和歌山電鐵では、本日1月15日、近畿運輸局長に対し貴志川線の鉄道旅客運賃の変更認可申請を行ったことを発表しました。
貴志川線の運賃改定(申請)について(和歌山電鐵)
上記資料によりますと、申請理由として、平成18年に貴志川線を引き継いで以降、利用者数は20%近くも増加し、経費節減にも努めたことで、当初は開業数年後に予定してい運賃値上げの実施を見送り、当初10年間の行政による運営補助金も全額を使い切らず、大きく収支改善を図ることができました。
しかし、近年でも年間6〜8千万円の赤字が生じており、また交通政策基本法ならびに改正地域公共交通活性化が施行され、今後の地域公共交通は事業者だけでなく、行政や市民が一体になって維持・発展を図るようになったことから、同社と行政・利用者が応分の努力と協力関係を構築することを念頭に、関係行政と協議を進めてきました。
その結果、経営努力と自治体の支援だけでは赤字運営からの脱却は非常に困難であることから、路線の維持存続の責任分担を明確化するため、利用者に対して最低限の負担をお願いする、という結論のもと、運賃改定を申請した、としています。
申請の概要としては、運賃改定実施日は平成28年4月1日で、改定率は平均14.2%(普通運賃8.7%、通勤定期22.7%、通学定期20.0%)、初乗り運賃は190円(現行170円)となっています。
より具体的な内容として、現行と申請運賃の比較を記すと以下の通りとなります。
3kmまで:現行170円→申請190円
3km超6kmまで:現行230円→申請250円
6km超9kmまで:現行290円→申請310円
9km超12kmまで:現行330円→申請360円
12km超15kmまで:現行370円→申請400円
また、今回の運賃改定申請に伴う今後の需要見通しとして、平成28年度は定期外・定期ともに対前年度比3%減、平成29年度・30年度は前年度水準の維持を見込んでいます。
加えて参考として、他社線との運賃比較として、貴志川線と沿線人口等の条件が比較的近い他の中小民鉄15路線(県庁所在地・中核市等の主要都市から郊外へ延びる各路線)との比較を行っており、この他社平均との比較でみても、高くない運賃水準となっていることがわかります。
その他の詳細は、上記発表資料をご覧ください。
この貴志川線の運賃についてですが、下記wapONLINE記事にもあるように、これまでは消費税率引き上げを除けば南海電鉄時代の90年代半ばまで遡りますし、その南海電鉄時代の運賃は、南海線・高野線よりも若干高い水準であるものの、定期運賃の割引率も含めて基本的に南海時代のベースの運賃で運営してきたことから、行政支援による赤字欠損補填があったとはいえ、貴志川線単独で運営するにはかなり厳しい運賃体系であったかと思われます。
こちらのエントリーですでにご紹介しているとおり、来年度より行政支援の枠組みが欠損補助から設備整備に変わることもあり、欠損補助に依存しない運営上の収支均衡を図る必要があること、そして上記の通り元々低めだった運賃水準を同条件の他社に近づけること、それらを通じて事業者・行政・沿線住民の三者の責任分担の明確化による路線存続、という意味では今回の運賃改定はやむを得ない、もっといえば、これまで欠損補助があったとはいえよくこれまでこの運賃水準で頑張ってきたな、という感じを受けました。
今回の運賃改定により、路線存続に必要な収支改善がなされることが果たされるのであれば、利用者の負担は若干増しはしますが、その利便性を将来にわたって享受するために必要なコスト、と考えることもできるでしょう。
そういうこともあり、今回の運賃改定を単に値上げとしてネガティブにとらえるのではなく、上記で縷々記してきたように、これまで基本的に値上げのなかった状況、そして事業規模に比べて運賃水準が低かった状況などを冷静に理解して、今後とも貴志川線の永続を支援していく姿勢が必要なのではないか、と思っています。
私自身も、自身の在勤地を走る地方鉄道として貴重な存在である和歌山電鐵の存続と活性化をこれからも応援していきたいと思っていますので、今回の運賃改定についても、確かに懐は若干痛むものの、路線存続に必要なコストと考えており、引き続き応援していきたいな、と考えています。
wap ONLINE:わかやま電鉄、今年4月1日運賃改定を申請
和歌山電鐵、4月1日に値上げ: たべちゃんの旅行記「旅のメモ」
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貴志川線の運賃改定(申請)について(和歌山電鐵)
上記資料によりますと、申請理由として、平成18年に貴志川線を引き継いで以降、利用者数は20%近くも増加し、経費節減にも努めたことで、当初は開業数年後に予定してい運賃値上げの実施を見送り、当初10年間の行政による運営補助金も全額を使い切らず、大きく収支改善を図ることができました。
しかし、近年でも年間6〜8千万円の赤字が生じており、また交通政策基本法ならびに改正地域公共交通活性化が施行され、今後の地域公共交通は事業者だけでなく、行政や市民が一体になって維持・発展を図るようになったことから、同社と行政・利用者が応分の努力と協力関係を構築することを念頭に、関係行政と協議を進めてきました。
その結果、経営努力と自治体の支援だけでは赤字運営からの脱却は非常に困難であることから、路線の維持存続の責任分担を明確化するため、利用者に対して最低限の負担をお願いする、という結論のもと、運賃改定を申請した、としています。
申請の概要としては、運賃改定実施日は平成28年4月1日で、改定率は平均14.2%(普通運賃8.7%、通勤定期22.7%、通学定期20.0%)、初乗り運賃は190円(現行170円)となっています。
より具体的な内容として、現行と申請運賃の比較を記すと以下の通りとなります。
3kmまで:現行170円→申請190円
3km超6kmまで:現行230円→申請250円
6km超9kmまで:現行290円→申請310円
9km超12kmまで:現行330円→申請360円
12km超15kmまで:現行370円→申請400円
また、今回の運賃改定申請に伴う今後の需要見通しとして、平成28年度は定期外・定期ともに対前年度比3%減、平成29年度・30年度は前年度水準の維持を見込んでいます。
加えて参考として、他社線との運賃比較として、貴志川線と沿線人口等の条件が比較的近い他の中小民鉄15路線(県庁所在地・中核市等の主要都市から郊外へ延びる各路線)との比較を行っており、この他社平均との比較でみても、高くない運賃水準となっていることがわかります。
その他の詳細は、上記発表資料をご覧ください。
この貴志川線の運賃についてですが、下記wapONLINE記事にもあるように、これまでは消費税率引き上げを除けば南海電鉄時代の90年代半ばまで遡りますし、その南海電鉄時代の運賃は、南海線・高野線よりも若干高い水準であるものの、定期運賃の割引率も含めて基本的に南海時代のベースの運賃で運営してきたことから、行政支援による赤字欠損補填があったとはいえ、貴志川線単独で運営するにはかなり厳しい運賃体系であったかと思われます。
こちらのエントリーですでにご紹介しているとおり、来年度より行政支援の枠組みが欠損補助から設備整備に変わることもあり、欠損補助に依存しない運営上の収支均衡を図る必要があること、そして上記の通り元々低めだった運賃水準を同条件の他社に近づけること、それらを通じて事業者・行政・沿線住民の三者の責任分担の明確化による路線存続、という意味では今回の運賃改定はやむを得ない、もっといえば、これまで欠損補助があったとはいえよくこれまでこの運賃水準で頑張ってきたな、という感じを受けました。
今回の運賃改定により、路線存続に必要な収支改善がなされることが果たされるのであれば、利用者の負担は若干増しはしますが、その利便性を将来にわたって享受するために必要なコスト、と考えることもできるでしょう。
そういうこともあり、今回の運賃改定を単に値上げとしてネガティブにとらえるのではなく、上記で縷々記してきたように、これまで基本的に値上げのなかった状況、そして事業規模に比べて運賃水準が低かった状況などを冷静に理解して、今後とも貴志川線の永続を支援していく姿勢が必要なのではないか、と思っています。
私自身も、自身の在勤地を走る地方鉄道として貴重な存在である和歌山電鐵の存続と活性化をこれからも応援していきたいと思っていますので、今回の運賃改定についても、確かに懐は若干痛むものの、路線存続に必要なコストと考えており、引き続き応援していきたいな、と考えています。
wap ONLINE:わかやま電鉄、今年4月1日運賃改定を申請
和歌山電鐵、4月1日に値上げ: たべちゃんの旅行記「旅のメモ」
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