南海電鉄では、この度、同社の新しい中期経営計画「共創136計画」を発表しました。

●中期経営計画「共創136」の概要
・期間:2018年度〜2020年度(3年間)
・基本方針:
(1)安全・安⼼で良質な交通サービスの提供
(2)なんばのまちづくり
(3)インバウンド旅客をはじめとする交流⼈⼝の拡⼤
(4)駅を拠点としたまちづくり
(5)不動産事業の拡充


このうち、鉄道事業と関連の深い「(1)安全・安⼼で良質な交通サービスの提供」の概要は以下の通りです。
1.輸送の安全性・安定性向上と安全文化の逸走の醸成
・地震や風水害に対する施設の安全性と運転保安度の着実な向上
・ホームや踏切の安全性向上
2.「選ばれる沿線に向けた施策の実行」
・2023年度までの6年間で、高野線6000系の全車両(72両)を更新
・駅トイレ(約40か所)のリニューアル
・ストレスフリーな移動環境の整備

なにわ筋線計画の推進について
なにわ筋線の開業に向け、必要となる施設及び車両の検討を進めるとともに、関係各所との協議を着実に実行する



詳細は、上記発表資料等をご覧ください。


●注目は高野線6000系の「更新」
今回の中期経営計画ですが、鉄道ファンとして気になるところは、「6000系の更新」でしょうか。
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新中期経営計画「共創136計画」の該当ページ
(引用元:http://www.nankai.co.jp/library/company/news/pdf/180228.pdf

高野線の6000系は、1962年(昭和37年)から投入された、南海電鉄初のステンレスカーです。
合計72両が製造されましたが、特筆すべき点は、登場後最も古い車両で既に55年が過ぎているのにも関わらず、72両が全て現役、しかも投入当初の高野線で、後進の車両に混じって快速急行から各駅停車まで、第一線で活躍しているところでしょうか。

南海6000系よりも古い車両は少なからずありますが、「同系列全ての車両が現役」かつ「導入当初の路線で今なお運行されている」50年越えの車両となれば、相当に珍しいといえ、高野線、いや現在の鉄道車両界における「レジェンド」といっても過言ではない車両といえるでしょう。

その6000系、端から見ればまだまだ使い続けそうなものですが、流石に50年以上前の車両となれば、バリアフリーや多言語表示といった現在の接客水準や省エネルギーの観点からすれば見劣りするのは否めないのはこれまた事実ということもあってか、今回「更新」が計画として発表されました。


●「共創136計画」ではあくまで「更新」の表現
今回の中期経営計画では、6000系については「更新」とされています。
これだけでは、既存の6000系を現在の水準にマッチさせるべくリニューアルを行う可能性が無いとはいえません。
一方、中期経営計画資料の6000系更新が記されたページには、同時に8300系の写真も載せられていることから考えると、「6000系廃車、8300系に置き換え」というのが素直な推察なのかな、とも感じるのですが、それではなぜ、「置き換え」ではなく、敢えて「更新」という表現を使ったのかが疑問に思えてきます。

方や、6000系が更新されて今後も使われ続けるのであれば、ではなぜ資料に8300系の写真が掲載されているのか。
これもこれで、「謎」ともいえます。

いずれにせよ、6000系の今後の動向は、今回の「共創136計画」の発表の段階では、まだ流動的なところがあるといえるでしょう。


●「更新」のタイムリミットは2023年。初期の車両は還暦を迎えられるか?
同資料では、6000系の更新は「2023年度まで」となっています。
6000系の投入は1962年から実施されたことから、仮に8300系へ置き換えと仮定するならば、辛うじて60年、すなわち「還暦」を迎える6000系が出てくるかもしれない、ということになります。
一方、あくまで「更新」であれば、めでたく還暦を迎えるわけで、同系列の車両が1両の離脱もなく60年間同一線区で運用され続けることは、驚異のほかない記録になるといえるでしょう。


●今の姿の6000系、記録はお早めに
何にせよ、「置き換え」だろうが「更新」だろうか、現在の6000系としての姿が見られるのも2023年までというのが明らかになった今回の中期経営計画「共創136」。
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南海高野線6000系(2017.9.23、新今宮駅)
改めて今の6000系の記録を残しておきたい、という方は、できる限り早めの行動を取るべきというのは間違いないのかな、と感じたニュースでした。



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