阪急京都線の特急として長年君臨してきた6300系
しかしJR京都線の新快速の充実等を中心とした環境変化によって停車駅が増加してきたため、2扉車では乗降の時間がかかってきたことと、また、昭和50年の登場ということもあり車両の老朽化が進んできたことから、後進の9300系に特急運用を譲る形で、京都線の特急から撤退し、多くの編成は嵐山線の普通列車として転用されることとなりました。

しかし、その6300系のうち一編成が車内を中心に改装された「京とれいん」という名称で今年になって登場することとなりました。
この春、電車から“京旅”気分!「京とれいん」がデビューします(阪急阪神ホールディングスプレスリリース)

そしてこの「京とれいん」、今年5月のダイヤ改正より、土休日の昼間を中心に「快速特急」として一日4往復、梅田〜河原町間を運行することとなりました。
観光列車「京とれいん」や天下茶屋〜河原町間直通の「準急」を土・休日に運行します  京都線の土・休日ダイヤの改正について(阪急阪神ホールディングスプレスリリース)

この京とれいん、早速乗車する機会に恵まれましたので、その乗車記をここでご紹介したいと思います。

乗車したのは、梅田15:52発河原町行き快速特急。
先行する15:50発特急に続行する形の運行となります。
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列車案内表示でも「2扉車」であることが明記されています。

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河原町方から入線してきた6300系「京とれいん」
入線後、手早く外観を写真に収めます。折り返し時間が余り無いので、のんびりしているとすぐに発車となってしまいます。

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快速特急 河原町行き

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側面はこんな感じ

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同じく側面を真横から。

同じように「京とれいん」目当てでやってきている人々も少なからずいますし、それ以外にも一般の利用者でも、先行する特急が茨木市・高槻市に停車することもあり混雑していてゆったり座りたい、という感じの人々が選んでこちらの快速特急に乗ってきています。

車内に入ってみます。この京とれいんは6両編成で、2両ごと3種類の内装が施されています。

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京都方2両はこのような感じ。

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対する大阪方2両はこのような感じ。

いずれも、座席のモケットを張り替えた京唐紙をイメージした内装となっています。

そして、編成中間の2両は、京町家をイメージした向かいあわせの座席となっており、座面には「畳」が使用されています。
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出入口付近

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座面の畳の拡大版。本当の畳です。

やはり目をひくのはこの中間の2両でして、私が乗車した時も、この車両の座席は殆どが埋まっていました。

15時52分、梅田を出発。途中、十三・淡路で停車したあとは、京都市内の桂まで無停車です。
日頃特急が停車する茨木市・高槻市・長岡天神は通過となります。完全な形では無いにしろ、かつての阪急京都線の特急が十三発車後大宮まで無停車だった時代を彷彿とさせる停車駅の設定とも言えるでしょうか。

勿論、これだけ停車駅間に余裕があることから、淡路発車後は、桂で乗り換えとなる嵐山方面の観光案内が始まりますが、この放送が日本語・英語の他、韓国語・中国語による放送も行われているところは、外国人を含めた観光客向けの列車、と言えるでしょう。

列車は先行する特急が走っているものの、意外と順調に飛ばし、のんびり車窓を見ているうちに、あっという間に桂到着。
日頃阪急京都線で特急で乗っているのと、さほど所要時間は変わらないはずですが、途中の停車駅が無いだけでこれだけ気分が違うものかと、改めて感じました。

桂を出発後、西院から地下に入り、烏丸に停車の後、終点河原町に到着。約43分の旅路はこのようにして終わりました。


かつて、それは国鉄民営化前後くらいまででしょうか、京阪間の輸送は阪急・京阪が主役となっていましたが、その後、JR西日本が新快速の広域ネットワークと速達性から競争力を高めた結果、両社からJRへ利用者が流れていくこととなりました。それゆえ、両社の特急列車には、JRには無い何かが魅力として求められてくるのでは、と思っていました。
既に京阪ではテレビカーの他、ダブルデッカー車を導入していたことからも分かるように、このような観点からのアプローチを随分前から行ってきていましたが、対する阪急では、これまでそのような事例があまり見られてきませんでした。

ところが近年、阪急宝塚線・神戸線から京都線・嵐山線経由嵐山行きの臨時列車の設定といったように、観光客ターゲットの列車運行を開始しだしたことから、阪急もこのような施策をに軸足を移してきた、と思ってきたところ、今回「京とれいん」の運行が開始されたことから、本腰を入れてきたのではないか、と思ったところです。

また、この「京とれいん」、土休日は快速特急として運行される他、平日は団体列車としての運行も考慮されているようですので、この点での活躍も今後期待して注目したいと思っています。

昨年度・一昨年度京阪で通学していた時に感じたのですが、京阪間を移動する修学旅行生が一般の乗客と混在するのは、様々な点で混乱するものと思われました。修学旅行生と一般客の分離という点でも、「京とれいん」の活躍に期待したいな、と感じました。

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