、リニアに向かって一直線の、あの会社です。
車掌2年半キセル乗車…磁気定期券不正に操作(Yahoo!ニュース、元記事:読売新聞)
JR東海7社員が近鉄に無賃乗車 イコカ悪用、258回(朝日新聞Webページ)
記事を読んでキセルの手口が理解しづらかった方のために、補足説明します。
まず、相鉄のケース。
これは私も知らなかったのですが、上で書いた「定期券の入出場チェック機能を停止する機能」というのがあるそうです。
この相鉄社員の場合、その機能を定期券を継続購入した都度、入出場チェック機能を停止させていたようです。
そして、帰宅時は座って帰ることのでいる東急東横線を初乗り料金で乗車し、その間の区間の運賃を支払わなかったという、一昔前のキセルの手段と同じことをしていました。
まあ、これは単純といえば単純でしょうか。
そして、相鉄よりもはるかに手口が巧妙なのが、JR東海のケース
分かりやすく説明できる自信が全くないので、冗長的になってしまうことをあらかじめお断りし、ひとまず頑張ってみます。
そのため、各鉄道会社は最短区間のきっぷを自動改札機に投入した場合には特別な色のランプが点灯したり、はたまた最短区間のきっぷを自動券売機では販売せず有人窓口のみの販売としたりして、この手のキセル乗車への対抗策を講じてきました。
時代は下り、自動改札機の性能が向上したことにより、磁気定期券に入出場記録をつけることができるようになり、入場の記録が無い場合には出場できなくなりました。
また定期区間外から乗車する場合には、区間外から区間内の切符と定期券を同時に挿入することができるようにもなり、これらの方法により区間の連続しない乗車ができないようになりました。
また、ICカード乗車券・定期券はそもそも入場・出場がワンセットでないと出場できなくなることから、これでキセル乗車も大幅に減ってるんやろうなあ、と思っていました。
ところが、これらのキセル防止策がいずれも定期券・ICカード乗車券の入場記録を元にキセルか否かを判断するため、この記録を改竄すれば簡単にキセル乗車ができてしまいます。
一般の利用客がそういう改竄をすることはまずできるはずがありません。やろうと思えばやれるのか、どうかは知りませんが、取りあえずできないもの、と考えておきましょう。
逆に記録を改竄できるのは鉄道事業者の現場の社員さん、ということになりますが、ほとんどの職務に忠実な社員さんなら、そういう悪事に手を染めようとは微塵も思わないはずです。
しかし、やはり例外、というのはありまして、鉄道事業者の社員が磁気定期券・ICカード乗車券の記録を改竄することでキセル乗車を継続的に行い、それが発覚した、というニュースが2つもありました。
しかもその1つは、日本を代表し、リニアに向かって一直線の、あの会社です。
車掌2年半キセル乗車…磁気定期券不正に操作(Yahoo!ニュース、元記事:読売新聞)
JR東海7社員が近鉄に無賃乗車 イコカ悪用、258回(朝日新聞Webページ)
記事を読んでキセルの手口が理解しづらかった方のために、補足説明します。
まず、相鉄のケース。
これは私も知らなかったのですが、上で書いた「定期券の入出場チェック機能を停止する機能」というのがあるそうです。
この相鉄社員の場合、その機能を定期券を継続購入した都度、入出場チェック機能を停止させていたようです。
そして、帰宅時は座って帰ることのでいる東急東横線を初乗り料金で乗車し、その間の区間の運賃を支払わなかったという、一昔前のキセルの手段と同じことをしていました。
まあ、これは単純といえば単純でしょうか。
そして、相鉄よりもはるかに手口が巧妙なのが、JR東海のケース
分かりやすく説明できる自信が全くないので、冗長的になってしまうことをあらかじめお断りし、ひとまず頑張ってみます。
このケースでは、このキセルが成り立つ(?)のに、次の要件が必要です。
1:JR東海TOICAエリアと、近鉄PiTaPaエリアの両方で使えるICカード乗車券が存在すること
2:両社のIC乗車券利用可能エリアで、近鉄とJR東海の両路線のホームが改札の中でつながっている駅があること
3:JR東海の駅を合法的に出場できる手段が存在すること
単純なケースとして、「自宅最寄り駅:近鉄線のPiTaPaエリアの駅」、「勤務先:桑名駅」の例を取り上げます。
まず「1:」について。
ここでは、JR西日本の「ICOCA」が重要な役割を果たします。
つまり、JR西日本のICOCA「だけ」が、近鉄のPiTaPaエリアとJR東海のTOICAエリアの両方で利用が可能なのです。
キセルの関係者にはJR西日本が全く出てこない筈なのに、このキセルではPiTaPaでもTOICAでもなく、ICOCAが出てくるのは、そういう理由です。
次に「2:」について
先にICカード乗車券では、入場・出場の記録がワンセットとなることを記しました。
ICカード乗車券でキセルを行う場合、この記録をどこかで抹消する必要があります。
ICOCAなどのICカード乗車券では、例えば列車の運休や自動改札機のトラブル、はたまた接触不良による入出場記録トラブルの際に備えて、入場記録を抹消することができるようになっています。勿論、これができるのは駅の窓口だけです。
では、最寄りの近鉄に乗車し、他社である近鉄のどこかの駅で、JR東海の社員が近鉄駅から入場したICカード乗車券の入場記録を消して貰えるでしょうか。
「普通は」無理です。逆に言うと「特別な場合」なら可能です。
近鉄名古屋線とJR東海関西線・紀勢線とは、三重・愛知県内でほぼ併走しています。この区間の中には、近鉄とJRが、改札がつながっている駅があります。
もう少し分かりやすく言えば、近鉄でもJRでも同じ改札口を利用する駅があります。
該当するのは、桑名・津・松阪・伊勢市の4駅です。このうち、桑名駅は「近鉄PiTaPaエリア」かつ「JR東海TOICAのエリア」かつ「両社のホームが改札内でつながっている」駅に該当します。
参考までに、桑名駅の構内図へのリンクを張っておきます。
桑名駅構内図(JR東海Webサイト)
これらの駅では、駅の両側に改札口があり、片方ずつを近鉄・JR東海で管理しています。
するとどうなるでしょうか。
近鉄線にICOCAで乗車したJR東海の社員は、桑名駅に到着します。桑名駅に到着すれば、そこでは「近鉄の改札を通らず」(ここがポイント)JR東海の係員がいる改札口まで来ることができてしまいます。そうすると、あと一息。このJR東海管理の改札口で、ICカード乗車券の入場記録を消すことができれば、めでたくキセル成立です!
(どうやら、ICカード乗車券の入場記録は、他社の記録であっても消すことができるようですね。)
でも、私服で通勤する社員が、いきなり窓口に行って記録を消すと、明らかに怪しまれます。
そこで「3:」の条件が出てきます。
JR東海の社員には、駅の入出場ができる特別な乗車証があります。
これは会社の色々な業務でJR線を利用する場合等に使うものと思われますが、これを桑名駅で出場するのに使います。
そうすると、これで何食わない顔をして改札を出ることができました。
そして勤務を開始し、桑名駅での仕事をしますが、仕事の合間に「2:」で説明したカラクリを利用して、JR東海の改札口で、ICOCAに残っている近鉄駅の入場記録を抹消します。
帰りは、回数券か何かを使って普通に利用したと思われますが、これで片道分は完全に浮く事になりました。
相鉄・JR東海双方のケースに言えることは、「キセルの被害者が他社」ということです。
相鉄の場合は東急に、JR東海の場合は近鉄が被害者ということになり、事業者間をシームレスに利用できる仕組みが仇となってキセルが発生した、ともいえるでしょう。
それにしても、利用者のキセルを防ぐが為に開発されたシステムを職権で停止させて自らキセルした相鉄・JR東海の両社の社員は鉄道に従事するものとしての風上にもおけないとしか思えません。情けないです。
相鉄では、この件に関して一応お詫びをしています。同社Webサイトより閲覧可能です。
当社社員による駅務機器の不正使用について(相模鉄道プレスリリース)
ちなみに、不正乗車を行った社員は懲戒解雇。まあ当然といえば当然でしょうか。
しかし一方、JR東海は、このエントリーを記している時点では、お詫びの文書をアップしてません。
それどころか、上記の朝日の記事を読む限りでは、公表もしていませんでしたし、その処分内容も公表していません。
果たしてこれでいいんかいな?と思ってしまいますよね。単純に。舐めているとしか思えない。
もしこれが仮にJR西日本なら、丁重なお詫びの文章に始まり、キセルの経緯・関わった社員の処分の内容、そして再発防止策が事細かに書かれることでしょうが、JR東海にはそんな姿勢が全くない。驕りの姿勢が見え隠れする、のは私だけでしょうか・・・
そして、何故そういうJR東海の姿勢をマスコミは批判せえへんねん?と思ったりもした、ちょっと憤りを感じたニュースでした。

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1:JR東海TOICAエリアと、近鉄PiTaPaエリアの両方で使えるICカード乗車券が存在すること
2:両社のIC乗車券利用可能エリアで、近鉄とJR東海の両路線のホームが改札の中でつながっている駅があること
3:JR東海の駅を合法的に出場できる手段が存在すること
単純なケースとして、「自宅最寄り駅:近鉄線のPiTaPaエリアの駅」、「勤務先:桑名駅」の例を取り上げます。
まず「1:」について。
ここでは、JR西日本の「ICOCA」が重要な役割を果たします。
つまり、JR西日本のICOCA「だけ」が、近鉄のPiTaPaエリアとJR東海のTOICAエリアの両方で利用が可能なのです。
キセルの関係者にはJR西日本が全く出てこない筈なのに、このキセルではPiTaPaでもTOICAでもなく、ICOCAが出てくるのは、そういう理由です。
次に「2:」について
先にICカード乗車券では、入場・出場の記録がワンセットとなることを記しました。
ICカード乗車券でキセルを行う場合、この記録をどこかで抹消する必要があります。
ICOCAなどのICカード乗車券では、例えば列車の運休や自動改札機のトラブル、はたまた接触不良による入出場記録トラブルの際に備えて、入場記録を抹消することができるようになっています。勿論、これができるのは駅の窓口だけです。
では、最寄りの近鉄に乗車し、他社である近鉄のどこかの駅で、JR東海の社員が近鉄駅から入場したICカード乗車券の入場記録を消して貰えるでしょうか。
「普通は」無理です。逆に言うと「特別な場合」なら可能です。
近鉄名古屋線とJR東海関西線・紀勢線とは、三重・愛知県内でほぼ併走しています。この区間の中には、近鉄とJRが、改札がつながっている駅があります。
もう少し分かりやすく言えば、近鉄でもJRでも同じ改札口を利用する駅があります。
該当するのは、桑名・津・松阪・伊勢市の4駅です。このうち、桑名駅は「近鉄PiTaPaエリア」かつ「JR東海TOICAのエリア」かつ「両社のホームが改札内でつながっている」駅に該当します。
参考までに、桑名駅の構内図へのリンクを張っておきます。
桑名駅構内図(JR東海Webサイト)
これらの駅では、駅の両側に改札口があり、片方ずつを近鉄・JR東海で管理しています。
するとどうなるでしょうか。
近鉄線にICOCAで乗車したJR東海の社員は、桑名駅に到着します。桑名駅に到着すれば、そこでは「近鉄の改札を通らず」(ここがポイント)JR東海の係員がいる改札口まで来ることができてしまいます。そうすると、あと一息。このJR東海管理の改札口で、ICカード乗車券の入場記録を消すことができれば、めでたくキセル成立です!
(どうやら、ICカード乗車券の入場記録は、他社の記録であっても消すことができるようですね。)
でも、私服で通勤する社員が、いきなり窓口に行って記録を消すと、明らかに怪しまれます。
そこで「3:」の条件が出てきます。
JR東海の社員には、駅の入出場ができる特別な乗車証があります。
これは会社の色々な業務でJR線を利用する場合等に使うものと思われますが、これを桑名駅で出場するのに使います。
そうすると、これで何食わない顔をして改札を出ることができました。
そして勤務を開始し、桑名駅での仕事をしますが、仕事の合間に「2:」で説明したカラクリを利用して、JR東海の改札口で、ICOCAに残っている近鉄駅の入場記録を抹消します。
帰りは、回数券か何かを使って普通に利用したと思われますが、これで片道分は完全に浮く事になりました。
相鉄・JR東海双方のケースに言えることは、「キセルの被害者が他社」ということです。
相鉄の場合は東急に、JR東海の場合は近鉄が被害者ということになり、事業者間をシームレスに利用できる仕組みが仇となってキセルが発生した、ともいえるでしょう。
それにしても、利用者のキセルを防ぐが為に開発されたシステムを職権で停止させて自らキセルした相鉄・JR東海の両社の社員は鉄道に従事するものとしての風上にもおけないとしか思えません。情けないです。
相鉄では、この件に関して一応お詫びをしています。同社Webサイトより閲覧可能です。
当社社員による駅務機器の不正使用について(相模鉄道プレスリリース)
ちなみに、不正乗車を行った社員は懲戒解雇。まあ当然といえば当然でしょうか。
しかし一方、JR東海は、このエントリーを記している時点では、お詫びの文書をアップしてません。
それどころか、上記の朝日の記事を読む限りでは、公表もしていませんでしたし、その処分内容も公表していません。
JR東海は、この事実を今年に入って把握、社員を処分すると共に、近鉄には賠償とおわびを済ませたという。ただ、「社内で厳正に対処し、近鉄への対応も済ませた」(JR東海広報部)との理由で、不正の事実を公表せず、7人の処分内容も明らかにしていない。
果たしてこれでいいんかいな?と思ってしまいますよね。単純に。舐めているとしか思えない。
もしこれが仮にJR西日本なら、丁重なお詫びの文章に始まり、キセルの経緯・関わった社員の処分の内容、そして再発防止策が事細かに書かれることでしょうが、JR東海にはそんな姿勢が全くない。驕りの姿勢が見え隠れする、のは私だけでしょうか・・・
そして、何故そういうJR東海の姿勢をマスコミは批判せえへんねん?と思ったりもした、ちょっと憤りを感じたニュースでした。
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