こちらのエントリーに引き続き、JR九州のダイヤ見直し内容について見ていきます。
このエントリーでは、快速・普通列車の見直し状況をみたいと思います。
改めて、JR九州のダイヤ見直し発表資料を掲載しておきます。
平成30年3月にダイヤを見直します(福岡・佐賀エリア、新幹線・特急列車時刻表)
平成30年3月にダイヤを見直します(長崎エリア)
平成30年3月にダイヤを見直します(大分エリア)
平成30年3月にダイヤを見直します(熊本エリア)
平成30年3月にダイヤを見直します(宮崎エリア)
平成30年3月にダイヤを見直します(鹿児島エリア)
快速・普通列車の見直し内容のうち、主なものをエリア別にみると以下の通りとなっています。
以上のように、主なものだけでもこれだけの見直し内容が発表されています。
気になるところをかいつまんでみると、こんな感じでしょうか。
・鹿児島本線(福岡都市圏)の運行体系見直し
・肥薩線・吉都線の快速・普通列車運転取りやめによる運転間隔拡大
・日豊本線・佐伯〜延岡(いわゆる「宗太郎越え」)の運転本数削減
まず鹿児島本線の運行系統見直しですが、ここまで大きく見直すのか、という感想を最初に持ちました。
JR九州の鉄道事業としては数少ない稼ぎ頭であると考えられる福岡都市圏ですが、現状データイム一時間あたりの本数でみると、小倉〜博多〜大牟田間を通しで運転する快速が1時間に2往復に加え、小倉〜荒木間の準快速(小倉〜福間は普通)、そして普通列車が3往復となっています。
準快速と普通を加えて、小倉〜鳥栖の各駅では1時間に3本の停車本数を確保しながら、小倉〜博多〜大牟田の都市間輸送もカバーするという、都市圏・都市間輸送ダイヤといった感じになっています。
それが、見直し後は、博多〜小倉に関しては、全区間快速が1本で残り2本は福間から各駅停車となり、都市間輸送の速達性という面では低下が免れないとともに、海老津以北の快速通過駅では1時間に2本に削減されることが考えられます。
更に、博多〜大牟田をみると、同区間を通しで運転する快速列車は全廃され久留米もしくは荒木まで、二日市〜鳥栖の快速通過駅では1時間に2本に削減、といった感じで、かなり大胆に大ナタを振るった印象の見直しとなりました。
先の特急列車での見直しでも挙げたように、博多〜小倉間では、昼間の「きらめき」も削減された上に、快速も1時間に1本となったことから、在来線での速達サービスが1時間に2本の「ソニック」とこの快速のみとなり、同区間を併走する山陽新幹線や西鉄高速バスとの競合の面では厳しい面も出てくるのかなと思います。
加えて、博多〜大牟田間でいえば、併走する西鉄天神・大牟田線では、西鉄福岡〜大牟田間で特急が1時間に2本の運転されていて、これまでは本数面では互角となっていたのですが、今回の見直しで大牟田からの場合は久留米や荒木といった途中駅での乗り換えが必要となることから、福岡〜大牟田間の競合の面ではかなり苦しいものになるのではないか、とも考えられます。
そんな競合関係がありながら、ここまでの削減に踏み切ったのは、やはり輸送力過剰な面の見直しが大きいのかな、とも思えます。
次に肥薩線、吉都線では快速・普通列車の削減が実施されますが、これにより運転間隔が大幅に拡大する区間も増えてきます。
肥薩線・八代〜人吉間の場合、下り八代発では6:46発の次は12:47発(約6時間)、上り人吉発では13:54発の次は18:37発(4時間半)。
吉都線の場合、都城発7:30発の次は12:07発(約4時間半)その次は16:09発(約4時間)、吉松発8:20発の次は13:59発(約5時間半)
(カッコ内はおよその運転間隔で、時刻は現行のもの)
このように、これらの区間では列車の削減により4時間程度から最高6時間と、相当開いた運転間隔となることが分かります。
もっとも八代〜人吉の場合は、特急「かわせみ・やませみ」「いさぶろう」「しんぺい」も運転されていて、特急停車駅の坂本・一勝地・渡の各駅相互間の利用ではここまで運転間隔は広がらないのですが、その他の駅では、昼間を中心にほとんど列車が来ない、ということにもなりそうです。
極めつけは肥薩線の人吉〜吉松間と、日豊本線の佐伯〜延岡間で、前者では普通列車1往復に加えて観光列車「いさぶろう」「しんぺい」2往復の計3往復、後者に至っては、区間運転も含めて3往復、通し運転では1.5往復となり、どれも本当に限られた列車本数となってしまうことがわかります。
佐伯〜延岡間では、特急「にちりん」が1時間に1本程度運転されていることから、当該区間を通す利用者は迷わず特急を利用することになるのでしょうが、沿線の利用者や、18きっぷ利用者にとっては、元から本数の少ないところに、更に使いにくくなってしまうことになりそうな見直し、となるでしょうか。
色々書いてきて長くなりましたが、JRグループのダイヤ改正でここまで大胆に見直しが行われるのも、近年の改正では珍しいのかな、とも思えます。
先のJR北海道が平成28年3月に行った普通列車の削減では、閑散区間の削減がメインでしたが、今回のJR九州では福岡都市圏でもかなりの見直しが実施されているのが特徴といえるでしょうか。
本数ベースでみれば、快速・普通列車の本数が2,702本から2,615本と87本の削減となっていますが、区間の短縮等を含めると、かなり影響は大きいのかな、とも感じます。
JR北海道の削減の例も挙げましたが、昨今経営の見直しが課題となっているJR北海道を巡っては、JR九州を見習い、観光列車を主体とした利用者の呼び込みも積極的にすべきではないか、という意見も見受けられました。
もとより自然環境も違えば観光需要の特性も異なる北海道で、九州のケースをそのまま持ってきても上手くいくとは思えない、とは思っていたのですが、そのJR九州でさえも、先のエントリーで触れたようにD&S列車「はやとの風」の運転日見直しを行ったり、地域輸送については都市圏輸送でさえも大幅な見直しをせざるを得ない状況である、ということをみると、「JR北海道も経営再建のためにはJR九州を見習え」という言説にホイホイと乗ってしまうのはいかがなものか、と感じているところです。
今回のJR九州の見直し内容を理解して、JR九州とて苦しい経営環境で、列車本数の見直しという問題には目をそらし続けるわけにはいかないことをきっちり認識すべきではないか、と感じました。
最後の方はJR九州そのものの話ではなくなりましたが、ともあれ、多岐に渡った見直し内容なだけに、相当の記述量となってしまいました。
長文・駄文となりお詫びを申し上げる次第ですが、次エントリーでは西日本・九州以外の各社の改正内容に触れていくことができればと思っています。
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このエントリーでは、快速・普通列車の見直し状況をみたいと思います。
改めて、JR九州のダイヤ見直し発表資料を掲載しておきます。
平成30年3月にダイヤを見直します(福岡・佐賀エリア、新幹線・特急列車時刻表)
平成30年3月にダイヤを見直します(長崎エリア)
平成30年3月にダイヤを見直します(大分エリア)
平成30年3月にダイヤを見直します(熊本エリア)
平成30年3月にダイヤを見直します(宮崎エリア)
平成30年3月にダイヤを見直します(鹿児島エリア)
快速・普通列車の見直し内容のうち、主なものをエリア別にみると以下の通りとなっています。
●福岡・佐賀エリア
・鹿児島本線(福岡都市圏)のデータイム運行体系を見直し
博多駅基準、13時台の場合、
香椎方面:快速1本(小倉行き)、区間快速(小倉行き、門司港行き。福間まで快速)2本、普通3本
二日市方面:快速2本(久留米行き・荒木行き)、区間快速1本(羽犬塚行き)、普通3本
・鹿児島本線、日豊本線、日田彦山線の早朝・深夜等の運転区間短縮
・筑肥線(唐津〜伊万里)の最終列車繰り下げ(上下とも)
●長崎エリア
・大村線の快速列車停車駅の見直し
データイムの快速6往復を「区間快速」とし、竹松〜早岐間で各駅停車
これに伴い、竹松〜早岐間の普通列車4往復の運転取りやめ
・長崎20:05発佐世保21:58発の快速レ車の運転取りやめ
・各方面の最終列車繰上げ
●大分エリア
・久大本線の日田〜豊後森間の普通列車3往復の運転取りやめ
●熊本エリア
・三角線の最終列車繰り下げ(上下とも)
・肥薩線の快速・普通列車運転取りやめ
八代〜人吉間:3往復の運転取りやめ(現行11往復→8往復)
人吉〜吉松間:2往復の運転取りやめ(現行3往復→1往復、これに「いさぶろう」「しんぺい」2往復運転)
●宮崎エリア
・日豊本線、佐伯〜延岡間の普通列車は以下の上下6本に見直し
佐伯〜延岡間:下り1本、上り2本
佐伯〜重岡間:下り2本、上り1本
(現行:佐伯〜延岡間3往復、延岡〜市棚1往復)
・吉都線の都城〜吉松間で3往復の運転取りやめ
(現行11往復→8往復)
・日南線、早朝列車の運転区間短縮、宮崎発志布志行きの最終列車繰り上げ
●鹿児島エリア
・鹿児島本線、指宿枕崎線で早朝、夜間列車の運転取りやめ、区間短縮等
以上のように、主なものだけでもこれだけの見直し内容が発表されています。
気になるところをかいつまんでみると、こんな感じでしょうか。
・鹿児島本線(福岡都市圏)の運行体系見直し
・肥薩線・吉都線の快速・普通列車運転取りやめによる運転間隔拡大
・日豊本線・佐伯〜延岡(いわゆる「宗太郎越え」)の運転本数削減
まず鹿児島本線の運行系統見直しですが、ここまで大きく見直すのか、という感想を最初に持ちました。
JR九州の鉄道事業としては数少ない稼ぎ頭であると考えられる福岡都市圏ですが、現状データイム一時間あたりの本数でみると、小倉〜博多〜大牟田間を通しで運転する快速が1時間に2往復に加え、小倉〜荒木間の準快速(小倉〜福間は普通)、そして普通列車が3往復となっています。
準快速と普通を加えて、小倉〜鳥栖の各駅では1時間に3本の停車本数を確保しながら、小倉〜博多〜大牟田の都市間輸送もカバーするという、都市圏・都市間輸送ダイヤといった感じになっています。
それが、見直し後は、博多〜小倉に関しては、全区間快速が1本で残り2本は福間から各駅停車となり、都市間輸送の速達性という面では低下が免れないとともに、海老津以北の快速通過駅では1時間に2本に削減されることが考えられます。
更に、博多〜大牟田をみると、同区間を通しで運転する快速列車は全廃され久留米もしくは荒木まで、二日市〜鳥栖の快速通過駅では1時間に2本に削減、といった感じで、かなり大胆に大ナタを振るった印象の見直しとなりました。
先の特急列車での見直しでも挙げたように、博多〜小倉間では、昼間の「きらめき」も削減された上に、快速も1時間に1本となったことから、在来線での速達サービスが1時間に2本の「ソニック」とこの快速のみとなり、同区間を併走する山陽新幹線や西鉄高速バスとの競合の面では厳しい面も出てくるのかなと思います。
加えて、博多〜大牟田間でいえば、併走する西鉄天神・大牟田線では、西鉄福岡〜大牟田間で特急が1時間に2本の運転されていて、これまでは本数面では互角となっていたのですが、今回の見直しで大牟田からの場合は久留米や荒木といった途中駅での乗り換えが必要となることから、福岡〜大牟田間の競合の面ではかなり苦しいものになるのではないか、とも考えられます。
そんな競合関係がありながら、ここまでの削減に踏み切ったのは、やはり輸送力過剰な面の見直しが大きいのかな、とも思えます。
次に肥薩線、吉都線では快速・普通列車の削減が実施されますが、これにより運転間隔が大幅に拡大する区間も増えてきます。
肥薩線・八代〜人吉間の場合、下り八代発では6:46発の次は12:47発(約6時間)、上り人吉発では13:54発の次は18:37発(4時間半)。
吉都線の場合、都城発7:30発の次は12:07発(約4時間半)その次は16:09発(約4時間)、吉松発8:20発の次は13:59発(約5時間半)
(カッコ内はおよその運転間隔で、時刻は現行のもの)
このように、これらの区間では列車の削減により4時間程度から最高6時間と、相当開いた運転間隔となることが分かります。
もっとも八代〜人吉の場合は、特急「かわせみ・やませみ」「いさぶろう」「しんぺい」も運転されていて、特急停車駅の坂本・一勝地・渡の各駅相互間の利用ではここまで運転間隔は広がらないのですが、その他の駅では、昼間を中心にほとんど列車が来ない、ということにもなりそうです。
極めつけは肥薩線の人吉〜吉松間と、日豊本線の佐伯〜延岡間で、前者では普通列車1往復に加えて観光列車「いさぶろう」「しんぺい」2往復の計3往復、後者に至っては、区間運転も含めて3往復、通し運転では1.5往復となり、どれも本当に限られた列車本数となってしまうことがわかります。
佐伯〜延岡間では、特急「にちりん」が1時間に1本程度運転されていることから、当該区間を通す利用者は迷わず特急を利用することになるのでしょうが、沿線の利用者や、18きっぷ利用者にとっては、元から本数の少ないところに、更に使いにくくなってしまうことになりそうな見直し、となるでしょうか。
色々書いてきて長くなりましたが、JRグループのダイヤ改正でここまで大胆に見直しが行われるのも、近年の改正では珍しいのかな、とも思えます。
先のJR北海道が平成28年3月に行った普通列車の削減では、閑散区間の削減がメインでしたが、今回のJR九州では福岡都市圏でもかなりの見直しが実施されているのが特徴といえるでしょうか。
本数ベースでみれば、快速・普通列車の本数が2,702本から2,615本と87本の削減となっていますが、区間の短縮等を含めると、かなり影響は大きいのかな、とも感じます。
JR北海道の削減の例も挙げましたが、昨今経営の見直しが課題となっているJR北海道を巡っては、JR九州を見習い、観光列車を主体とした利用者の呼び込みも積極的にすべきではないか、という意見も見受けられました。
もとより自然環境も違えば観光需要の特性も異なる北海道で、九州のケースをそのまま持ってきても上手くいくとは思えない、とは思っていたのですが、そのJR九州でさえも、先のエントリーで触れたようにD&S列車「はやとの風」の運転日見直しを行ったり、地域輸送については都市圏輸送でさえも大幅な見直しをせざるを得ない状況である、ということをみると、「JR北海道も経営再建のためにはJR九州を見習え」という言説にホイホイと乗ってしまうのはいかがなものか、と感じているところです。
今回のJR九州の見直し内容を理解して、JR九州とて苦しい経営環境で、列車本数の見直しという問題には目をそらし続けるわけにはいかないことをきっちり認識すべきではないか、と感じました。
最後の方はJR九州そのものの話ではなくなりましたが、ともあれ、多岐に渡った見直し内容なだけに、相当の記述量となってしまいました。
長文・駄文となりお詫びを申し上げる次第ですが、次エントリーでは西日本・九州以外の各社の改正内容に触れていくことができればと思っています。
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