毎週日曜日に更新している「過去のきっぷから」。
先週の予告では、「JR西日本の・・・「二人以上同一行程利用」という、今に続く利用条件のはしりとなった、と思われる企画きっぷ」のご紹介を予定していました。

その二人以上同一行程利用の元祖ともいえる企画きっぷ、「フレッシュホリデーきっぷ」のご紹介です。
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●「フレッシュホリデーきっぷ」とは
このフレッシュホリデーきっぷの概要は以下の通りとなっていました。
・近畿地区周辺のフリーゾーン内のJR線が一日乗り放題。
フリーゾーンは下記(※)のとおり。
日曜日または祝日のみ利用可能
大人2人以上または大人と小児合わせて2人以上で利用可能。
1名または小児のみの利用は不可
フリーゾーンを越えて利用すると、フレッシュホリデーきっぷは回収した上で、別途発駅からの運賃を収受
・価格は大人2,060円(消費税導入前は2,000円)
(※)フリーゾーン
東海道本線:米原〜神戸
山陽本線:神戸〜姫路、兵庫〜和田岬
湖西線:山科〜近江今津
山陰本線:京都〜園部
奈良線:全線
福知山線:尼崎〜篠山口
片町線:全線
関西本線:伊賀上野〜奈良〜湊町
大阪環状線:全線
桜島線:全線
阪和線:全線
紀勢本線:和歌山市〜和歌山〜紀伊宮原
桜井線:全線
和歌山線:全線


●民営化直後の「アーバンネットワーク」の休日利用促進を目的とした設定
国鉄の分割民営化で誕生したJR西日本。
分割民営化直後の当時は、稼ぎ頭の近畿圏であってもまだ民鉄との競争力が低く、利用促進が課題となっていました。
新型車両「221系」が導入されたのは民営化後2年目、1989年3月のダイヤ改正からでしたが、それでも主要路線から順次投入されていたこともあり、民鉄とのサービスレベルの差はまだ大きかった、そんな時代でした。
そんな中、近畿圏の利用促進を図るべく、休日の行楽利用にJR線を利用してもらおう、そんなコンセプトで販売されていたのが、この「フレッシュホリデーきっぷ」だったかと思われます。

そのため、グループでの利用を前提に2名以上の利用とする一方、フリーエリアは近畿圏の広範囲に設定、価格も2,000円(消費税導入後は2,060円)と低価格に抑えたものとなっていました。
また、こういった低価格設定の条件として、エリア外の乗り越し利用を認めず、きっぷを回収してしまうという厳しい点も注目といったところでしょうか。
仮にエリア外まで乗る場合は、エリア境界駅で一旦改札を出て、エリア外に有効な乗車券を改めて購入することが必要だったと思われます。


またきっぷは、3券片がミシン目で繋がっていて、フリーエリアのマップや利用上の案内、そして沿線施設での特別割引券がセットとなっていました。
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きっぷのセット(表)

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きっぷのセット(裏)


●「2人以上同時利用」設定は、その後のJR西日本の各種企画きっぷへ、また近畿圏乗り放題は現在の「関西1デイパス」へ
この「フレッシュホリデーきっぷ」で採用されていた「2人以上同一行程利用」というのは、その後のJR西日本の各種企画きっぷ、それもフリーきっぷ等の大幅な割引が適用されるきっぷに今や広く適用されることとなっています。
そんな30年後の今の企画きっぷに繋がる源流、ともいうべききっぷが、この「フレッシュホリデーきっぷ」であるといえるでしょう。

源流という意味ではもう一つ、近畿圏の乗り放題きっぷに関して言えば、この「フレッシュホリデーきっぷ」の発売終了後、長らく設定がありませんでしたが、民営化後20年以上経ってから「関西1デイパス」という名称で復活し、現在では四季を通じて販売されているのは、このブログでもご紹介しています。

このように、現在のJR西日本の企画きっぷのコンセプトにおける基礎となったきっぷ、という見方でこの「フレッシュホリデーきっぷ」を見てみると、色々と面白いことに気づくのではないのでしょうか。


●当時中学生の管理人も多用したきっぷ
この「フレッシュホリデーきっぷ」ですが、発売当時、中学生だった私もよく利用しました。
当時、少ないお小遣いのなか、たくさん列車に乗りたいがために大都市近郊区間の特例を利用した大回り乗車もよくやっていました。
しかし、この「フレッシュホリデーきっぷ」は、当時の大都市近郊区間よりも広いエリアを、しかも自由に乗り降りできる、しかも価格が2,000円ほどと、当時中学生の私にとっては非常に魅力的なきっぷでありました。

ただ、このきっぷの利用条件である「2人以上同時使用」を満たすため、部活の友人などを誘ってスケジュール調整したりと、何かと利用するのに苦労した思いもあるきっぷでした。
何せ、早朝から夜遅くまで、ひたすら列車に乗り続ける「乗りつぶし」に付き合ってくれる物好きの友人は、そうそう見つけるのも難しく、「こういうきっぷが1人から使えたらなあ」と当時から思ったものでした。

●昭和から平成へ、消費税導入、土曜日使用不可といった時代の流れがわかる券面
このきっぷは、予め印刷済みのものを各駅に配置していた「常備券」というものでした。
そのため、運賃改定等が実施された場合は訂正印により修正を行っていました。
それがよく分かるのは、平成元年の秋に購入した券面でしょうか。
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この券面をみると、まず発行日の「昭和」が「平成」に、更に価格の「2,000円」が消費税(当時は3%)導入による改定で「2,060円」へと、二箇所も修正が入るという、これまた珍しい券面、ともいえるでしょうか。

加えてこの「フレッシュホリデーきっぷ」ですが、日曜日または祝日のみ利用可で、土曜日は使用できないきっぷとなっていました。
当時は土・日休みの完全週休二日制もまだ浸透途上で、学校は土曜日は午前中授業を行っていましたし、官公庁でも土曜日は開庁していたものと記憶しています。

そのため、行楽需要とすればもっぱら日曜日でしたので、土曜日が利用不可なのは、当時とすれば当然の感覚だったといえるしょう。
現在からすれば少々疑問な設定ですが、そういった時代の流れも、企画きっぷの設定から感じることができるといえるでしょう。


ネット上を「フレッシュホリデーきっぷ」で検索しても、あまりきっちりした情報が出てきませんでしたが、当エントリーがきっかけで、過去のきっぷ情報の検索の手がかりにもなればな、と思い、今回アップしてみました。

次回もお楽しみに。



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